前 浪
DONEひとじゅしとメガネの話👓⚖️🌔付き合ってるひとじゅし
glasses 早朝からの空厳寺での修行が終わり、夕方のバイトまで少し時間が空いた十四は当てもなく街中を歩いていた。
CDショップや、行きつけのアパレルショップに寄ってはみるもののあまり気分が乗らず店内をふらっと一周してすぐに出る、というのを繰り返す。
一旦家に帰ってもいいが、往復の時間を考えると少しバタつきそうだ。できればもう少しこの辺でどこかで少し時間を潰したい。
そうなると頭にまず浮かぶ場所は――
「ひっとやさーん! 遊びに来たっすー!」
ノックをして一面磨りガラスのドアが開かれるまでの間隔はほとんどなかった。
「……十四、ここは遊びに来る場所じゃねぇっていつになったら覚えンだ!! 何度も言わせんな!!」
9508CDショップや、行きつけのアパレルショップに寄ってはみるもののあまり気分が乗らず店内をふらっと一周してすぐに出る、というのを繰り返す。
一旦家に帰ってもいいが、往復の時間を考えると少しバタつきそうだ。できればもう少しこの辺でどこかで少し時間を潰したい。
そうなると頭にまず浮かぶ場所は――
「ひっとやさーん! 遊びに来たっすー!」
ノックをして一面磨りガラスのドアが開かれるまでの間隔はほとんどなかった。
「……十四、ここは遊びに来る場所じゃねぇっていつになったら覚えンだ!! 何度も言わせんな!!」
前 浪
PASTナゴヤと稲妻マーク⚡️の話📿🌔⚖️チームを組んでまだ間もない頃の三人
(2022,11/27 CDデビュー3周年作文)
⚠️CP要素はありませんが、ひとじゅしと同じ生産ラインです。ご了承ください。
blouson, pierce, pins 少し狭い路地を一歩入れば、さっきまで全身を包むように聞こえていた喧騒が一気に遠くなった。十四は、先を歩く自分の目線より少し低い背中のナゴヤ城を見失わないように小走りで追いかける。
「っと、ここだ」
「こんなところにお店があるんっすか?」
「おうよ。知る人ぞ知るってやつだ」
空却が立ち止まった少し古い建物はまだ昼間だというのに薄暗く、この路地へ迷い込んだ人を誘うように口を開けて佇んでいた。行くぞと中へと進む空却の後に続く十四は、不安そうに眉を下げながら左腕ではアマンダを抱え、右手ではそっと前を歩くスカジャンを掴んだ。
空却が足を止めたそこには店の名前も書いていないアルミ製の扉が一つ。そして躊躇いもなくそれを開いた。
4230「っと、ここだ」
「こんなところにお店があるんっすか?」
「おうよ。知る人ぞ知るってやつだ」
空却が立ち止まった少し古い建物はまだ昼間だというのに薄暗く、この路地へ迷い込んだ人を誘うように口を開けて佇んでいた。行くぞと中へと進む空却の後に続く十四は、不安そうに眉を下げながら左腕ではアマンダを抱え、右手ではそっと前を歩くスカジャンを掴んだ。
空却が足を止めたそこには店の名前も書いていないアルミ製の扉が一つ。そして躊躇いもなくそれを開いた。
前 浪
PASTひとじゅしとカフスボタンの話⚖️🌔付き合ってるひとじゅし
cuffs button 十四は悩んでいた。
クローゼットを前にぼうっと座ってもうどれぐらい経っただろうか。衣装ケースは開いたままで、ベッドの上、カーテンレール、椅子の背もたれ、至る所に服が散乱している。今一度ぐるりと見渡すが、出てくるのは小さなため息だけ。
数日後に行われるライブでの衣装が決まらないのだ。
いつもならばセットリストの世界観に合わせたものを選び、時には自作することもあるのだが今回の会場は慣れたライブハウスとは違う、いわゆるライブレストラン。音楽を聴きながら食事や飲み物を楽しんでもらう空間だ。
オールスタンディングではなく座席に座ったままゆったりと音楽に身を委ねてもらうために曲は全てアコースティックver.にアレンジした。演奏する十四たちバンドメンバーもコンセプトに合わせた衣装で華を添えることで普段聴き慣れた曲を新しい解釈、世界観で楽しんでもらうつもりだ。ヴィジュアル系であることは忘れず、しかし普段よりもシック、そしてドレッシーに。少し大人びた、いつもと違うアルゴξ楽団を見せていこうというのも狙いの一つだった。
5527クローゼットを前にぼうっと座ってもうどれぐらい経っただろうか。衣装ケースは開いたままで、ベッドの上、カーテンレール、椅子の背もたれ、至る所に服が散乱している。今一度ぐるりと見渡すが、出てくるのは小さなため息だけ。
数日後に行われるライブでの衣装が決まらないのだ。
いつもならばセットリストの世界観に合わせたものを選び、時には自作することもあるのだが今回の会場は慣れたライブハウスとは違う、いわゆるライブレストラン。音楽を聴きながら食事や飲み物を楽しんでもらう空間だ。
オールスタンディングではなく座席に座ったままゆったりと音楽に身を委ねてもらうために曲は全てアコースティックver.にアレンジした。演奏する十四たちバンドメンバーもコンセプトに合わせた衣装で華を添えることで普段聴き慣れた曲を新しい解釈、世界観で楽しんでもらうつもりだ。ヴィジュアル系であることは忘れず、しかし普段よりもシック、そしてドレッシーに。少し大人びた、いつもと違うアルゴξ楽団を見せていこうというのも狙いの一つだった。
前 浪
PASTひとじゅしとピアスの話⚖️🌔⚖️(33)×🌔(16)ぐらいの付き合ってないひとじゅし
⚠️一部捏造設定があります
pierce ぎこちない指でギターの弦を押さえる十四の前にカップが置かれる。ゆっくりと立ち上る湯気と一緒に視線を上げると、獄が「根を詰めすぎるのも良くないぞ」ともう片方の手に持っていたカップに口をつけた。十四のカップからはやさしい茶葉の香りが、目の前に座った獄のカップからは芳ばしい香りがする。
家でも毎日練習しているがその成果を見てほしいと頼み込み、十四は月に数回、獄の自宅を訪れてギターの弾き方を教わっていた。
学校にも通えるようになり、バンドを組んだという十四。裁判を終え、紆余曲折ありながらも前を向いて自分の足で歩けるようになった元依頼人の少年に、獄は弁護士としてこれ以上手を貸してやる必要はないように思えたが、預けてしまったギターの重みを考えるとその頼みを無碍にすることは出来なかった。なので、獄も自身の貴重な休日の時間を割いて、十四のギターの特訓に付き合うことにしたのだ。
4064家でも毎日練習しているがその成果を見てほしいと頼み込み、十四は月に数回、獄の自宅を訪れてギターの弾き方を教わっていた。
学校にも通えるようになり、バンドを組んだという十四。裁判を終え、紆余曲折ありながらも前を向いて自分の足で歩けるようになった元依頼人の少年に、獄は弁護士としてこれ以上手を貸してやる必要はないように思えたが、預けてしまったギターの重みを考えるとその頼みを無碍にすることは出来なかった。なので、獄も自身の貴重な休日の時間を割いて、十四のギターの特訓に付き合うことにしたのだ。
前 浪
DONEひとじゅしとリボンの話⚖️🌔🎀バレンタインデーのひとじゅし(付き合ってる)
⚠️一瞬モブが喋ります
ribbon 市街の大通りからは少し外れた車一台分ほどの脇道を行くとその店はあった。白い壁の建物の一階。大きな看板も目立つような目印もなく、知らなければ通り過ぎてしまうぐらいひっそりとした佇まい。
獄が木製の扉を体重をかけて押すと、その重さと対照的にカランカランと軽やかにカウベルが鳴る。
店に入ったと同時に仄かに甘い匂いが全身を包む。この店に通い始めた頃はこの匂いになかなか慣れず、込み上げるような胸焼けで眉間に寄る皺を抑えるのに必死だったが、今ではすっかりそれがない。
まとわりつくほどの近さでこれ以上に甘い匂いに充てられ続けていたせいか――
こんなものも身体は勝手に適応してしまうのかと一人やれやれと静かに息を吐く。
7773獄が木製の扉を体重をかけて押すと、その重さと対照的にカランカランと軽やかにカウベルが鳴る。
店に入ったと同時に仄かに甘い匂いが全身を包む。この店に通い始めた頃はこの匂いになかなか慣れず、込み上げるような胸焼けで眉間に寄る皺を抑えるのに必死だったが、今ではすっかりそれがない。
まとわりつくほどの近さでこれ以上に甘い匂いに充てられ続けていたせいか――
こんなものも身体は勝手に適応してしまうのかと一人やれやれと静かに息を吐く。
前 浪
DONEひとじゅしとネクタイピンの話⚖️🌔⚖️の誕生日のひとじゅし
⚠️付き合って、半同棲みたいな状態のひとじゅし
⚠️めっちゃ喋るモブが出てきます
⚠️🌔の感情が若干重め(当社比)
⚠️いろいろ捏造が多い
tie clip「行ってくる」とダークスーツと同じぐらい真っ黒な蝙蝠傘を手に出て行った獄を送り出して、十四はパジャマのままリビングへ向かった。
カーテンの開いた窓から見える空はどんよりと厚い雲に覆われている。まだ雨は降っていないようだが、多分今日は一日中このままだろうなと十四はため息を吐いた。
持ち無沙汰に点けたTVからは本格的な夏を前におすすめのレジャースポットを紹介する映像が流れていて、青空とそして太陽が降り注ぐ画は、実際の今の空の薄暗さと大違いにまぶしくて、十四の頭は混乱しそうだった。
今日だって、せめて天気ぐらいはこの映像ぐらい良くてもいいじゃないかと十四は恨めしそうに窓の外の灰色の空を眺める。
今日は六月二十九日。獄の誕生日だ。
12821カーテンの開いた窓から見える空はどんよりと厚い雲に覆われている。まだ雨は降っていないようだが、多分今日は一日中このままだろうなと十四はため息を吐いた。
持ち無沙汰に点けたTVからは本格的な夏を前におすすめのレジャースポットを紹介する映像が流れていて、青空とそして太陽が降り注ぐ画は、実際の今の空の薄暗さと大違いにまぶしくて、十四の頭は混乱しそうだった。
今日だって、せめて天気ぐらいはこの映像ぐらい良くてもいいじゃないかと十四は恨めしそうに窓の外の灰色の空を眺める。
今日は六月二十九日。獄の誕生日だ。