yun357
DONEキスブラワンドロお題「蛇」お借りしました(+60min)
#ksbr_60min
#ksbr_continue
🀄️🍺と紳士🍣のマフィアパロ。以前あげた「蛇足」に続く話です。
竜頭蛇尾-蛇のような男だ。
初めて会った時にそう思った。すぐに揶揄うように軽口を叩く様子にそぐわない常に相手を値踏みしているような、正体を探られるような執拗な視線。狡猾で、相手の出方を常に窺っている、その態度。
そんな男が、余裕をなくして自分を押さえ込んでいる事に何故か少しだけ、優越感を覚える。
「…条件は、全て受け入れる。と伝えた筈だ。コレもそのうちに入るのなら好きにして構わない。」
そう言うと、蛇は喉を鳴らした。
============
「城」と呼ばれるその場所は、要塞か廃墟か紙一重のような、建築法などまるで無視され、滅茶苦茶に建て増しされた居住区と、一体幾つあるのかも何が売られているのかも把握しているものはほとんど存在しない、闇市のような商業地区が積み上がり、ひしめき合うように密集した周囲からは隔絶されたこの都市唯一のブラックボックスだ。
1750初めて会った時にそう思った。すぐに揶揄うように軽口を叩く様子にそぐわない常に相手を値踏みしているような、正体を探られるような執拗な視線。狡猾で、相手の出方を常に窺っている、その態度。
そんな男が、余裕をなくして自分を押さえ込んでいる事に何故か少しだけ、優越感を覚える。
「…条件は、全て受け入れる。と伝えた筈だ。コレもそのうちに入るのなら好きにして構わない。」
そう言うと、蛇は喉を鳴らした。
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「城」と呼ばれるその場所は、要塞か廃墟か紙一重のような、建築法などまるで無視され、滅茶苦茶に建て増しされた居住区と、一体幾つあるのかも何が売られているのかも把握しているものはほとんど存在しない、闇市のような商業地区が積み上がり、ひしめき合うように密集した周囲からは隔絶されたこの都市唯一のブラックボックスだ。
yun357
DONEキスブラ#ksbr_60min +25min
お題「悪夢」お借りしました。
※虐待、罵倒等の表現を含みます。
あと少しだけセンシティブ。
please call me.『クソみたいに使えねぇガキに呼んでやる名前なんかねぇよ。』
『おいゴミ。』
『名前?要らないだろ。どうせこの仕事が終わったら他人だ。』
『盗っ人!!』
『疫病神!』
『…犯罪者』
誰も、オレの名前を呼んでくれなかった。
ディノと、ブラッドに出会うまで。
「キース!」
「…キース。」
ちゃんとオレの「名前」を呼んでくれたのは。
『……誰だ?』
キースだよ、キース・マックス。
『………そんな奴知らない。』
『そんなやつ、しらない。』
「…………っ…!!」
悪い夢を見て、目が覚めたあとは身体中の血がざぁっと流れ出していくような感覚に襲われる。
荒い息と跳ねるような心拍が落ち着くのを待って、そっと目を開ける。隣に感じられる体温に手を伸ばして起こさないようにそっと触れて静かに眠るブラッドの顔を視界に入れた。
1291『おいゴミ。』
『名前?要らないだろ。どうせこの仕事が終わったら他人だ。』
『盗っ人!!』
『疫病神!』
『…犯罪者』
誰も、オレの名前を呼んでくれなかった。
ディノと、ブラッドに出会うまで。
「キース!」
「…キース。」
ちゃんとオレの「名前」を呼んでくれたのは。
『……誰だ?』
キースだよ、キース・マックス。
『………そんな奴知らない。』
『そんなやつ、しらない。』
「…………っ…!!」
悪い夢を見て、目が覚めたあとは身体中の血がざぁっと流れ出していくような感覚に襲われる。
荒い息と跳ねるような心拍が落ち着くのを待って、そっと目を開ける。隣に感じられる体温に手を伸ばして起こさないようにそっと触れて静かに眠るブラッドの顔を視界に入れた。
yun357
DONEキスブラお題「眼鏡」お借りしました。
チューするときは…のはなし。
#ksbr_60min
Who's in the way「なぁ、ブラッド。」
そう声をかけられ、ソファのスプリングが俺の方に少し沈む。読んでいた本から目を上げて声のした方へ顔を向けるとそっとキースの指が頬に触れて、それから唇が重なった。
「んっ……」
少しカサついたキースのそれが優しく触れて、少しだけ離れてはまたやわらかに塞がれる。また離れて、今度は大きく開いた口に噛むように包まれる。何度も、何度も啄むような、噛み付くようなキスに構えていなかった分身体の芯が昂って行く。
……まだ。
まだ欲しい。もっと欲しい。招き入れるように唇を開いて、キースの首に回していた手を軽く引き寄せる。……が、来ない。浅く、優しいくちづけを繰り返すが、一向にそれ以上踏み込んでこない。いつもならそうやって応えれば深く噛み付いてくるし、ギラついたペリドットの視線は無遠慮に俺を暴き立てようと身体の隅々まで這い回るのに。
988そう声をかけられ、ソファのスプリングが俺の方に少し沈む。読んでいた本から目を上げて声のした方へ顔を向けるとそっとキースの指が頬に触れて、それから唇が重なった。
「んっ……」
少しカサついたキースのそれが優しく触れて、少しだけ離れてはまたやわらかに塞がれる。また離れて、今度は大きく開いた口に噛むように包まれる。何度も、何度も啄むような、噛み付くようなキスに構えていなかった分身体の芯が昂って行く。
……まだ。
まだ欲しい。もっと欲しい。招き入れるように唇を開いて、キースの首に回していた手を軽く引き寄せる。……が、来ない。浅く、優しいくちづけを繰り返すが、一向にそれ以上踏み込んでこない。いつもならそうやって応えれば深く噛み付いてくるし、ギラついたペリドットの視線は無遠慮に俺を暴き立てようと身体の隅々まで這い回るのに。
yun357
DONEキスブラワンドロお題「賭け事」お借りしました(+60min)
#ksbr_60min
#ksbr_continue
🀄️🍺と紳士🍣のマフィアパロ。
蛇足…不快な場所だ。といつも思う。狭く陽の光が入らない通路、何重にも重なり絡まり垂れ下がっている、秩序を失った送電ケーブル。常にどこからか水音がしていて、据えた匂いが鼻を刺激する。
だが、何より不快なのはそこら中から感じるじっとりとした視線だ。1人や2人ではない。締め切られた扉、割られた窓の隙間、至る所から。それも、殺気を孕んだものが俺の頭から脚の先までを常に這い回っている。その原因は俺にあるのは確かだが。仕立てのいいスーツやコート、一目で金を持ってると判る身なりで歩いているのだ。そんな格好の標的がただ「見られる」だけで済んでいるのは「奴」の客人であるからに他らならない。
ここはその牙城の中心部なのだから。
2218だが、何より不快なのはそこら中から感じるじっとりとした視線だ。1人や2人ではない。締め切られた扉、割られた窓の隙間、至る所から。それも、殺気を孕んだものが俺の頭から脚の先までを常に這い回っている。その原因は俺にあるのは確かだが。仕立てのいいスーツやコート、一目で金を持ってると判る身なりで歩いているのだ。そんな格好の標的がただ「見られる」だけで済んでいるのは「奴」の客人であるからに他らならない。
ここはその牙城の中心部なのだから。
yun357
DONEお題「休暇」「初めて」#ksbr_60min
少しだけ南側の土地で休暇を過ごすキスブラの話。
*キースが他言語をを少しだけ喋ります。
卵料理と知らない彼と。「Quisiera unos huevos y café, por favor.」
猫が喉の奥で鳴くような聞き慣れたはずのキースの声が、知らない音で話すのに驚いて、思わず目を向けた。
「¿dos」
「Sí.」
無愛想に見える年老いた店の主人と、たったそれだけ言葉を交わすと、コーヒーカップを二つ持って俺の居るテーブルに戻ってきた。
「…スペイン語か。」
「んー…まあな。」
「……話せたのか。」
「少しだけな。」
「…そうか。」
この男とはもうそこそこ長い付き合いになるが、そんな話は聞いた事がなかったな。とほんの少し苦々しい気持ちでコーヒーに口をつけた。
「…初めて聞いた。」
「あー…まぁ。普段は必要ねぇし。」
「…どこで?」
1064猫が喉の奥で鳴くような聞き慣れたはずのキースの声が、知らない音で話すのに驚いて、思わず目を向けた。
「¿dos」
「Sí.」
無愛想に見える年老いた店の主人と、たったそれだけ言葉を交わすと、コーヒーカップを二つ持って俺の居るテーブルに戻ってきた。
「…スペイン語か。」
「んー…まあな。」
「……話せたのか。」
「少しだけな。」
「…そうか。」
この男とはもうそこそこ長い付き合いになるが、そんな話は聞いた事がなかったな。とほんの少し苦々しい気持ちでコーヒーに口をつけた。
「…初めて聞いた。」
「あー…まぁ。普段は必要ねぇし。」
「…どこで?」