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    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    遼くんと昔と今の話
    これはまだ世良と幼なじみである遼が中学生の時の話だ。世良が中学生になったばかりの頃、世良の妹が病気で入院した。その日は遼も一緒にお見舞いに行っており、その帰り道だった。
    「遼、いつもありがとね」
    「いいよ、里奈ちゃんすぐ良くなるって」
    世良の妹──里奈が入院してから元気がない世良、周りには普通にしてるように見えるが、幼なじみの遼からしたら無理して笑ってるのは分かっていた。世良の両親も忙しくなり遼の両親にお願いをして世良の事を気にかけていた。世良も両親に余計な心配をかけたくないのだろう。世良は毎度のように申し訳なさそうにするが、自分らの両親の仲の良さを考えるに他人事ではないと思っていた。夕焼けの中、どこか見つめる世良。そういえば、最近世良の歌を聴いていないような気がした。こんな状況ではカラオケなど誘う訳にはいかず、2人に沈黙が走る。
    「……遼、妹ちゃん、死んじゃったらどうしよう」
    「えっ……」
    「あんな小さい体に、点滴とか、薬飲んでて……俺が代わってあげたいくらいだよ、怖い……怖いよ」
    「え、世良……」
    今まで我慢していた不安などが溢れたのだろう、ボロボロと泣き出した世良を遼は何も言 1090