Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    かがり

    @aiirokagari の絵文置き場
    司レオがメイン

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🍬 🍊
    POIPOI 60

    かがり

    ☆quiet follow

    (2025.9.27)
    第7回司レオワンドロ・ワンライお題「甘える」より

    タイトルはいい感じのが浮かんだら差し替えます

    #小説
    novel
    #司レオ
    ministerOfJustice,Leo.
    #ワンライ
    oneLai

    甘える(仮):司レオ「何をやってるんですか、あなたは⁇」
    「えーと……耳かき?」

     弓道場の扉を開けた時、そこにいたのは、座って耳かきをするレオの姿だった。

    「なんかさ、耳って急に痒くなるじゃん? うーーームズムズする‼︎ って思ってたら、そう言えば、弓道場のお泊まりセットの中に耳かきがあったような気がして……」
    「まあ、衛生用品の一つとして常備していましたね……」
     
     そもそも、主にレオが夜を徹することを想定して、弓道場には宿泊可能な設備が備え付けられている訳だが、レオが卒業した現在も撤去できないままでいる。そのことに、いつか向き合う必要性を感じてはいるものの、未だに活用されていることを思えば、暫くはそのままでも構わないだろうか。

    「というか、来るなら来ると事前に言ってください! 」 

     レオはいつものように霊感に導かれたのか、特段司に連絡があった形跡はなく、学院内どころか日本に居ることすら寝耳に水だった。
     今日の司は弓道着を持ってきていない。弓を射るためでなく、用具の補充をするためだけに立ち寄ったからだ。
     事前にレオが来ることが分かっていたら、きちんと準備をして来たし、射形のアドバイスを求めることができたかもしれないのに。

    「あ〜今日部活しにきた訳じゃないのか! 」

     レオの方も想定していなかったのか、意外そうに目を瞬かせている。
     そうして自身の耳から引き抜いた耳かきの先を、ふっ、と息をかけて吹き飛ばした。

    「まあ、折角だし、ちょっと此処にいたらいいじゃん。おれも今日この後は何にも用事ないし。なんか懐かしいだろ? リトル・ジョン達はいないけど〜、あっ、何なら耳かきしてやろっか?」
    「は⁇」

     手元の耳かきをタクトのように振るうと、レオはそんな風に突拍子もないことを口にする。

    「前になんかおもしろい反応してたし……ほら、プロデューサーにしてあげてた時」
    「いえ、あれは今でも本当にどうかと思いますよ。耳かきなんて、近しい人にしかしないでしょう……」
    「じゃあいいじゃん。おれら、付き合ってるんだしさ」

     顔を顰める司に対して、レオはあっけらかんと告げる。二人は暫く前から紆余曲折の果てに交際を始めていた。

    「……っ、少し、早い気がします、私達には」
    「おまえの耳かき観、だいぶ謎解きなんだけど……」

     おれと認識が違ってたりする⁇ とレオは不思議そうに首を傾げている。

    「耳かきってやってもらったことない?」
    「……昔。母に、やってもらったことはあります」

     しかしそれは、記憶が朧げなほどに、司が小さな頃の話だ。

    「ただ、父も母に耳かきをしてもらっていて、その空気感、といいますか……」

     自身の耳かきの記憶よりも、司の記憶に残っているのは、むしろ父母のその光景だった。

    「だって、年端もいかない子どもならともかく、自分でできることをわざわざ相手にやってもらうのって……甘えてるってことじゃないですか? 父が母に甘えてるのって、まあ、夫婦であれば当然かもしれませんが、普段厳格な面を見ていた分、子ども心に若干気まずくて……物心ついた分、今もちょっと思い出すと恥ずかしい気がしてしまう、と言いますか」

     目を逸らしながら答える司を横目に、レオは何やら得心が行ったとばかりに手のひらをポンと打つ。

    「はは〜ん、なんとなく分かった!」

     そうしてずいと司の前に歩み寄った。

    「リピートアフタミー!」
    「発音がなってません」
    「いいから! 『甘えるのは悪いことじゃない!』」
    「『甘えるのは悪いことじゃない』……はい?」

     しっかりと復唱した後、レオに対して若干怪訝な視線を向けてしまう。

    「別に、子どもじゃなくても甘えていいんだ。おまえずっと頑張ってるしさ、おれももっと、なんというか……甘やかしたい! もし恥ずかしくても、ここにはおれしかいないし!」

     胡座をかいて座ったレオが、片側の太ももをぽんぽんと叩く。

    「ほらっ、おいで! 大っぴらに甘えさせてやるっ」

     なおも逡巡する司を、レオは黙して待っている。

    「…………失礼します」
    「うん!」

     そうして慎重に頭を横たえたそこは、内腿だからか想像していたより柔らかく、そして温かかった。

    「……あの、Inspirationの予兆があった時点で耳かきをおいてくださいね?」
    「む、信用ないな〜。ルカたんのをやってあげてたこともあるんだぞ」
    「それは……信頼に値する情報ですが……」

     問答に終止符を打つように、スッと耳かきが耳の中に入ってきて、司は一旦口を噤むことになる。ゆっくりと動き出す耳かきに、少しだけ心配したような痛みなどはなくて、徐々に肩の力を抜いていった。

    「おお、綺麗なもんだな」
    「それは、まあ、自分でも処理してますから」

     普段人にまじまじと見られる場所では無いことも相まって、若干の羞恥を覚える。耳が赤くなってしまっているかもしれない。

    「痛くない?」
    「……心地良いです」

     カリカリと絶妙な力加減で耳の中を刺激される。果たしてレオは本当に耳かきが上手だった。
     そうして、とろとろと思考が緩慢になってきたところで、不意に「ふっ」と耳に息を吹きかけられた。

    「ひゃっ⁈」
    「あ、ごめんごめん! 仕上げって言うか、ほら、はんた〜い」

     ごろりと頭を転がされて、仰向けになった瞬間にレオと目が合った。ん? と覗き込まれて、垂れる髪が影を作る中で、果実みたいな瞳が煮詰まるように綻ぶ。
     人を甘やかす時の甘やかな微笑みを、視界に収めて享受する。そうして促されるままにレオの身体の側を向いて、反対側の耳を差し出した。

    「なんかさ、あるらしいじゃん? 耳かきASMR? みたいなやつ。こんな感じなのかな? おれらも仕事でやったりしないかな」

     耳の中でカリカリと響く音と感覚に混じって、普段より少しだけ密やかなレオの声が聞こえてくる。

    「Idolが、というよりは配信者の方が行う Imageの方が強いかもしれませんね。まあ、Idolであれ、今後は配信などにも力を入れていくべきなのでしょうが……」
    「ああいうのでよくある囁き声とかだと、スオ〜みたいな声質の方が合ってるのかもな〜」

     くすくすと淑やかなレオの笑い声が頭上で響く。耳に添うように置かれた手のひらの体温が心地良かった。

    「スオ〜? ……寝ちゃった?」

     控えめに問うような、レオの優しげな声が遠くに聞こえた。
     意識を手放した訳ではなく、それでも微睡の淵に立っているような感覚だった。
    「起きています」と身体を起こすことは可能であるとは思う。けれど、まだこの体温に甘えていたい、と思ってしまったのだった。
     無意識に近い感覚で、すりと太ももに頬擦りをすると、頭を優しくぽんぽんと撫でられる。その感覚を甘受しながら、ゆっくりと意識を溶かしていった。



    【終】










    「正射必中!」で書いたモブの子がその後ぎくしゃくと道場に入ってきてほしい
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖👍💞❤😍☺☺💕💕💖☺💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    岩藤美流

    DONEワンライお題「かわいい」です。
    何がかわいいって二人の関係ってことにしようと思ったんですけど、あずにゃんが「かわいい」って言いすぎていでぴが慣れて信じてくれない、みたいな設定でいこうかな、だけ考えて書きました。どっちかっていうと「火」とか「恋」のほうが主題に見える気もします。相思相愛です。


     あれは随分前のことだ。といっても、数か月程度のことだけれども。
    「イデアさんって、かわいいところがありますよね」
     何がきっかけだったか、部活の最中にひとしきり笑った後で、アズールはそうポツリと漏らしてしまった。気が緩んでいたのだ。口から零れ落ちた本音は、もう取り消せない。見れば、ポカンとした顔のイデアがこちらを見つめている。
     まずい。
     一瞬でアズールは、それまでの本気で笑っていた表情をいつもの営業スマイルへと切り替えた。
    「本当に、かわいい人だ」
     繰り返すことで、言葉に含まれた真実を、嘘で上塗りする。我ながら咄嗟の判断でよくできたと思う。思惑通り、イデアは顔をしかめて、「そーいう煽り、キツいっすわ」と溜息を吐いた。よかった。本音だとは思われなかったようだ。アズールはイデアに気付かれないように、そっと胸をなでおろした。



     陸の事はよく勉強したから知っている。人間は、一般に同性同士や親族間で番にはならない。今でこそ理解の必要性が問われ、寛容な社会の形成が始まっているとは言うけれど、それでも一般的なことではないのだ。多種多様な生態を持ち、性的タブーの形が全く異なる人魚の 3062

    岩藤美流

    DONEアズイデワンライ「誕生日」
    いつものハードプレイしている時空のあまあま誕生日。ノーマルなえっちをしたことがない二人にとっては特別なのは普通のことでしたとさ。
    『18日、金曜日ですよね。生憎モストロ・ラウンジの仕事も年の瀬を控えて忙しいので。当日はお伺いはできませんが、祝福しますよ、イデアさん』
     大切な後輩兼友人かつ恋人であるアズールが、いつも通りの営業スマイルでそう言ったのは先週のことだ。イデアは自室で一人、高級そうで繊細なティーカップを眺めている。青を基調とした優雅なそれは、確かにイグニハイドや、イデアの髪に近い色をしていたし、美しいとは思う。けれど、この汚部屋にリーチのかかったオタク部屋には不似合いだ。
     今日は日付変更からゲーム仲間にお祝いされテンションが上がったものの、この学園でバースデーボーイが晒し者になるのだということに気付いて憂鬱になりながら部屋を出た。顔も知らない寮生達にお祝いの言葉をかけられるのは、通りすがりに雪玉でもぶつけられているような気分で、イデアはとても気分が落ち着かなかった。
     購買に行く道、できるだけ人のいないところを……と、裏道を通っていると、ばったりとアズールに出会った。いやもうそれは、教科書に載せたいほど偶然に、ばったりと。
    『ああ、イデアさん。こんなところで会うなんて偶然ですね。そういえば今日、あなた 2794

    れんこん

    DONE第二回ベスティ♡ワンライ
    カプ無しベスティ小話
    お題「同級生」
    「はぁ……。」
    「んんん? DJどうしたの?なんだかお疲れじゃない?」

    いつもの談話室でいつも以上に気怠そうにしている色男と出会う。その装いは私服で、この深夜帯……多分つい先ほどまで遊び歩いていたんだろう。その点を揶揄うように指摘すると、自分も同じようなもんでしょ、とため息をつかれて、さすがベスティ!とお決まりのような合言葉を返す。
    今日は情報収集は少し早めに切り上げて帰ってきたつもりが、日付の変わる頃になってしまった。
    別に目の前のベスティと同じ時間帯に鉢合わせるように狙ったつもりは特に無かったけれど、こういう風にタイミングがかち合うのは実は結構昔からのこと。

    「うわ、なんだかお酒くさい?」
    「……やっぱり解る?目の前で女の子達が喧嘩しちゃって……。」
    「それでお酒ひっかけられちゃったの?災難だったネ〜。」

    本当に。迷惑だよね、なんて心底面倒そうに言う男は、実は自分がそのもっともな元凶になる行動や発言をしてしまっているというのに気づいてるのかいないのか。気怠げな風でいて、いつ見ても端正なその容姿と思わせぶりな態度はいつだって人を惹きつけてしまう。
    どうも、愚痴のようにこぼされる 2767

    岩藤美流

    DONEアズイデワンライ第21回お題「お菓子」お借りしました!
    なんかキャンディキスの話を書こうかなと思って、詳細を調べようとしたらマシュマロをちゅっちゅするとそれっぽい感じがするという記事が出てきたので、これアズイデちゃんでやってたらかわいいなあ、と思って書いてみました。
    なお全く描写してませんが、アズールもめえっちゃ練習はしてます。努力の君だもんね。
    イデアはオルトがスリープモードに入ったことを確認すると、いそいそと机の引き出しに隠していた紙袋を取り出した。中に入っているのは、マシュマロとチョコレート、それにキャンディだ。なんのやましいところもないお菓子……なのだが。イデアはそれをこそこそとベッドの上に並べて、溜息を吐き出した。
     そう、これらはイデアにとっては、恥ずかしい品物……つまり、彼はキスの練習をしようとしているのだった。


     経緯を簡単に説明すると、イデアは部活の後輩アズールとお付き合いをする関係になった。アズールが了承してくれたのは奇跡だと思っているし、未だに彼が自分のことを本当に恋愛対象として見ているかどうかは怪しいのだけれど、とにかく、関係は築けたのだ。これまで、部屋デートのようなことや、スキンシップは繰り返してきた。次は、キスだ。年上であるからして、こういうことはイデアがリードするべきだろう、と思っている。しかし、やり方を全然知らない。
     そこで頼ったのがネットの知恵だ。キスをするにはまず清潔感、そしてムード、ダメ押しにテクニック。イデアは熱心に記事を読み漁って、念入りに歯磨きをするようになり、練習に踏み出そうと 2823