浅葱和月
MAIKINGモブシャイからの双子シャイの予定「んっ……そんなに乱暴にしないでください」
罪人のように腕を拘束されたシャイロックを兵士たちが囲む。
処刑でも行われるのかと誤解されかねない数の兵士たちだが、行われるのは処刑ではなく、身体検査。
シャイロック一人を身体検査するにしては兵士たちを集めすぎだと思うが、それ程に魔法使いであるシャイロックを警戒しているのである。
「今から貴様の身体検査をする!妙な真似はするなよ!」
「こんなに囲まれては抵抗する気もおきませんよ」
「どうだか。魔法使いは嘘つきだからな!おい!こいつに口枷をして、詠唱を口に出せないようにしろ!」
「はっ!」
指揮をとる男の言葉に近くにいた兵士が動き、少し怯えながらもシャイロックの上品な口に不似合いな口枷が咥えさせらる。
369罪人のように腕を拘束されたシャイロックを兵士たちが囲む。
処刑でも行われるのかと誤解されかねない数の兵士たちだが、行われるのは処刑ではなく、身体検査。
シャイロック一人を身体検査するにしては兵士たちを集めすぎだと思うが、それ程に魔法使いであるシャイロックを警戒しているのである。
「今から貴様の身体検査をする!妙な真似はするなよ!」
「こんなに囲まれては抵抗する気もおきませんよ」
「どうだか。魔法使いは嘘つきだからな!おい!こいつに口枷をして、詠唱を口に出せないようにしろ!」
「はっ!」
指揮をとる男の言葉に近くにいた兵士が動き、少し怯えながらもシャイロックの上品な口に不似合いな口枷が咥えさせらる。
てんていのねこ
MOURNINGうちのアベンチュリンがすり抜けでジェパードを連れてきて、ゼーバルとリンクスも完凸にしたので「もうこれはランドゥー家のカカワーシャですわ」と思い立って書いた小説です。レイチュリでサンジェパ。
開拓者はどちら前提でも読める。多分。
あとプーマンの名前は毛玉。かわいい。
ランドゥー家のカカワーシャ1.
古のシルバーメインの符号で記された暗号文。その答えを求めてセーバルの工房に足を運んだが、手応えはなかった。
「だったらジェパードに聞いたらわかるかな?」
「あははっ、ジェイちゃんに聞くくらいなら自分で解いた方が早いよ!あっ、でもワーちゃんならわかるかも。」
「ワーちゃん?」
「二人目の弟。博物館の館長でね。人懐っこくて優しい、いい子だよ。今の時間ならまだ向こうだと思うし、行っておいで。」
セーバルに言われ、開拓者達は歴史文化博物館へと向かう。受付の女性に目的の人物のことを尋ねると、奥から小柄で細身な男性が姿を現した。
歳の頃はジェパードと同じくらいだろうか。髪の色こそセーバル達のような金髪だが、顔立ちがあまり似ていない。それに細いフレームの眼鏡の奥から覗くネオンのような瞳が異彩を放っている。
3111古のシルバーメインの符号で記された暗号文。その答えを求めてセーバルの工房に足を運んだが、手応えはなかった。
「だったらジェパードに聞いたらわかるかな?」
「あははっ、ジェイちゃんに聞くくらいなら自分で解いた方が早いよ!あっ、でもワーちゃんならわかるかも。」
「ワーちゃん?」
「二人目の弟。博物館の館長でね。人懐っこくて優しい、いい子だよ。今の時間ならまだ向こうだと思うし、行っておいで。」
セーバルに言われ、開拓者達は歴史文化博物館へと向かう。受付の女性に目的の人物のことを尋ねると、奥から小柄で細身な男性が姿を現した。
歳の頃はジェパードと同じくらいだろうか。髪の色こそセーバル達のような金髪だが、顔立ちがあまり似ていない。それに細いフレームの眼鏡の奥から覗くネオンのような瞳が異彩を放っている。
てんていのねこ
MAIKING私だけが楽しかったペラの小説きっかけにレイチュリが始まる小説の残骸。どんどんペラがメインになっていくし、ゲストのKさんが楽しすぎて脱線したので諦めました。
こうしてメインカプの脇でわちゃわちゃしている人びとが大好きです。 3964
てんていのねこ
MAIKINGテイワットにレイチュリ放り込んだ。そして鍾タルに巻き込ませた。
ここから4Pにしようかどうか考えて力尽きた。
なお恋愛の先輩ヅラしているがアベの貞操はレイチュリするまでガチガチに存護されていたものとし、鍾タルはどっちも恋愛初心者の童貞処女とする。
更にレイチュリもそうだったとする。癖。 2654
zeppei27
DONE何となく続きの主福で、清い添い寝を終えた朝に二人で湯屋にお出かけするお話です。単独でも読めます!好奇心が旺盛な人間は、純粋な気持ちで夢中になっているうちに地雷を踏むことがままあるでしょうが、踏んで爆発する様もまた良い眺めだと思います。
前作>
https://poipiku.com/271957/10317103.html
もみづる色 情人と添い遂げた後の朝とは、一体どんなものだろうか。遥か昔の後朝の文に遡らなくとも、それは特別なひとときに違いない。理性の人である福沢諭吉も同様で、好きになってしまった人と付き合うようになってからというもの、あれやこれやと幾度となく想像を巡らせてきた。寄り添い合うようにして行儀良く寝たまま起きて笑い合うだだろうか?それとも、決して隙を見せることのない隠し刀のあどけない寝顔を見ることが叶うだろうか。貪られるのか貪るのか、彼我の境目を失うように溶け合ったとしたらば離れがたく寂しいものかもしれない。
では現実はどうであったかというと、諭吉は窮屈な体をうんと伸ばしてゆるゆると目を覚ました。はたと瞳を開き、光を捉えた瞬間頭をよぎったのは、すわ寝坊したろうかという不吉な予感だった。味噌汁のふわりとした香りが空きっ腹をくすぐる。見覚えのない部屋だ。己の身を確認すれば、シャツと下穿きだけという半端な格好である。普段は米国で入手した寝巻を身につけているのだが、よそ行きのままということは、ここは出先なのだろう。それにしたって中途半端だ――
9067では現実はどうであったかというと、諭吉は窮屈な体をうんと伸ばしてゆるゆると目を覚ました。はたと瞳を開き、光を捉えた瞬間頭をよぎったのは、すわ寝坊したろうかという不吉な予感だった。味噌汁のふわりとした香りが空きっ腹をくすぐる。見覚えのない部屋だ。己の身を確認すれば、シャツと下穿きだけという半端な格好である。普段は米国で入手した寝巻を身につけているのだが、よそ行きのままということは、ここは出先なのだろう。それにしたって中途半端だ――
海老(小説)白玉(絵)
REHABILIポイピク登録しました。文字書きの海老と、お絵描きの白玉です。使い方分からないからアワアワしてます。小説頁は挿絵差し込みできないみたいなんで、こっちに貼ってみた。 4zeppei27
DONE遅くなりましたが、傭泥『ご親切にどうもありがとう』の続きです。何故スパダリが誕生したのか、傭兵という一匹の虎の胸の内です。あともう少し続きます……!前作>
https://poipiku.com/271957/10154086.html
どういたしまして/1 生まれついてからこの方、優しさというものは特別持ち合わせていなかった。父母の愛情はそれなりに受けていたし、生活は豊かでなくとも最低限満たされていたが、端的に言って余裕が不足していた。否、好奇心とでも言おうか。将来自分の役に立つと諭された武芸や拙い読み書きをする気概はあったのだし、家族のために骨を折ることは少しも厭わなかった。
優しさとは生まれついての素質ではなく、習慣である。赤の他人に進んで手を貸し、身を切る行動原理は理性によるものではない。そうあるべきだと、そうありたいと思わせる土壌あってこそと言える。父母は他者に優しかったかもしれないが、ナワーブにそれを強いることはなかった。当然ながら、発展途上にある子供が己の不足に気づく由もない。
6587優しさとは生まれついての素質ではなく、習慣である。赤の他人に進んで手を貸し、身を切る行動原理は理性によるものではない。そうあるべきだと、そうありたいと思わせる土壌あってこそと言える。父母は他者に優しかったかもしれないが、ナワーブにそれを強いることはなかった。当然ながら、発展途上にある子供が己の不足に気づく由もない。
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DONE何となく続きの主福で、付き合い始めたものの進展せずもだもだする諭吉と、観察者アーネスト・サトウの友情(?)話です。お互いに相手をずるいと思いつつ、つい許してしまうような関係性は微笑ましい。単品でも多分読めるはず!前作>
https://poipiku.com/271957/10313215.html
帰宅 比翼という鳥は、一羽では飛べない生き物だという。生まれつき、一つの目と一つの翼しか持たず、その片割れとなる相手とぴたりと寄り添って初めて飛べるのだ。無論伝説上の生き物であるのだから現実にはあり得ないものの、対となる相手がいなければどうにも生きることさえ立ち行かないという現象は起こりうる。
かつての自分であれば鼻で笑ってしまうような想いに、福沢諭吉は今日もむぐむぐと唇を運動させた。ぐっと力を入れていなければ、ついついだらしのない表情を浮かべてしまう。見る人が見れば、自分が誰かを待ちわびていることが手に取るようにわかるに違いない。
隠し刀と恋をする(そう、自分はけじめをつけたのだ!)ようになって以来、諭吉は一日千秋という言葉の意味を身を以て知った。滅多矢鱈に忙しい相手は、約束なくしては会うことの叶わぬ身である。彼の住まいに誘われたことはあるものの、家主は方々に出掛けてばかりで待ちわびる時間が一層辛くなるだけであった。
7612かつての自分であれば鼻で笑ってしまうような想いに、福沢諭吉は今日もむぐむぐと唇を運動させた。ぐっと力を入れていなければ、ついついだらしのない表情を浮かべてしまう。見る人が見れば、自分が誰かを待ちわびていることが手に取るようにわかるに違いない。
隠し刀と恋をする(そう、自分はけじめをつけたのだ!)ようになって以来、諭吉は一日千秋という言葉の意味を身を以て知った。滅多矢鱈に忙しい相手は、約束なくしては会うことの叶わぬ身である。彼の住まいに誘われたことはあるものの、家主は方々に出掛けてばかりで待ちわびる時間が一層辛くなるだけであった。
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DONERONIN主福、前作の何となく続きです。無茶な人助けばかりする隠し刀の姿を見たらば、普通は心配になってしまうのでは?理性的に面倒を避けようとする諭吉の理解を超えた行動なんだろうなあと思うと、ちょっとだけ申し訳なくなります。冷静な人がメチャクチャになってしまう姿は良い。前作>
https://poipiku.com/271957/10302464.html
名付けたならば まだ熱を持っているような気がする。鏡台の前で髪を整えながら、福沢諭吉は努めて上の空でいようと懸命な努力を続けていた。普段であれば真正面から鏡の中の自分に向き合うところが、今日はどうにも難しい。否、この数日ほどはずっと同じ煩悶を繰り返しては鎮めていた。毎日見てそらで思い出せるような自分の顔など、今更何を感じよう。形ばかりの気合を入れてちら、と鏡を見てう、と思わず呻き声が出た。
「いつもと同じ、のはずなんですけれどもね」
どうしてこうも面映さが沸々と胸の中を満たしてゆくものか。ちらりと一瞬見ただけで、自分に向けられた眼差しの熱さまで思い起こされて頬が上気する。数奇な出会いを経た友人かつ一教子に過ぎないはずの隠し刀が、戯れともつかぬ誘いかけで自分の顎に触れた。太く節くれだった指先は戸惑う諭吉の唇をこじ開け――狼藉はそこまでだった。悪戯げな囁きを残して、全ては何事もなかったかのように日常に舞い戻っている。
5259「いつもと同じ、のはずなんですけれどもね」
どうしてこうも面映さが沸々と胸の中を満たしてゆくものか。ちらりと一瞬見ただけで、自分に向けられた眼差しの熱さまで思い起こされて頬が上気する。数奇な出会いを経た友人かつ一教子に過ぎないはずの隠し刀が、戯れともつかぬ誘いかけで自分の顎に触れた。太く節くれだった指先は戸惑う諭吉の唇をこじ開け――狼藉はそこまでだった。悪戯げな囁きを残して、全ては何事もなかったかのように日常に舞い戻っている。
理図(rito)
REHABILI原作軸コラロ❤️🔥🐯小説。コラロのワンドロワンライ企画さまに投稿させていただいたSSです。
154回 お題「青空/光」
事前制作 60min+80min
短め&CP要素あまりありません…。 2
zeppei27
DONE初RONINで気分のままに、隠し刀(男)×諭吉です。どうして契らせてくれないんだ諭吉ぃ!姫扱いをしてきたのにこの仕打ち、昇華させずにはいられませんでした。服装と言い、恥じらいを見せる様子と言い、居合(史実)まで持ち出してきて胸がいっぱいです。理性的な人が熱くなって激情に身を任せる時の勢いって良いですね……。舌足らず 横浜貴賓館は今日も活況を呈していた。国も身分も分け隔てなく、世界に対し門戸を開かんとする人々で溢れ、明日への野望や希望がひしめき合って熱気を孕んでいる。交わされる言葉はほぼ日本語ではなく、目を閉じて仕舞えばここが日本であることをも忘れてしまうような様相である。長らく鎖国を強いてきた国とは思えぬ状態で、十年前の日本人であれば誰もが想像だにしなかっただろう。
ここに、輝かんばかりの明日が見えようとしている。福沢諭吉もまた、そんな足掛かりを得るべく出入りする人間の一人だった。当初は幕府外国方として公文書を翻訳するためだけであったが、今では出入りする人々に日本語を教えるという小遣い稼ぎもできて一石二鳥である。とりわけアーネスト・サトウは、並々ならぬ熱意を持って学ぼうという姿勢が面白く、彼に教える時間が公務に計算されることも含めて希少な存在だ。本居宣長に興味を持ち、和歌を嗜もうとする英国人など、彼の母国でも滅多におるまい。彼との交流は、諭吉に母国に対する新しい見方を発見させる刺激的な時間だった。
3492ここに、輝かんばかりの明日が見えようとしている。福沢諭吉もまた、そんな足掛かりを得るべく出入りする人間の一人だった。当初は幕府外国方として公文書を翻訳するためだけであったが、今では出入りする人々に日本語を教えるという小遣い稼ぎもできて一石二鳥である。とりわけアーネスト・サトウは、並々ならぬ熱意を持って学ぼうという姿勢が面白く、彼に教える時間が公務に計算されることも含めて希少な存在だ。本居宣長に興味を持ち、和歌を嗜もうとする英国人など、彼の母国でも滅多におるまい。彼との交流は、諭吉に母国に対する新しい見方を発見させる刺激的な時間だった。
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SPUR ME以前書いた「夏に恋人ができたと思い酒飲んで泣く五の夏五」を修正、加筆したものです。長くなりそうかつこれ書いてたら他の本に間に合わないため、こちら六月の本にと考えています。ハッピーエンドにする予定です。
臆病者と卑怯者の末路 相方に恋人ができた、らしい。
勿論相手は自分ではない。新人アナウンサーの女らしい。らしい、というのは自分は噂で聞いた程度のことしか知らないからだ。本人から聞いたのでなければただの噂で嘘なのかもしれないけれど、この噂は本当かもしれない、なんて思ってしまった。
なんせ相方である夏油傑は、物凄くモテる。僕よりモテる。学生時代なんて、ほぼ毎日女に告白されていた程だ。そんなんだから本人もそれなりに遊んでおり、女の扱いが慣れているのだ。クズである。
だが、ここ数年は……というより、俺と傑がニコイチと言われるようになってから、誰かと付き合っているような様子はなかった。芸人を目指し高校卒業と共に同居をして、結構売れている今でも一緒に住んでいるが、傑から恋人を紹介されたこともなければ、そういう話だってしたことない。
28373勿論相手は自分ではない。新人アナウンサーの女らしい。らしい、というのは自分は噂で聞いた程度のことしか知らないからだ。本人から聞いたのでなければただの噂で嘘なのかもしれないけれど、この噂は本当かもしれない、なんて思ってしまった。
なんせ相方である夏油傑は、物凄くモテる。僕よりモテる。学生時代なんて、ほぼ毎日女に告白されていた程だ。そんなんだから本人もそれなりに遊んでおり、女の扱いが慣れているのだ。クズである。
だが、ここ数年は……というより、俺と傑がニコイチと言われるようになってから、誰かと付き合っているような様子はなかった。芸人を目指し高校卒業と共に同居をして、結構売れている今でも一緒に住んでいるが、傑から恋人を紹介されたこともなければ、そういう話だってしたことない。
理図(rito)
REHABILI31よiくばiりフiェスネタ。二次創作リハビリ第一弾
書いてる矢先にフェスが早期終了いたしまして、元々の起承転結の「起承」が申し訳程度にスッカスカになっています、すみません(最初2ページ)。
現パロコラロ。
ローが高校生くらいで、まだ正式なえっっっっちはしてないくらい。
コラさんが「せめて高校卒業してからじゃないとダメ!」って言うから。
その割に際どいスキンシップは仕掛けてくるバグり方してる。 7
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DONE遅ればせながらメイドの日〜!付き合っている傭泥で、メイドパラダイスなお話です。
完璧の作り方 荘園には時空を超えた場所である。と、いうのもおとぎ話でしか存在しないような神であるとか、呪いであるとか、そもそもここで主に開催される『ゲーム』からして奇妙だ。自室で寝ていたはずが、ある日突然豪華客船に乗せられ殺人事件に巻き込まれたり、異国情緒あふれる街並みで追いかけっこをさせられたりもする。当初は皆戸惑うものだが、人間も強かなもので回を重ねればさして驚くには値しなくなる。むしろ、どうすれば今回の『催し物』で自分が有利に動けるか——そんなことさえ考えるようになるのだ。
「いくらなんでもこれはおかしくないか?」
ナイチンゲールのサインが書かれたお知らせを読んだクリーチャー・ピアソンはわざとらしく哀れっぽい声をあげた。多分外界の街角なら、お人好しの一人や二人は釣れただろう。
3143「いくらなんでもこれはおかしくないか?」
ナイチンゲールのサインが書かれたお知らせを読んだクリーチャー・ピアソンはわざとらしく哀れっぽい声をあげた。多分外界の街角なら、お人好しの一人や二人は釣れただろう。
yhuruhata
DONE好奇心だけで生きる鶴丸国永と、未来の亡霊であるところの同田貫正国。すこしふしぎ。ぷらいべったー+
https://privatter.me/page/66364de3dbe3c 9
86mayuri
DONE全文はpixivに上げています。【墜天の王 蔭 11 蜜月】長編修帝小説の一部。追憶。原作軸。翼の団時代の回想シーン。阿修羅×帝釈天
墜天の王 11 その馴れ初めは焦がれて苦く ③.
明け方の白み始めた空は薄ぼやけ、広がる朝霧に遠くの山々は雲海に沈む。
内窓を開け放てば風のない空気は冷涼で、静かに自分の肌を刺そうとしたが、この程度では罰にもならない。
自分でも自覚のない疲労があったのか、行為の後にすぐ眠ってしまったようだ。知らないうちに身なりを整えたのか気が付くと隣で夜着を身に纏う帝釈天が静かに眠っていた。
彼の寝顔を見守る資格すら己にはない。蟠りだけが胸の内を苛むようなそんな後悔を日を跨いでも持越し、横たわる彼の傍にいることが出来なかった。
衣服だけ整え寝台から下りて昨晩と同じ出窓の前に戻ってきてしまった阿修羅は、窓を開けたままでまた同じように茵に胡坐を組んで座る。
「阿修羅」
3766明け方の白み始めた空は薄ぼやけ、広がる朝霧に遠くの山々は雲海に沈む。
内窓を開け放てば風のない空気は冷涼で、静かに自分の肌を刺そうとしたが、この程度では罰にもならない。
自分でも自覚のない疲労があったのか、行為の後にすぐ眠ってしまったようだ。知らないうちに身なりを整えたのか気が付くと隣で夜着を身に纏う帝釈天が静かに眠っていた。
彼の寝顔を見守る資格すら己にはない。蟠りだけが胸の内を苛むようなそんな後悔を日を跨いでも持越し、横たわる彼の傍にいることが出来なかった。
衣服だけ整え寝台から下りて昨晩と同じ出窓の前に戻ってきてしまった阿修羅は、窓を開けたままでまた同じように茵に胡坐を組んで座る。
「阿修羅」
さびぬき(旧名:樺)
PROGRESS2024.5.1作成。小説で。Word文章で作成してPDFで投稿できるか分からず画像形式で途中経過を試しで投稿。楽しい。
荒削りで色々始めてだからどうかなぁ。
問題無いか不安…。
※『さっきとは』→『さっきとは違い』
今度直す…。
zeppei27
DONE傭泥で、謎のスパダリ(?)ナワーブに引き続き振り回されるピアソンさんのお話です。この行為は好意なのか、それとも真意は別に存在するのだろうか?もう少し続きます。>前回のお話
https://poipiku.com/271957/10154086.html
ご親切にどうもありがとう /2 大概の口約束は破られるものである。そうでなければ何故、神はモーセに石の板を与えただろう?神でさえも物理的な手段で残すことを選んだのだ、人間同士ならば契約書類は絶対必要であるし、あるからと言って油断してもいけない。クリーチャーは賢い人間なので、契約の有用性と無効性を巧みに利用して上澄を啜ることを心得ていた。つまり――傭兵だか軍人だか知らないが、ナワーブ・サベダーの珍妙な申し出など、実しやかな嘘だろうとハナから信用していなかったのである。
この荘園に来た人間が、本当の身分を洗いざらい打ち明ける必要があるだろうか?信用ならない連中とうまくやっていくためには、嘘と夢と上辺だけの平和を楽しむ上品さがあれば十分だ。真実は誰にも確かめようもなく、また真実だからと言って価値があるわけでもない。クリーチャーが『慈善家』でなくとも、そう主張し続けることこそに意義がある。
6187この荘園に来た人間が、本当の身分を洗いざらい打ち明ける必要があるだろうか?信用ならない連中とうまくやっていくためには、嘘と夢と上辺だけの平和を楽しむ上品さがあれば十分だ。真実は誰にも確かめようもなく、また真実だからと言って価値があるわけでもない。クリーチャーが『慈善家』でなくとも、そう主張し続けることこそに意義がある。
キツキトウ
DONE2024/4/24自分は、鉱物は何だか人みたいだなと思う時があるのです。
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エブリスタ「三行から参加できる」用に新しく書いたもの。「終煙奇譚」シリーズの一つ。
終煙怪奇譚:「息する仮晶」.
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「じゃあ、大人しくここでまっているのよ」
吐かれた息は白く広がりついには消えた。
赤い背は遠ざかっていき、その人にいつも纏わり付いていた強い匂いがそれに付いて消えていく。
自分に向かって誰かがそう言っていたのだ。
✤ ✤ ✤
屋根の下で、細く白い手を空に透かしては微かに白い息を天へ投げ、見上げていた視線をまた地に落とす。……クラリと頭が揺れた時、何かが視界の端に映り込んだ。
もふもふとした何かが目の前を通る。もふもふとした白くてまん丸い毛玉達だ。ちょこんと目のような粒も見える。
それはぴょんぴょんと跳ねてはピタリと止まり、止まった場所で次々にぶつかり合ってはひっついて、むきゅむきゅとおしくらまんじゅうをしだす。そして暫くすると一匹一匹と塵じりになっていき、やがてまた戻ってきては同じことを繰り返していた。
3533.
「じゃあ、大人しくここでまっているのよ」
吐かれた息は白く広がりついには消えた。
赤い背は遠ざかっていき、その人にいつも纏わり付いていた強い匂いがそれに付いて消えていく。
自分に向かって誰かがそう言っていたのだ。
✤ ✤ ✤
屋根の下で、細く白い手を空に透かしては微かに白い息を天へ投げ、見上げていた視線をまた地に落とす。……クラリと頭が揺れた時、何かが視界の端に映り込んだ。
もふもふとした何かが目の前を通る。もふもふとした白くてまん丸い毛玉達だ。ちょこんと目のような粒も見える。
それはぴょんぴょんと跳ねてはピタリと止まり、止まった場所で次々にぶつかり合ってはひっついて、むきゅむきゅとおしくらまんじゅうをしだす。そして暫くすると一匹一匹と塵じりになっていき、やがてまた戻ってきては同じことを繰り返していた。
zeppei27
DONE傭泥で、謎のスパダリ(?)ナワーブに悩まされるピアソンさんのお話です。果たしてナワーブの真意はどこにあるのか、一緒に迷いながら楽しんでいただければ幸いです〜続きます!ご親切にどうもありがとう/1 他人に配慮することは、相手に目に見えぬ『貸し』を作ることである。塵も積もればなんとやらで、あからさまでなしにさりげなく、しかし何とはなしに伝えねばならない。当たり前だと思われてはこちらの損だからだ。返せる程度の親切を相手に『させた』時点で関係は極限に達する。お互いとても楽しい経験で、これからも続けたいと思わせたならば大成功だ。
そう、クリーチャー・ピアソンにとって『親切』はあくまでもビジネスであり駆け引きだ。慈善家の看板を掲げているのは、何もない状態で親切心を表現しようものならば疑惑を抱かせてしまう自分の見目故である。生い立ちからすれば見てくれの良さは必ずしも良いものではなかったと言うならば、曳かれ者の小唄になってしまうだろう。せめてもう少し好感触を抱かせる容貌をしていたらば楽ができたはずだからだ。クリーチャーはドブの臭いのように自分の人生を引きずっていた――故にそれを逆手に取っている。
7288そう、クリーチャー・ピアソンにとって『親切』はあくまでもビジネスであり駆け引きだ。慈善家の看板を掲げているのは、何もない状態で親切心を表現しようものならば疑惑を抱かせてしまう自分の見目故である。生い立ちからすれば見てくれの良さは必ずしも良いものではなかったと言うならば、曳かれ者の小唄になってしまうだろう。せめてもう少し好感触を抱かせる容貌をしていたらば楽ができたはずだからだ。クリーチャーはドブの臭いのように自分の人生を引きずっていた――故にそれを逆手に取っている。
Do not Repost・東龍
DONE通勤中にちまちま打ってたの、やっと出来たわよ。若っっ干のネタバレ注意?
※発端は番外の方
→https://tapnovel.com/stories/24978
※画像版
→https://galleria.emotionflow.com/45784/700193.html
ギンが嘘ついたせいで部屋の隅の埃に話しかけ続ける哀れな妖精 ──まずい事になったかもしれない。
”少し動いただけでキシキシ鳴る安宿の安い椅子”が鳴かないように意識しつつ、そんな椅子に座りながらギンは部屋の隅の異常光景を見やる。
「ふわふわくん! キミはなにをかんがえているんだい?!」
肩に乗せられる小鳥くらいの大きさの妖精が、部屋の隅に座りこんで埃の塊に話しかけている。勿論、埃は何も反応しない。パッと見、気が狂った哀れな妖精にしか見えない。
しかし、そんな哀れな様子を生み出したのは自分なので笑えない。最初はそんな様子を笑って眺めていたが、相手は謎理屈で村1つぶんの文房具を全て盗み出すようなバカだった。そんなバカを舐めていた。もう、笑えない。
数日前、妖精・ヴァガに「へやの すみの ”ふわふわ”は何?!」と訊かれ「エサあげてみろよ! なつくかもしれないぜ?!」と無責任に言ったが最後、純真無垢なバカは部屋の隅の埃にクッキーの欠片をあげたり、話しかけたりしている。
3154”少し動いただけでキシキシ鳴る安宿の安い椅子”が鳴かないように意識しつつ、そんな椅子に座りながらギンは部屋の隅の異常光景を見やる。
「ふわふわくん! キミはなにをかんがえているんだい?!」
肩に乗せられる小鳥くらいの大きさの妖精が、部屋の隅に座りこんで埃の塊に話しかけている。勿論、埃は何も反応しない。パッと見、気が狂った哀れな妖精にしか見えない。
しかし、そんな哀れな様子を生み出したのは自分なので笑えない。最初はそんな様子を笑って眺めていたが、相手は謎理屈で村1つぶんの文房具を全て盗み出すようなバカだった。そんなバカを舐めていた。もう、笑えない。
数日前、妖精・ヴァガに「へやの すみの ”ふわふわ”は何?!」と訊かれ「エサあげてみろよ! なつくかもしれないぜ?!」と無責任に言ったが最後、純真無垢なバカは部屋の隅の埃にクッキーの欠片をあげたり、話しかけたりしている。
RuemaTany42
INFOフォロワーさん先行公開 【弁ポエお料理再録本】『おれたちの最も甘い幸せを』サンプル※後日支部投稿します発行:4/28 おでかけライブin金沢20
https://www.youyou.co.jp/allgenre/kanazawa/20240428
通販予約:4/20 一カラット2に合わせて下記のBOOTHにて行います
https://exruema.booth.pm/items/5567946 14
Jukiya_d
PROGRESSなるべく早いうちに出したいイチ桐初えっち本の一章です!一応一章は完成形としたいですが執筆中の為今後変更の可能性もあります。ご了承下さい。
タイトル未定 如くの出られそうなイベントが年内になさそうなので恐らく通販になります。5月出たかったよぉぉ……
支部に上げた「貴方がイチバン」の加筆修正版でもあります
ここから続きをモリモリ書いていきたいと思います!頑張るぞー!! 14
キツキトウ
DONE2024/4/7怪奇中毒者は彼方《かなた》。それが私の最初の〝話〟だった。
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エブリスタ「三行から参加できる」用に新しく書いたもの。「終煙奇譚」シリーズの一つ。
終煙怪奇譚:「メメメ」.
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ふるふるふると、自身のやるせなさに震える。
ふつふつふつと焦げる心の底が、じれったさに悶える。
考えども考えども浮かばない。インクの一滴すらも進みがない。苦しく、悶え、気が晴れず、言い知れぬ心地悪さに浸食される。何かが浮かびそうで浮かばない。
ごうんごうんと、そしてがたがたと震える洗濯機の群れに囲まれながら待合の椅子に腰かけ、煙草を咥え、万年筆と手帳を片手に髪を掻き上げる。持ち上げた脛を置いた片脚が貧乏揺すりをし出しそうだ。
レトロなコインランドリーで、晴れ晴れとしない鬱屈さともう少しで何かが掴み取れそうなもどかしさに浸されている。
「クソッ、締め切りまで間がないぞ」
幸か不幸か、しかし有り難さなのか。
1672.
ふるふるふると、自身のやるせなさに震える。
ふつふつふつと焦げる心の底が、じれったさに悶える。
考えども考えども浮かばない。インクの一滴すらも進みがない。苦しく、悶え、気が晴れず、言い知れぬ心地悪さに浸食される。何かが浮かびそうで浮かばない。
ごうんごうんと、そしてがたがたと震える洗濯機の群れに囲まれながら待合の椅子に腰かけ、煙草を咥え、万年筆と手帳を片手に髪を掻き上げる。持ち上げた脛を置いた片脚が貧乏揺すりをし出しそうだ。
レトロなコインランドリーで、晴れ晴れとしない鬱屈さともう少しで何かが掴み取れそうなもどかしさに浸されている。
「クソッ、締め切りまで間がないぞ」
幸か不幸か、しかし有り難さなのか。
86mayuri
DONE全文はpixivに上げています。【墜天の王 蔭 11 蜜月】長編修帝小説の一部。追憶。原作軸。翼の団時代の回想シーン。阿修羅×帝釈天
墜天の王 11 その馴れ初めは焦がれて苦く ②.
天域の四季は比較的温暖でだいぶ気候も春めいて穏やかになってきたところだが。窓を開け放って就寝するにはまだ早い。日中の気温とはさすがに違うこともあり、帝釈天が腰掛けていた大きな出窓も今は閉じられている。
正面の窓の外で自由に枝を伸ばす桜の木はちょうど見頃を迎えていた。
商人の邸宅に咲く大きな桃の花も見事だったが、それよりも控えめな色合いの柔らかい薄紅は、彼の白に近い金糸のような髪色によく馴染む。そこで春の景色に溶け込みその一部となったように出窓で羽根を休める彼の中に、季節の移ろいを静かに見守る優しさを見たような気がした。
収まらない怒りをぶつけるまま、仕事を放り出して呆けていたとそう見えていた昼の自分とは、全く異なる見立てになったが。
3033天域の四季は比較的温暖でだいぶ気候も春めいて穏やかになってきたところだが。窓を開け放って就寝するにはまだ早い。日中の気温とはさすがに違うこともあり、帝釈天が腰掛けていた大きな出窓も今は閉じられている。
正面の窓の外で自由に枝を伸ばす桜の木はちょうど見頃を迎えていた。
商人の邸宅に咲く大きな桃の花も見事だったが、それよりも控えめな色合いの柔らかい薄紅は、彼の白に近い金糸のような髪色によく馴染む。そこで春の景色に溶け込みその一部となったように出窓で羽根を休める彼の中に、季節の移ろいを静かに見守る優しさを見たような気がした。
収まらない怒りをぶつけるまま、仕事を放り出して呆けていたとそう見えていた昼の自分とは、全く異なる見立てになったが。
キツキトウ
DONE2024/3/27彼は誰時。
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エブリスタ「三行から参加できる」用に新しく書いたもの。「終煙奇譚」シリーズの一つ。
終煙怪奇譚:「誰そ彼、その声は、」.
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『それはこっちの方がいい』
また今日も声が聞こえた。
幼い頃からこうだ。何かに迷う時、危機を回避する時、失敗して泣きそうになった時は宥め、子供ながらに悪さをしてしまった時は親に見つかる前に諭すように声が出てくる事もある。ポケットから。
ただ、最終的には己で決めるので、その声に沿う事もあれば携えた小さな反抗心で沿わない事もあった。
「お前は何にする?」
「……そうだな」
夕の色も瞑色に変化しつつある街中を抜けた先、訪れた店の卓上で、品書きの羅列を眺めながら通り過ぎたいつもの声をやり過ごす。
喉が渇き、まずは茶かそれとも酒かで迷い、けれど今の状況、結局の所最後には酒をあおる事になるのだから――
『無駄だろう』
2555.
『それはこっちの方がいい』
また今日も声が聞こえた。
幼い頃からこうだ。何かに迷う時、危機を回避する時、失敗して泣きそうになった時は宥め、子供ながらに悪さをしてしまった時は親に見つかる前に諭すように声が出てくる事もある。ポケットから。
ただ、最終的には己で決めるので、その声に沿う事もあれば携えた小さな反抗心で沿わない事もあった。
「お前は何にする?」
「……そうだな」
夕の色も瞑色に変化しつつある街中を抜けた先、訪れた店の卓上で、品書きの羅列を眺めながら通り過ぎたいつもの声をやり過ごす。
喉が渇き、まずは茶かそれとも酒かで迷い、けれど今の状況、結局の所最後には酒をあおる事になるのだから――
『無駄だろう』
うずらのたまご
DONEじんちの072のはなし。試験運用かねてリスインで行きます!リプで受け付けます!
初二次元🌈がこんなお話でいいのだろうか……w
超絶不慣れの初心者ですがどうぞお手柔らかに……
おすすめの横書き、縦書きサイト?お教えください!! 6
zeppei27
DONE一次創作〜美味しいものを知っている才能あふれる男と、美味しいものを食べさせてもらうという関係を続けてきたその平凡な友人。天才が作る食事に友人が招待された、ある日のお話。
死に至る美食 早乙女佑月という男は、妙な人間だった。物心着く頃から、何が美味しいものか、最も美味しいかを瞬時に見分ける才能があった。ひょっとすると乳幼児の頃からだったかもしれない。庭の木を見てはいつ頃栗が熟れ時か、どれから収穫すべきかを鳥よりも早く見分けて周囲に頼んでいた。最初は半信半疑だった大人たちも、何回か続くと流石に信じるようになって、ゆづきの才能は天与のものだと一目置くようになった。
見慣れた庭や畑だけではない。山に入れば酸っぱくない山葡萄や小粒の茱萸をすぐに見つけたし、あちこちに旅行した先でも美味しいものだけにありついた。生まれた日が同じだったというだけで隣に並んで生きてきた僕は、ただ横で甘露を貪る日々だった。
5074見慣れた庭や畑だけではない。山に入れば酸っぱくない山葡萄や小粒の茱萸をすぐに見つけたし、あちこちに旅行した先でも美味しいものだけにありついた。生まれた日が同じだったというだけで隣に並んで生きてきた僕は、ただ横で甘露を貪る日々だった。
86mayuri
DONE全文はpixivに上げています。【墜天の王 蔭 11 蜜月】長編修帝小説の一部。追憶。原作軸。翼の団時代の回想シーン。阿修羅×帝釈天
墜天の王 11 その馴れ初めは焦がれて苦く.
「おい!帝釈天!」
引き戸を滑らせ叩きつけるように開け放った。そのせいで扉が壊れてしまうことはなかったが。高く囀る二羽の鳥の声が聞こえた気がした。驚かせたのか忙しない羽音だけを残し、その姿を確認する前にもう飛び去った後のようだった。入室の確認も取らず押し入る来訪者に部屋の主も驚かされたことだろう。
呼びかけた相手は兵糧や武具の管理のため各所からの在庫の書き出し報告を受けて確認し、調整を考えている最中のようだ。
この、ようだったというのも。言い切れないところがあるのは、彼が紐の解かれたおさえ竹のみを右手で軽く膝に乗せた状態で、外を眺めていたように見えたからだった。
尾紙まで長く広げられ軸も放り出された長い巻物は回転が止まるまで放っておかれたのか床に悠然と河川を敷き、自由に転がっているだけ。
4233「おい!帝釈天!」
引き戸を滑らせ叩きつけるように開け放った。そのせいで扉が壊れてしまうことはなかったが。高く囀る二羽の鳥の声が聞こえた気がした。驚かせたのか忙しない羽音だけを残し、その姿を確認する前にもう飛び去った後のようだった。入室の確認も取らず押し入る来訪者に部屋の主も驚かされたことだろう。
呼びかけた相手は兵糧や武具の管理のため各所からの在庫の書き出し報告を受けて確認し、調整を考えている最中のようだ。
この、ようだったというのも。言い切れないところがあるのは、彼が紐の解かれたおさえ竹のみを右手で軽く膝に乗せた状態で、外を眺めていたように見えたからだった。
尾紙まで長く広げられ軸も放り出された長い巻物は回転が止まるまで放っておかれたのか床に悠然と河川を敷き、自由に転がっているだけ。
キツキトウ
DONE2024/3/9「午前四時の胸懐」
湯気が空へと立つマグカップを傍に置き、朝露を纏う硝子窓を眺めながら、私はまた言葉を廻らせた。
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小説SS。
「午前四時の胸懐」.
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貴方に会う為に私は目を開く
貴方に会う為に今日は文字を習った
貴方に会う為に今日も言葉を知る
貴方に会う為に私は自分に想いを廻らせた
貴方に会う為に自分がしたい事をみつけた
『いまはなにをしていますか? わたしは大きくなったら――』
小さな手で、可能な限り思いつく言葉で。
綴られていく文字の列を眺めた今の私は、幼い頃の自分に語られている。かさりと音を鳴らしながら折り目に沿って再び折りこむと、文字が連なるそれを茶けた封筒へと再び寝かせた。
『はやくあなたに会いたいです』
「早く貴方に会いたい」
様々な事があった中で、頑張って今日まで生き抜いた私に早く会いたい。
〝その時〟にはきっと、「色々あったけど、悪くなかったね」って言いたい。経験が刻まれたしわと笑みによるしわを眺めて「がんばったね」と言いたい。
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貴方に会う為に私は目を開く
貴方に会う為に今日は文字を習った
貴方に会う為に今日も言葉を知る
貴方に会う為に私は自分に想いを廻らせた
貴方に会う為に自分がしたい事をみつけた
『いまはなにをしていますか? わたしは大きくなったら――』
小さな手で、可能な限り思いつく言葉で。
綴られていく文字の列を眺めた今の私は、幼い頃の自分に語られている。かさりと音を鳴らしながら折り目に沿って再び折りこむと、文字が連なるそれを茶けた封筒へと再び寝かせた。
『はやくあなたに会いたいです』
「早く貴方に会いたい」
様々な事があった中で、頑張って今日まで生き抜いた私に早く会いたい。
〝その時〟にはきっと、「色々あったけど、悪くなかったね」って言いたい。経験が刻まれたしわと笑みによるしわを眺めて「がんばったね」と言いたい。
かがり
DOODLE(2024.2.25)追憶時系列、カプ無しのモブ視点。短い。
選択:モブ+レオ 選択ができることは、天から与えられた特権だ。常人が持ち得ない、神様に愛された故の大きな力だ。
そうして、お前は選択する。選択をしている。常々。
「セナ お前見てたら『霊感』湧いた〜〜〜! はいっ、曲!」
「ちょっとぉ、押し付けないでよねえ⁈」
また瀬名かよ、というこの場を代弁するような舌打ちは、当の本人には届かない。
それは下賜だった。
大きな力だ。「与える」か否かを選べるということは力だ。
――だから、「俺」は選択をする。
選択が、力が、お前に傷をつけられるそれが、与えられたのなら。
「お前と楽曲なんて、そんなの、楽曲を選ぶに決まってるだろ」
(王よ! 王よ!)
【終】
チェクメに向けて引き続き戦々恐々としている
339そうして、お前は選択する。選択をしている。常々。
「セナ お前見てたら『霊感』湧いた〜〜〜! はいっ、曲!」
「ちょっとぉ、押し付けないでよねえ⁈」
また瀬名かよ、というこの場を代弁するような舌打ちは、当の本人には届かない。
それは下賜だった。
大きな力だ。「与える」か否かを選べるということは力だ。
――だから、「俺」は選択をする。
選択が、力が、お前に傷をつけられるそれが、与えられたのなら。
「お前と楽曲なんて、そんなの、楽曲を選ぶに決まってるだろ」
(王よ! 王よ!)
【終】
チェクメに向けて引き続き戦々恐々としている
キツキトウ
DONE2024/2/22書きもの/「Wisteria」
蛇と藤のやらかし回。
Q「鍵屋に握られたまま体の大きさは変えられるの?」
A「鍵屋に握られたままなら私の胴が死ぬ」
※自身の治癒が間に合えば命に別状はない。
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誤字脱字あって読みづらかったらすまぬ。
Wisteria(14)「Wisteria」について異種姦を含む人外×人のBL作品。
世界観は現実世界・現代日本ではなく、とある世界で起きたお話。
R-18、異種恋愛、異種姦等々人によっては「閲覧注意」がつきそうな表現が多々ある作品なので、基本的にはいちゃいちゃしてるだけですが……何でも許せる方のみお進み下さい。
又、一部別の創作作品とのリンクもあります。なるべくこの作品単体で読めるようにはしていますがご了承を。
※ポイピクの仕様上、「濁点表現」の表示が読みづらい時がありますが脳内で保管して頂けると助かります。(もしかしたら現在はポイピクさん側が小説投稿の表示を調整してくれたかもしれません。:2022/7/7現)
44799世界観は現実世界・現代日本ではなく、とある世界で起きたお話。
R-18、異種恋愛、異種姦等々人によっては「閲覧注意」がつきそうな表現が多々ある作品なので、基本的にはいちゃいちゃしてるだけですが……何でも許せる方のみお進み下さい。
又、一部別の創作作品とのリンクもあります。なるべくこの作品単体で読めるようにはしていますがご了承を。
※ポイピクの仕様上、「濁点表現」の表示が読みづらい時がありますが脳内で保管して頂けると助かります。(もしかしたら現在はポイピクさん側が小説投稿の表示を調整してくれたかもしれません。:2022/7/7現)