Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ウインク

    おたぬ

    DOODLEウインクできない❄の話
    冬弥は基本的にライブには見る側、観客として参加することもないわけではないが、出演者としてステージに立つことが多い。常に相棒の隣にいるために、そして夢のためにどんな時も歌に対して真摯であり、知識には貪欲であり、努力を惜しまない。そんな彼ではあるがステージ上では苦手なことがあった。

    「Vivid BAD SQUADだ!」

    色とりどりのライトに照らされるステージ。隣に立つ相棒が観客に拳を突き出し、ニヤリと笑う。それに応えるように会場が揺れんばかりの歓声で盛り上がり、本日のライブも自分にも周囲にも厳しい相棒も満足するだろう上々の出来で幕を閉じた。

    ライブ終わり特有の高揚感の中、冬弥は考える。歌に妥協をしたことはないし、様々な壁を乗り越え、父との確執を吹っ切って、今自分は彰人の隣にいる。しかし、ライブとは、ステージとは、それだけではない。彰人は自身の歌の才能を気にしていたようだが、冬弥から見れば、彰人は冬弥が持っていないものをたくさん持っている。つい先ほどステージ上で見せたパフォーマンスもそうだ。冬弥が同じ立場にいたとして、あんな風に会場を沸かせることはできなかっただろう。そして、それが会場に与える影響を冬弥はよく知っていた。
    2214