hayasugiru
MAIKING二人が乗ってるのは宇都宮線直通湘南新宿ライン小金井行きです。短い10両編成で参ります。
虎豪# 少年早熟ライン
「今度、フォワードの強化合宿が開かれるそうだ」
ある日の練習後、虎丸は豪炎寺に呼び止められて、そんな話を聞かされた。いったいなんの用かと思った。このあと虎之屋で夕飯を食べようというお誘いかと思ったので虎丸はずいぶんがっかりした。
「ふーん。オレも参加できるんですか?」
「ああ、ただし、受講生としてではなく、講師枠なんだ」
「は? コウシ?」
「先生役だよ」
「そんなの分かってますよ。馬鹿にしないでくださいよ」
――そんなのオレにできるのかなあって言ってるんですよ。
そうぼやいた虎丸に、「なんだ? 自信がないのか」といかにも意外そうに豪炎寺は返してきた。
「自信っていうか……」
自分はまだ1年生になったばかりだ。まわりはきっと年上の選手ばかりだろう。年下の自分からサッカーを教えられて、素直に言うこと聞ける人なんているんだろうか? 『うまく』やらなきゃいけないんだと思うと、気が重くてとても参加したいと思えない。ただでさえ、見ず知らずの選手たちとうまくやれる自信はまったくない。そういうのは、サッカーが好きな気持ちとは別なんだ。豪炎寺はそれがよく分かっていない、と虎丸は思う。鈍いというか、強いというか、とにかくマイペースな人だと日々感じている。だからこそ豪炎寺とならどんなフォーメーションでも組めるんだとも思うけど。
2319「今度、フォワードの強化合宿が開かれるそうだ」
ある日の練習後、虎丸は豪炎寺に呼び止められて、そんな話を聞かされた。いったいなんの用かと思った。このあと虎之屋で夕飯を食べようというお誘いかと思ったので虎丸はずいぶんがっかりした。
「ふーん。オレも参加できるんですか?」
「ああ、ただし、受講生としてではなく、講師枠なんだ」
「は? コウシ?」
「先生役だよ」
「そんなの分かってますよ。馬鹿にしないでくださいよ」
――そんなのオレにできるのかなあって言ってるんですよ。
そうぼやいた虎丸に、「なんだ? 自信がないのか」といかにも意外そうに豪炎寺は返してきた。
「自信っていうか……」
自分はまだ1年生になったばかりだ。まわりはきっと年上の選手ばかりだろう。年下の自分からサッカーを教えられて、素直に言うこと聞ける人なんているんだろうか? 『うまく』やらなきゃいけないんだと思うと、気が重くてとても参加したいと思えない。ただでさえ、見ず知らずの選手たちとうまくやれる自信はまったくない。そういうのは、サッカーが好きな気持ちとは別なんだ。豪炎寺はそれがよく分かっていない、と虎丸は思う。鈍いというか、強いというか、とにかくマイペースな人だと日々感じている。だからこそ豪炎寺とならどんなフォーメーションでも組めるんだとも思うけど。