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    しおり

    mame

    DONEノベルティしおり(短編付き)
    千ゲ(復興後if/大杠結婚式の話/クロルリ要素もふわっと含みます)
    「良いものだな、こういう手作り感あふれる結婚式というのも」

     オレンジ色に藍色のインクをぽたりと染み込ませた、そんな空の色が広がり始めた時間帯。柔らかな光を落とす電球は目に染みることなく森の中を照らしている。その明かりを見上げながら、龍水が酷く優しげな眼差しでぽつりとつぶやいた。
     龍水の言葉にゲンは口元に薄く笑みを浮かべた。柔らかな光の中心にいるのは杠と大樹のふたりだ。ふたりは白い服を身に纏っている。賑やかで懐かしい科学王国の面々に囲まれながら満面の笑みを振り撒くふたりに自然と周りの人間も笑顔になるんだから、あのふたりは本当にすごい。プラス思考&マイナスイオン製造機だなあ、とゲンは頬を緩めながら思う。
     正面からワイングラス片手に龍水を見やった羽京が、ハッとしたように顎に手を当て、口を開いた。

    「……龍水。君もしかして、結婚式で寿司職人がその場で握った寿司食べたことある?」
    「ん? あるが?」
    「わー! 当たり前みたいに言ったね! いや当たり前なのか!」
    「バイヤー! えっ、有名アーティストきたりとか」
    「あったな」
    「クルーズ船貸切での挙式は」
    「……そんなこと聞いてどうする」 6359