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    美月

    neko_sunagimo

    PROGRESS鯉登の婚約者が月鯉に割り込む話。
    名前は固定で「美月」です(自己投影すんません)
    The Hole 2月島は絶望した。もし時間を戻せる力が自分にあったのなら、数十分前の自分に忠告したい。家を出ろ、と。

    「信じられないっ!なんなのそのおっさん!なんでキスしてたの!?意味わかんないっ!」

    目の前で叫ぶ女性…もとい、月島の彼氏である鯉登の婚約者であり、月島の務める会社とズブズブに癒着をしている政府の要人の娘、美月を、月島は死んだ魚のような目で見つめた。もう終わりだ。月島は前科者であった。前科者を雇ってくれる企業はそう多くない。その上家族にも恵まれなかった月島は荒れた青年時代を送ってきた。そんな彼を救ってくれたのが、今の上司である鶴見であり、そして月島を配下にしたいという鶴見の進言を快く受け入れてくれたのが、鯉登の父親であった。そんな彼らを今、月島は裏切ることになってしまった。もう、死にたい。いや、死のう。月島はゆっくりと立ち上がり、一言「すみませんでした」とだけ告げると部屋を飛び出した。玄関を抜けた途端、目の前に広がる空。そういえばここはビルの最上階だったではないか。よし、飛び降り自殺しよう。月島は手すりに足をかけた。しかし、後ろから物凄い勢いで引っ張られ、そのまま背中から地面に落ちた。這いつくばる月島の頬を、鯉登が打つ。
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