赤月
soseki1_1
MOURNING教祖赤服🤕がチビ🔮を拾う話(赤月傭占/なれそめ途中まで)
暁を終える直前。男は子供を拾い帰還した。
男は、赤服の人物と呼ばれている。ここいら一帯では知らぬ者など在りはしない名だ。旅人が街に入れば、まず真っ先に男の名を教えられる。高揚の口ぶりで、時には唾を飛ばしながら、病魔に塗れたこの土地を癒したお方なのだと聞かされる。この土地の人間にとって男は偉大な存在で、教祖と謳われた。しかしこの土地以外の場所では、男を悪だと叫ぶ者もいた。対して、男はそれらを気に留めていなかった。男は人間でなく、死の体現たる存在だ。死への認知など時と共に移りゆくものだ。男はこの死に満ちた地の生命に変容を与えた。呼吸をし、日々を目や感情で感じ得ることで人間と呼ぶのならば、この地の住民は未だ人間だ。病魔に塗れた地にとって、それは救いに他ならなかっただけのこと。そして往々のものにとって死とは恐るべきもので、それは信仰と繋がるに容易かっただけのこと。
897男は、赤服の人物と呼ばれている。ここいら一帯では知らぬ者など在りはしない名だ。旅人が街に入れば、まず真っ先に男の名を教えられる。高揚の口ぶりで、時には唾を飛ばしながら、病魔に塗れたこの土地を癒したお方なのだと聞かされる。この土地の人間にとって男は偉大な存在で、教祖と謳われた。しかしこの土地以外の場所では、男を悪だと叫ぶ者もいた。対して、男はそれらを気に留めていなかった。男は人間でなく、死の体現たる存在だ。死への認知など時と共に移りゆくものだ。男はこの死に満ちた地の生命に変容を与えた。呼吸をし、日々を目や感情で感じ得ることで人間と呼ぶのならば、この地の住民は未だ人間だ。病魔に塗れた地にとって、それは救いに他ならなかっただけのこと。そして往々のものにとって死とは恐るべきもので、それは信仰と繋がるに容易かっただけのこと。