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    12月

    fujimura_k

    PAST2023年12月発行『喫茶ツキシマ・総集編』(番外編部分)
    月鯉転生現パロ。喫茶店マスターの月島と作家の鯉登の物語。総集編より番外編部分のみ。
    喫茶ツキシマ 総集編(番外編)例えば
    こんな穏やかな日々が
    この先ずっと

    ずっと
    続いていくなんて

    そんな事があるのでしょうか。

    それを
    願っても、いいのでしょうか。


    ***


    図らずも『公衆の面前で』という派手なプロポーズをして以来、鯉登さんは殆ど俺の家で過ごすようになった。
    前々から昼間は大抵店で過ごしてくれていたし、週の半分近くはうちに泊っては居たのだけれど、其れが週四日になり、五日になり、気付けば毎日毎晩鯉登さんがうちに居るのが当たり前のようになっている。
    資料を取りに行くと言ってマンションに戻ることはあっても、鯉登さんは大抵夜にはうちに帰って来て、当然のように俺の隣で眠るようになった。
    ごく稀に、鯉登さんのマンションで過ごすこともあるが、そういう時は店を閉めた後に俺が鯉登さんのマンションを訪ねて、そのまま泊っていくのが決まりごとのようになってしまった。一度、店を閉めるのが遅くなった時には、俺が訪ねて来なくて不安になったらしい鯉登さんから『未だ店を開けているのか』と連絡が来た事もある。
    19591

    odgr

    SPOILER4/14発行になるっぽいです。ほんとか。
    マジェ昼の部捜査前の12月、クリスマスチャリティーヒーローショーに出演が決まったことをきっかけに、『演じる』『ヒーロー』というあたりのキーワードからウィリアムズ親子を考えるモクマさんの話です。モクルクです。
    マジェMカのバレとトンチキネームのモブがそこそこ出ます。実在の団体や個人とは一切関係ありません。
    アクターズ・エンパシー 月がきれいに見える部屋は、朝の光もよく入る。
     つまり自ずと目覚めが早くなることにモクマが気づいたのは、そのゲストルームを選んで借りた翌日の朝だった。正確には自分で選んだというわけではなく、広さと個別の洗面室がある方のゲストルームを気に入ったチェズレイが真っ先に部屋を選び、アーロンはアーロンで「詐欺師の近くでさえなくばどこでも良い」というものだから、モクマはアーロンが使わなさそうな方に決めたのだ。部屋は適度な狭さで、その割には窓が大きく、ひとりで過ごす時間も大切にしたいモクマとしては都合が良かった。多少朝が早くなるとしても、気の置けない仲間たちと過ごす時間が増えると思えば、十分にお釣りが来る。
     このゲストルームの窓から、緑の庭木と生け垣が茂る庭が見えるのも良かった。ウィリアムズ家の庭は、父母と子供がひとりかふたりいるような家庭の邸宅と考えるとちょうど良い広さだった。『ちょうど良い』というのはこの家全体に言える感覚で、本来ならば家の主となる夫婦の部屋、子供のための部屋、家族の時間を共有するリビング、ふたり以上での作業が快適に行える動線を想定したキッチン、窓から光が入り清潔感がある広い洗面室とバスルーム、それから、時に大事な友人を招いて快適に過ごしてもらうための部屋──チェズレイに言われて初めて気がついたが、成程ここは、理想と信念を抱いて働くエリート国家公務員の男が、家族と過ごすありふれた幸せを望んで買い求めた『設定』にひどく相応しい造りだった。
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