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    犬夜叉

    妖怪ろくろ回し

    MOURNINGせつなと犬夜叉*


    「殺生丸はよ、分かってたんだぜ」
    「……」
    「すぐちょっかいかけてきやがるし、おれを何かと半妖呼ばわりしてくるし……なに聞いたって答えねぇし。……でも……おれには分かるぜ」
    「……」
     せつなは答えない。
    「おれのおふくろはさ、死んだんだ。ずっと小さい頃に。……おやじもおれが赤ん坊の頃死んだ。殺生丸からしたら人間の女とその子どものために自分の父親が死んじまったもんなんだ」
     だからってあれやこれやと因縁をつけられ続けるのも困った話だが。
     しかし犬夜叉もまた、今こうして可愛い可愛い愛娘と共に在る中とあっては、殺生丸が彼の『愛娘』にしたことを納得できずとも理解はできる。とにもかくにも言葉というものに重点を置かない異母兄は全てを行動で示す。それが分かりにくい、と言われ、時に冷酷であるという印象を──あながち間違ってはいないが──相手に抱かせる。
    「父は子を守らぬのか。崖から蹴落とすのが愛情か」
    「おれならそんなこたぁしねぇ。……でも……おれが知ってる半妖たちはみんな、おれも含めて……妖怪の父親なんてすぐ死んじまうか、一緒にいられねぇほうが普通だ」
    「!」
     地念児の父親もそう。たい 2221