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    蒼空

    tasuko013

    DONECLB24の無配になります。
    ※オメガバースパロ「蒼空に誓う」の番外編です。
    ※名前有り、自我有りの二人の子どもが出てきます。
    ※左馬刻の過去をねつ造しています
    聖なる夜空に願いを込めて「おい、蒼空は何をあんな真剣に悩んでンだ?」
    仕事から帰って来るなり目に飛び込んできたのがリビングのテーブルに真っ白な画用紙を広げて難しい顔をしている蒼空だったから、左馬刻は台所で夕飯作りに励んでいる一郎にそう問いかけた。今日の夕飯はどうやらシチューらしい。十二月も下旬にさしかかれば東都にも雪がちらつく日が出始めていて、今日もよく冷える夜だったから温かな夕飯はありがたい限りだった。
    「ああ、ほら、もうそろそろクリスマスだろ?」
    一郎は鍋の中のシチューを味見しながらそう言った。
    「あ~……弟どもと集まってパーティーすンだろ? ヨコハマのマンション貸せって言われたぜ」
    イケブクロの家ですれば良いと思ったのだけれど、合歓ちゃんも呼びたいし後片付けとか有るし、ヨコハマの夜景綺麗じゃんなんていう二郎の言葉に押し切られてクリスマスは手放していないあのマンションで過ごすことになっているのだ。クリスマスパーティーなんて馴染みはないけれど、久しぶりに二郎や三郎、そして合歓に会えることを喜んでいる蒼空を見ていれば楽しみでもあるわけで。それにパーティーに持っていくクッキーを一緒に作る約束をしていたから、左馬刻としても久しぶりのお菓子作りに向けて時間が空いた時には合歓の持っていたお菓子作りのレシピ本を開いたりしているのだ。合歓と暮らしているときはお願いされて焼いたこともあったけれど、近頃は一人で作るなんて事も無かったから、基本から思い出す必要があった。てっきりそのことかと思っていれば一郎は「いや、そうじゃなくて」と首を横に振った。
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