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    桜庭🌸

    PASTにゃんこの日🐈
    杏千 / 原作軸 / ヒメさんと玄弥がいます
    昨年6月刊行の各柱と千くんの短編集「お噂はかねがね」より、猫になっちゃった兄上と千くんのお話🐈✨
    弟たちには兄に近づけない苦悩がある...
    ※「お噂はかねがね」は再販予定はありません。
    ※支部で音柱+千くん、恋柱+千くんのお話を全文掲載しています
    https://www.pixiv.net/users/68358891
    猫かわいがりもほどほどに(岩柱と) 膝の上に「どうぞ」とお招きすると、兄はまずおずおずと前足を乗せた。感触を確かめるように、ぷにぷにとした桃色の肉球を太ももに押し当てる。足踏みをするように繰り返すと、やがて膝の上にひらりと飛び乗ってくれた。寝心地の良いところを探してくるくると回り、やがて僕の膝に丸くおさまった。最後に大きなしっぽをその身に巻きつけて、もう動かなくなった。予想していたよりも、ずっしりと重い。もふもふの尾を触るのは我慢した。しっぽに触ってはいけないと、岩柱様に仰せつかっているのだ。豊かな金髪を思わせるふわふわの背中をなでてみる。時折硬めの毛が肌をチクチク刺激するが、それが兄を彷彿とさせて、自然と頬がとける。しかし、同時に誰にでもこうして無防備な姿をしてみせるのだろうかという疑問が湧いて、水に落とした墨汁のようにもやもやと何かが広がった。たまらず、「ねぇ、兄上」と呼びかけた。
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    遠野108toya327

    DONE煉夢『一夜の情け』シリーズ
    🔥さんと夢主の初邂逅の話。この後、支部の『一夜の情け』一話に続きます。よかったらそちらもお読みください。支部の話は全てR18です。
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18146352
    一夜の情け 零話 『急襲』一夜の情け 零話 『急襲』

     薄桃から茜色、紅、濃紫。これを着物に仕立てたらどんなに素敵な事だろう。美しい夕暮れ空の目まぐるしい移り変りをゆっくり眺めていたくはあれど、家路を急ぐ私はその様をちらりと目に写し胸にしまい込み歩みを続けた。
     父から言いつけられた届け物の使いが長引き、予定よりも帰りが遅くなった。晩秋の空はあっという間に暮れてしまう。急がねば。母はもう夕餉の支度を始めている頃だろう。
     遅くなったのは届け先のおかみさん達の暇つぶしにあれやこれやと尋ねられ引き留められたからだ。もう十九、年が明ければ二十にもなるのに、まだ縁談の一件も来ない私はかしましい人たちの格好のからかい相手だ。
    「まだいいお話はないの」と何度も聞くなら、誰ぞ一人でも紹介してくれればよいのに。胸の内ならこうして言い返せるが、実際には黙って我慢する他ない口下手と内気な性分。嫌ならさっさと席を立てばよいものを、人に反して悪く思われるのが怖い小心者。これでは嫁の口もないのは当然ではある。
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    nabe

    TRAININGワンドロをやった事がないのでやってみたい、というお話をしていたら緋砂さんがお題メーカーhttps://odaibako.net/gacha/36を教えてくださったので初チャレンジ。
    お題は「午前十時にそよぐトランプ」
    色気はないけど、バルシャスでザガネフィで日常のヒトコマ的なヤツ。
    ワン(一時間)ドロではなく、ワン(一日)ドロです。2024.2.17
    【近すぎて見えないのも大概にしてほしい】




    「もう諦めな、お前じゃ俺には敵わねぇって事ぐらい、わかんだろうが」
    「そ、そんなのはやってみないとわからないだろうっ」
    「まぁ、そう思ってられるのも今のうちってな。どう見てもこれがジョーカーだろ」
     バルバロスはそう言って、鼻で笑い、シャスティルが手にした三枚の札の中の一枚をピンと指ではじいて、その隣の札を引き抜いた。
    「ほらこれで上がり、一個もらいな」
    「ななな、なんでわかったんだ!?」
    「なんでも何もねぇわ」

     
     揃ったカードをテーブルの上に投げ出した男の指がそのまま皿の上の不格好なマカロンをつまみ、宙に放り投げる。
     パクリとそれを口で受け止めて、もごもごと頬を膨らませマカロンを咀嚼する男に、ザガンの目の前に座った赤毛の少女は未だ何も口にできていないその頬をプクリと膨らませた。
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