零児
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PAST昔書いた短編のまとめですゆやゆず/遊矢と零児 ※リンクスネタ
柚子はときおり遊矢を傍目で見ることがある。それは日々のふとした瞬間に向けられる、ほとんど無意識の眼差しであった。例えば、こうしてデッキの調整でカードを見つめている遊矢に、柚子の視線はそっと注がれる。
たぶん誰よりもそばにいる自信はあるのに、そのたびに柚子は遊矢を新鮮な気持ちで見つめてしまう。それはやはり遊矢が、何かと人目を引く存在感を放っているからかもしれなかった。
などと、柚子が考えていると、ふいにカードから視線を上げた遊矢の瞳とかち合ってしまった。
「何だよ、人の顔ジロジロ見て」
「べ、別に……」
「別に、ってことはないだろ」
穴のあくほど見といて、遊矢がむっと言い返したので、少し間をあけてから、顔を、と柚子は白状するように言った。
1590たぶん誰よりもそばにいる自信はあるのに、そのたびに柚子は遊矢を新鮮な気持ちで見つめてしまう。それはやはり遊矢が、何かと人目を引く存在感を放っているからかもしれなかった。
などと、柚子が考えていると、ふいにカードから視線を上げた遊矢の瞳とかち合ってしまった。
「何だよ、人の顔ジロジロ見て」
「べ、別に……」
「別に、ってことはないだろ」
穴のあくほど見といて、遊矢がむっと言い返したので、少し間をあけてから、顔を、と柚子は白状するように言った。