ある弟の受難『~~~~~』
穏やかな休日の昼下がりに響く兄の叫び声。漫画片手にベッドの上でうたた寝をしていた僕はその騒がしい声に叩き起こされ苛立ちのまま舌打ちをする。兄である目金欠流が衝動のまま叫ぶのはいつもの事ではあるが、だからといって黙って許してやれるわけでもない。僕は大きな溜め息をつき苦情をいれに兄の部屋へと向かう。
「兄貴、うるさいんだけど。新作アニメだかドラマCDだか知らないけど静かにして」
「…………」
廊下を挟んで真向かいにある兄の部屋に行くと、兄は部屋に入ってきた僕に気づく事無く呆然とベッドの上で座り込んでいた。
(おかしい。いつもの兄貴じゃない)
普段とは異なる兄の様子に僕は少し身構える。いつもの兄は、やれ新作アニメに推し声優が起用されただの、やれイベ限アイテムがドロップしただのしないだので大騒ぎしているのだ。今回もどうせそういった話を延々と語られるのだろうと思っていたのだが、どうやらそうではなさそうだ。
7353