腐向け
aoritoiki
PROGRESS座チヒ。めちゃくちゃ短いです。とりあえず今すぐ甘いものが欲しくなって書き散らした。(仮)寒い日息を吐く。
ふわりと、吐き出されたものが白く浮かび上がって、解けるように消えていく。空を見上げれば、厚い雲が蓋をするように覆っていた。
「チヒロ」
声に振り返ろうとすれば、その前に後ろから伸びてきた手に両頬を挟まれる。
「……座村さん」
「冷てえな。すまん、待たせたか」
「いえ、俺も今着いたところです」
冷えてしまったのは、外を歩いてきたからだった。電車で来れば風に吹かれることもなかっただろうが、何となく、歩きたくなったのだ。
「まだ慣れねえか」
後ろから頬を掴んだ、チヒロを抱えこむような姿勢のまま、座村が問う。
「……いいえ、もう慣れましたよ」
掴まれて動かせない顔の代わりに、目だけを上げて座村の顔を見る。閉ざされたその目の色は分からないけれど、引き結ばれた唇に、チヒロは苦笑いを浮かべた。
746ふわりと、吐き出されたものが白く浮かび上がって、解けるように消えていく。空を見上げれば、厚い雲が蓋をするように覆っていた。
「チヒロ」
声に振り返ろうとすれば、その前に後ろから伸びてきた手に両頬を挟まれる。
「……座村さん」
「冷てえな。すまん、待たせたか」
「いえ、俺も今着いたところです」
冷えてしまったのは、外を歩いてきたからだった。電車で来れば風に吹かれることもなかっただろうが、何となく、歩きたくなったのだ。
「まだ慣れねえか」
後ろから頬を掴んだ、チヒロを抱えこむような姿勢のまま、座村が問う。
「……いいえ、もう慣れましたよ」
掴まれて動かせない顔の代わりに、目だけを上げて座村の顔を見る。閉ざされたその目の色は分からないけれど、引き結ばれた唇に、チヒロは苦笑いを浮かべた。
紫乃宮(しのみや)
DONE峰咲さんhappybirthdayってことで新刊『幼馴染』の延長戦の追加エピソード。三本。
パスワードはみねさきさんOKが出たら希望者にDMにてヒントをお知らせします。本持っている人のみがわかるヒントです。 5753
aoritoiki
PROGRESS座チヒの中途半端なの。まだ本誌読めてないけど、TLから察したものを含むのでネタバレかもしれない。【座チヒ】無題どこで間違えたのだろうか。
炎がちらつく。視界を埋め尽くすようにある、屍の山。流れ出る血は川のように、赤黒い道のように筋を作って拡がっていく。
息を吸う。血生臭さが鼻腔にへばりつき腐っていくようで、楽になるどころか息苦しさばかりが募った。
(――ああ、ここは)
地獄に堕ちたようだと、自虐するように笑う。
俺達は、どこで間違えたのだろうか。
刀を握り替える。眼を閉じ、目蓋に刃を添えて、上下に引いた。焼けるような熱さと痛みを、他人事のように感じる。反対側の瞼にも、同じように刃を当てる。
どこで間違えたのだろうか。
ブツリと音がして、光が消えた。
戦争は続いた。刀を振るう手を止めることは許されなかった。
光を失った世界では、視覚が使えない分、嗅覚や聴覚、触覚が強まり、臭いや音、気配が全てを構築した。見えなくなったことを補うために、肉や骨を断つ感覚、鼻を侵す血臭は否応なく増し、より実感を湧き起こした。
1074炎がちらつく。視界を埋め尽くすようにある、屍の山。流れ出る血は川のように、赤黒い道のように筋を作って拡がっていく。
息を吸う。血生臭さが鼻腔にへばりつき腐っていくようで、楽になるどころか息苦しさばかりが募った。
(――ああ、ここは)
地獄に堕ちたようだと、自虐するように笑う。
俺達は、どこで間違えたのだろうか。
刀を握り替える。眼を閉じ、目蓋に刃を添えて、上下に引いた。焼けるような熱さと痛みを、他人事のように感じる。反対側の瞼にも、同じように刃を当てる。
どこで間違えたのだろうか。
ブツリと音がして、光が消えた。
戦争は続いた。刀を振るう手を止めることは許されなかった。
光を失った世界では、視覚が使えない分、嗅覚や聴覚、触覚が強まり、臭いや音、気配が全てを構築した。見えなくなったことを補うために、肉や骨を断つ感覚、鼻を侵す血臭は否応なく増し、より実感を湧き起こした。
bois
DONEレイチュリワンウィーク#28 お題「筆跡」今回は、付き合って5年くらい経った熟成🍎🍯って感じの2人です。
封蝋の設定は、Ayakaさん(X|@nico3a)のシグネットリングのアイデアが素敵すぎたので、今回盛り込みました!
John
SPUR MEサチマル続きました。サッチ25×マルコ45(予定)
手探りの二人です。ステファンは空気を読む犬です。
落ちた涙の二元論 ───ここまでが今日の記録、以下余談!
今日はマルコと盃の兄弟になった記念すべき日だ。祝い事に必要なのは、飾り付けられた豪華なケーキ!!…ってェのは勿論無理だけど、海の男達にとって兄弟の契りを交わすのは、海賊の掟を新しく結ぶのと同じくらいデッカくてすごいことだってのは分かった。……って書きはしたけど、ここでおれは顎に羽ペンを押し当てながら考える。ぶっちゃけ、義兄弟になろう!って、おれは結構軽い気持ちで酌み交わしちゃったりしてた。船長さんと盃を交わして配下になりたいって海賊達が、かなり物々しい面持ちであんな小さな盃を両手に押し抱く光景に仰々しいなァ…って思ってたのが本音。
義兄弟、義理の兄弟って言うとよそよそしい。じゃあ何だっておれなりに解釈してみた。
11324今日はマルコと盃の兄弟になった記念すべき日だ。祝い事に必要なのは、飾り付けられた豪華なケーキ!!…ってェのは勿論無理だけど、海の男達にとって兄弟の契りを交わすのは、海賊の掟を新しく結ぶのと同じくらいデッカくてすごいことだってのは分かった。……って書きはしたけど、ここでおれは顎に羽ペンを押し当てながら考える。ぶっちゃけ、義兄弟になろう!って、おれは結構軽い気持ちで酌み交わしちゃったりしてた。船長さんと盃を交わして配下になりたいって海賊達が、かなり物々しい面持ちであんな小さな盃を両手に押し抱く光景に仰々しいなァ…って思ってたのが本音。
義兄弟、義理の兄弟って言うとよそよそしい。じゃあ何だっておれなりに解釈してみた。
aoritoiki
PROGRESS今のところは柴チヒ。どこまで書くか分からんが、とりあえず切りのいいところまで書いたからポイってしていく。ものの獣化どんとこいな方のみどうぞ。まだ途中なので、変なところあってもお見逃しください…。まどろみちりんと、軽やかな音が鳴る。
首元に下げた鈴を揺らしながら、それは匂いのところまで駆けていく。角を曲がると見えた飼い主の足に擦り寄る。
「こら、危ないぞ」
穏やかな声で窘められる。ジュージューと何かを焼く音と、香ばしい香りが辺りに広がり、それはスンと鼻を鳴らした。主の足の周りをくるりと回り、スウェットに柔く爪を立ててじゃれつく。
「もう終わるから、待てって」
足が何度も行き来するのをそれが眺めていると、しばらくして体を抱き上げられる。
「お待たせ、淵天」
頭を撫でる温かな手。淵天は喉を鳴らし、その手に身を任せた。
「おっ、朝飯か」
朝から元気な声を出して、大柄な男が入ってくる。
「父さん、おはよう」
「おはよう、チヒロ。いつもありがとうな」
3549首元に下げた鈴を揺らしながら、それは匂いのところまで駆けていく。角を曲がると見えた飼い主の足に擦り寄る。
「こら、危ないぞ」
穏やかな声で窘められる。ジュージューと何かを焼く音と、香ばしい香りが辺りに広がり、それはスンと鼻を鳴らした。主の足の周りをくるりと回り、スウェットに柔く爪を立ててじゃれつく。
「もう終わるから、待てって」
足が何度も行き来するのをそれが眺めていると、しばらくして体を抱き上げられる。
「お待たせ、淵天」
頭を撫でる温かな手。淵天は喉を鳴らし、その手に身を任せた。
「おっ、朝飯か」
朝から元気な声を出して、大柄な男が入ってくる。
「父さん、おはよう」
「おはよう、チヒロ。いつもありがとうな」