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    スイカ

    kazu_9106ko

    MOURNING当初書いていた深淵。こっちだともう少し元ネタというか、着想を得たきっかけが分かりやすいかなと。ストーリーの流れも、もう少し元ネタに似せる予定でした。でも、読む人にもフロイドの「思い」を最後まで分からないようにしたかったので、最終的にあの形になりました。多分こっちのバージョンはもう続きは書けないと思うのでここに供養します。
    ⚠暴力表現あり
    深淵IF? ゴーン、ゴーン、と教会の鐘が鳴り響く。
     どこまでも青く晴れた空が、まるで王国に住まう人々と共に祝福を与えているかのよう。
    「オクタヴィネル王国、万歳!!」
    「国王陛下、万歳!!」
    「王子様、お誕生おめでとうございます!」
     いつもは賑わっている市場には人の影はなく、代わりにオクタヴィネル王国中央部、国王の住まう王宮の周囲を、国民たちが取り囲んでいた。
     オクタヴィネル王国は周囲を海に囲まれた、海洋国家。
     円を描くような地形に合わせ、外側から貧困層、中央に向かうにつれて富裕層へと変化していき、そして国の中央部に王宮がそびえ立っている。
     その王宮。人々が歓声を上げ、口々に万歳、万歳、と叫ぶ中、バルコニーに、国王と、女王、そして、女王の腕に抱きかかえられた、小さな命。
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    60_chu

    DONE11/23の賢マナで出す予定のものです。前にアップした「The day before dispersal」を含めて一冊にして出します。前回のブラッドリー視点に続き、ネロ、石になった魔法使い達、賢者の視点から語っていく話です。加筆修正はたぶんめっちゃする。あと、架空の植物が出てくるので前回の話を読んでからの方がわかりやすいかも。
    The day before dispersal 2 オーロラ色の小さな欠片は飲みこむ前に口の中でひとりでに融けていった。ブラッドが撃ち落としたもう一人のマナ石はおそらく吹雪に埋もれてしまった。短い春が来るまで雪の下で眠ることになるだろう。それか誰かに掘り起こされて食われるかだ。
     ブラッドが、とどめを刺した魔法使いの荷物を確認している間に俺は白樺の樹でテントを作ることにした。ここまで吹雪が激しいなら帰ることは難しい。追跡するうちに風に流された影響もあってか位置も掴みづらい。
    「《アドノディス・オムニス》」
     幹が太くて頑丈そうな一本の白樺に狙いを定めて呪文を唱える。落ちたのが白樺の林でよかった。白樺は一晩中、魔法で雪を掃うわけにもいかないような夜に雪から身を守るためのテントになってくれる。選んだ樹の周囲に生えていた樹々が、めりめりと轟音を立ててしなりながら円錐形になるように中心の樹に絡みついていく。吹雪がやまない夜は時折この音がどこかから聞こえてくる。北の国の魔法使いは葉の代わりに雪を茂らせた白樺の中に籠ってどこにも行けない夜を遣り過ごす。
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