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    seasnow_huu

    MEMO丑戌おにショタちあみどの初っ端。アクション無理なのにどうして書いてしまうのか……秋深く、色づいた葉たちの彩りが舞う日のことだった。赤く染まる紅葉や黄金の銀杏の中で目を引く鮮やかな紅色は、本来冬に咲く椿の花弁の色だと千秋は知っていた。現世と常世の境界であるこの道には、季節を問わずこの花が咲き乱れるのだ。
     そして千秋は、紅葉の道の真ん中に見慣れないものがあることに気付いた。亜麻色の毛玉に見えるそれは、犬か何かの動物のようだった。慌てて駆け寄り、丸まっているそれをよく観察しようとして──一瞬、手が止まる。毛玉の正体は、亜麻色の柔らかな髪を持つ六、七歳ほどの少年だったからだ。目を閉じているその少年の顔立ちは非常に整っていて、愛らしい人形のようだった。更には少年の頭には犬のような耳が生えており、体温と心臓の拍動がなければ人形と間違えてもおかしくない。
    「……もしもし、聞こえるか?」
     目を覚まさない少年の、犬耳に触れて軽く引っ張る。作り物ではない、生物としての温もりが通う耳だ。感覚があったのか、少年は眉間に皺を寄せ、ううん、とむずがった。長い睫毛に縁取られた瞼が薄く開かれ、千秋は現れた綺麗な空色の瞳に目を奪われた。ぱちぱちと目を瞬かせる少年に、千秋は笑いかけてみた。
    「安 4919