榊原
はるち
DOODLEもうきみを忘れずにいることでしかきみに会えない 驟雨が過ぎて引用:榊原紘
古い思い出を捨てることには、身軽になる痛みがつきまとった。過去というものはしがらみの一つであろう。それを切り捨てることは肌を脱ぎ捨てるように、引かれる後ろ髪を切り離すような、心地よさと表裏一体の心もとなさがつきまとった。春を迎え、冬の寒さを凌ぐために纏っていた重たい外套や毛布を脱ぎ捨てれば、きっとどこまでも駆けていけるだろう。けれども自分はもう、どこかに行きたいわけではないのだ。
「そんなことを言って。いい加減この部屋を片付けたほうが良いと思うよ。ワイフーだって言っていただろう」
本棚を整理していたドクターが、浮かない顔で小箱の中身をいじっていたリーに苦笑する。古くて汚い探偵事務所、というワイフーの言葉は、リーからしてみれば異議異論のあるところではあるが、確かにその一面は事実だった。すなわち、汚い、という。
1227「そんなことを言って。いい加減この部屋を片付けたほうが良いと思うよ。ワイフーだって言っていただろう」
本棚を整理していたドクターが、浮かない顔で小箱の中身をいじっていたリーに苦笑する。古くて汚い探偵事務所、というワイフーの言葉は、リーからしてみれば異議異論のあるところではあるが、確かにその一面は事実だった。すなわち、汚い、という。
らずり
PAST●榊原 京太郎(サカキバラ・キョウタロウ)▷忘失の底で、君が哭いている/HO1
▷実録!バニー警察24時/HO1
▷Period_Lag_Fractal(卓オリシ/ヨロイモグラ作)
▷毒入りスープ▷カタシロ▷伽圉
▷アイツに春なんて来るワケがない!/KPC
▷7匹のもちもち神話/正月版
大事→馬のセバスチャン、幼なじみのぬるとキリヤ。食事をしない。金持ちで自称評論家ナルシルト。 11
To2!!!!
DONECS・ディスプレイまとめ2間宵
楓桃丸
四鴎花鳥
夏宮陽
鳰
エドワード・N・ホームズ
モル
榊原 日楓
煙之柳原爍爍
鵠六鳥
狗閭絲惑
手売 手々裸
四鴟 笑二
三鳥 鷭
猿払掛
眇
べルシア=シアトニカ
花筏 篝
燠猪 燼
咬宿 蛸一郎
斑鳩 誘 28
いずみのかな
DONEパトレイバー ごとしの2019年のスーパーコミックシティにて発行した本の再録です。ほんのちょこっとだけ変えてます
4月1日に「今年のSCCの新刊はおこたでみかんを食べる話です」と書いた一か月後、本当に入稿していたエネルギッシュな一冊ですが内容はおだやか王道です。
それにつけても「後藤さんとしのぶさんはいま(18年冬)、二人おこたでみかんを食べている」(by榊原良子様)の破壊力はいまだおそろしい
和をもってとうとし1988年 9月
暦の上では今日から秋だというが、今年に限ってはだらだらとした冷夏の続きのようにしか思えず、肌寒さにカレンダーが追いついたような感覚だった。街も雨に濡れた暗い灰色に染まるように毎日沈んでいたが、それは梅雨のあとものんべんだらりと雨が絶えず降っているからだけではないだろう。下町からオフィス街、歌舞伎町に六本木、桜田門から目と鼻の先の銀座でさえもいまは自粛自粛の嵐、いまが千年程前なら、この天候もまた国の命運を表していると陰陽師が大仰に告げる場面だ。
ああ本当にチンケだねえ。二本目の煙草を力任せに灰皿に押しつけたところで、「待たせたな」と同僚が小走りで戻ってきた。
「どうだった?」
33692暦の上では今日から秋だというが、今年に限ってはだらだらとした冷夏の続きのようにしか思えず、肌寒さにカレンダーが追いついたような感覚だった。街も雨に濡れた暗い灰色に染まるように毎日沈んでいたが、それは梅雨のあとものんべんだらりと雨が絶えず降っているからだけではないだろう。下町からオフィス街、歌舞伎町に六本木、桜田門から目と鼻の先の銀座でさえもいまは自粛自粛の嵐、いまが千年程前なら、この天候もまた国の命運を表していると陰陽師が大仰に告げる場面だ。
ああ本当にチンケだねえ。二本目の煙草を力任せに灰皿に押しつけたところで、「待たせたな」と同僚が小走りで戻ってきた。
「どうだった?」