成星「世和」
世和「よ、成星。どうしたんだ?」
成星「お前に聞きたいことがある」
世和「なんだよ?」
成星「お前の扱える魔法は火と水属性だよな」
世和「ん、そうだよ」
成星「どういう訓練をしたら真逆の属性を扱えるんだ?」
世和「訓練?別になんもしてない」
成星「お前の両親は?」
世和「えーっと、父さんが水で母さんが火だったっけな」
成星「ならお前はなんの訓練もせず両方を受け継いだのか?」
世和「気づいたら両方使えるようになってた。でも最初に使えたのはどっちだったかな。忘れた」
成星「天性の才能というわけか。大したものだな」
世和「うん?だって使える属性って家系とか遺伝?で決まるんだろ?だったら普通なんじゃねーの?」
成星「いくら家系や遺伝とはいえ、両親の属性両方を引き継ぐのは難しいんだ。真逆の属性ならなおのことな」
世和「ふーん。そういうもんなんか。でもさ、お前は全部使えるじゃん。その方がすごくね?」
成星「俺が元々使えるのは光だけだ。残りは後から手に入れた」
世和「ならそっちの方がなおさらすげーよ。努力家ってやつじゃん?」
成星「努力をすることなんて誰にでもできる」
世和「いやいや、できねーから。俺だったらお前と同じことできねーよ」
成星「お前は努力しなくてもなんでもできるからな」
世和「んー、それよく言われるけど、俺は普通にやってるだけだからよくわかんねー」
成星「…お前が言うと嫌味に聞こえないのが不思議だ」
世和「お前はさ、ほんとすごいよな。好きな物に一直線って感じじゃん」
成星「好きなものなら誰だってそうだろ」
世和「いやー、そうとは限らないんじゃね?俺だって一日中ずっと歌ってろって言われたらさすがにしんどいし」
成星「それは喉潰れるだろうな」
世和「でもお前って1日魔法のこと調べろ!って言われたらできんじゃん?俺たちが飯とか呼びいかないとマジで部屋から出てこないときあるし」
成星「気づくと時間が経っているんだ」
世和「その集中力がすげーってこと。ずっと調べてると普通疲れるだろ」
成星「好きなもの、興味があるものは疲れない。好きでやっているからな」
世和「…お前はほんとすごいよ。まずさ、そうやって真っ直ぐに好きなものがあるのが…なんか羨ましい」
成星「お前はそういうものはないのか?」
世和「んー…ない、かもな。歌は好きだけど、これでどうこうしようとか考えたことねーし、他に好きなもんって考えても、あるにはあるけどそれを極めようとも思わねーな」
成星「…才能の持ち腐れだな。そうだな…ならお前に頼みたいことがある」
世和「お?なんだよ?」
成星「お前の魔法を見せてくれ。お前と俺の魔法、同じ属性でも俺のようにあとから手に入れたものと違いがあるのか見たいんだ」
世和「お、なんかそれおもしろそーじゃん、実験みたいで」
成星「ああ。こういう好奇心からいろんな発見があるんだ」
世和「へー、いいな。やってみようぜ」
成星「お前が魔法にもっと興味を持って、上達させようと思うようになったら、きっとここにとってもいいことだろうからな」
世和「俺はお前みたいにマジメじゃねーからそうはなんねーよ。俺は今の…みんなとフツーに暮らしてんのが楽しいから」
成星「どうしたんだ?」
世和「なんでもねーよ。じゃ、お前のために一発派手なのかましてやるか!」
成星「ああ。俺も準備はできている。いつでもいいぞ」