nanana
DONE末っ子ちゃんに付き合っていることがばれてしまった二人の話。スケアクロウ(シモ樹) 世界の終わりは塗料は剥げ細部は欠けボロボロになってもそれでも大切に手放されないキーホルダーの落ちる音で知らされた。
そのキーホルダーはまだ知名度もお金も何一つ持ってはおらず、世界を制覇するという壮大な夢と寮と言う名の三人の家だけを持っていたそんな頃。愛され上手の末っ子がその三人だけの秘密基地の扉の鍵につけるそろいのものが欲しいと駄々をこねて三人で買ったものだ。未だにそれをシモンとヒジュンは家の鍵から外したことはないし、樹だっていまだにそれを捨てずに机の奥にしまい込んでいることを二人は知っている。
それが落ちる音で全てが終わるのは大変におあつらえ向きで絵になりすぎていた。
そう、見られてしまったのだ。ヒジュンに。自分たちのキスシーンを。
2288そのキーホルダーはまだ知名度もお金も何一つ持ってはおらず、世界を制覇するという壮大な夢と寮と言う名の三人の家だけを持っていたそんな頃。愛され上手の末っ子がその三人だけの秘密基地の扉の鍵につけるそろいのものが欲しいと駄々をこねて三人で買ったものだ。未だにそれをシモンとヒジュンは家の鍵から外したことはないし、樹だっていまだにそれを捨てずに机の奥にしまい込んでいることを二人は知っている。
それが落ちる音で全てが終わるのは大変におあつらえ向きで絵になりすぎていた。
そう、見られてしまったのだ。ヒジュンに。自分たちのキスシーンを。
nanana
DONE「愛してるゲーム」をバラエティ番組でするあるばちゃんベッドでのそれとよく似ていたから(シモ樹) 可愛い可愛いヒジュンと、恋愛の意味でも大好きなタツキに「愛してる」だなんて言われてしまえばもう抗うことなんてできやしない。
バラエティ番組の企画で行われた「愛してるゲーム」。愛してると言われて照れた方が負け、だなんてふんわりざっくりしたゲームは見事に俺の大敗で終わる。
どれだけ「愛してる」「可愛い」「大好き」と言葉を並べても、まっすぐな瞳で「知ってる」「僕も」と返されるばかりでヒジュンは一つも照れやしないし、いつもは頼み込んだって滅多に「好き」も「愛してる」も言葉にしてくれないタツキに壁に手をつかれて、一言「愛してる」と言われてしまえばもう床に崩れこむことしかできない。
結局最後はヒジュンとタツキの一騎打ち。何ターンか粘っていたけれど、一向に変わらないヒジュンの顔色とあざとく言葉を重ねられるたびに口が回らなくなっていくタツキに勝負は見えた。両手で頬に触れながら「愛してる、だからずっと僕の隣で半分死んでて」というヒジュンの言葉がとどめだった。それを言われたらダメだって、と笑い転げているタツキの横で誇らしげな顔をしているヒジュンがこれまた愛しい。
1691バラエティ番組の企画で行われた「愛してるゲーム」。愛してると言われて照れた方が負け、だなんてふんわりざっくりしたゲームは見事に俺の大敗で終わる。
どれだけ「愛してる」「可愛い」「大好き」と言葉を並べても、まっすぐな瞳で「知ってる」「僕も」と返されるばかりでヒジュンは一つも照れやしないし、いつもは頼み込んだって滅多に「好き」も「愛してる」も言葉にしてくれないタツキに壁に手をつかれて、一言「愛してる」と言われてしまえばもう床に崩れこむことしかできない。
結局最後はヒジュンとタツキの一騎打ち。何ターンか粘っていたけれど、一向に変わらないヒジュンの顔色とあざとく言葉を重ねられるたびに口が回らなくなっていくタツキに勝負は見えた。両手で頬に触れながら「愛してる、だからずっと僕の隣で半分死んでて」というヒジュンの言葉がとどめだった。それを言われたらダメだって、と笑い転げているタツキの横で誇らしげな顔をしているヒジュンがこれまた愛しい。
nanana
DONE年越しライブ後のあるばちゃん。砂礫、またたき、宝石(シモ樹) 午前四時、年明けの賑わい冷めないソウル中心部のホテルの上層階。有名になってからは一人一部屋大きな部屋が与えられているというのに、どうしてだかアルバは樹の部屋に集合しがちだ。打ち合わせでもしているのかというくらいに同じような時刻に同じような顔をして、ヒジュンもシモンも我が物顔で樹の部屋でくつろぐ。そういうのにももう慣れた。
歌っている時以外はステージ上でもお眠の顔をしていた我らがヘッドはすでにあどけない顔をして夢の中だ。眠気でふらつきながらも自分の部屋でシャワーを浴びて律儀にも樹の部屋のインターホンを鳴らしたヒジュンは、そのままポスンとベッドに横になった。そのすぐ後にインターホンを鳴らしたシモンがそのほっぺたを人差し指でつつきながら「これもう朝まで起きないって」とケタケタと大声で笑っていたけれどぴくりとも反応しなかったから本当にそうなのだろう。
1586歌っている時以外はステージ上でもお眠の顔をしていた我らがヘッドはすでにあどけない顔をして夢の中だ。眠気でふらつきながらも自分の部屋でシャワーを浴びて律儀にも樹の部屋のインターホンを鳴らしたヒジュンは、そのままポスンとベッドに横になった。そのすぐ後にインターホンを鳴らしたシモンがそのほっぺたを人差し指でつつきながら「これもう朝まで起きないって」とケタケタと大声で笑っていたけれどぴくりとも反応しなかったから本当にそうなのだろう。
nanana
DONEしもんくんとえぶりの瞳の色が似ている話。初恋拗らせたつきとたつきが大好きなしもんくん。
月が覗く(シモ樹) 明るめの柔らかなグレーの瞳は、忘れたくても忘れられない初恋の人のそれとよく似ていた。
その初恋は望みなんて一つもなくて、そもそもどうにかする気もない、拗らせるだけ拗らせて半分どころかほとんど死んでいる初恋をよく似た瞳を持つ男に笑って欲しかっただけだった。シモンは初恋の人に似ている、酔った勢いでそんなことを告げた俺に、シモンは笑いもせずに、見たこともないほどに真剣な眼差しを少し高いところから落とした。そうだ、あの人も身長は高かったなと今このタイミングでもう一つ気が付いてしまった共通点。
「似てるならさ、俺じゃダメなの?」
は?と短く喉の奥から思わず漏れた疑問符に被せるようにして予想もしていなかった愛の言葉を耳元で囁いてみせた。
2136その初恋は望みなんて一つもなくて、そもそもどうにかする気もない、拗らせるだけ拗らせて半分どころかほとんど死んでいる初恋をよく似た瞳を持つ男に笑って欲しかっただけだった。シモンは初恋の人に似ている、酔った勢いでそんなことを告げた俺に、シモンは笑いもせずに、見たこともないほどに真剣な眼差しを少し高いところから落とした。そうだ、あの人も身長は高かったなと今このタイミングでもう一つ気が付いてしまった共通点。
「似てるならさ、俺じゃダメなの?」
は?と短く喉の奥から思わず漏れた疑問符に被せるようにして予想もしていなかった愛の言葉を耳元で囁いてみせた。
bunbun0range
DONEシモ樹シモ→樹
無自覚片思い。
見てくれない彼を見てる話 Side:S
それは始めて見る光景だった。
「タツキ!?」
「はぁ……っ、はぁ……」
薄気味悪い部屋の中、タツキが力なく床に崩れ落ちる。誰よりも早くカチャカチャとドアを開けようとしてくれていた腕は、支えを失ったようにだらんと弛緩していた。顔は真っ青で、呼吸は乱れている。easyが口癖のなんでも卒なくこなすタツキが、俺とヒジュンの目の前で急迫した状態になっていた。
薄暗くチープさが残る狭い部屋。そして、小物の影に隠してあるカメラ。極めつけは、いかにも胡散臭そうなお札。「打ち合わせの時間までここで待機してください」とスタッフに言われた時から、俺はこれが何の撮影かはなんとなく察していた。電気が消えて入口のドアに鍵がかかり、いよいよどんなリアクションを取ろうと考えた矢先。真っ先にドアが開かないか確認していたタツキが、ズルズルとその場に倒れ込んだのだ。
9255それは始めて見る光景だった。
「タツキ!?」
「はぁ……っ、はぁ……」
薄気味悪い部屋の中、タツキが力なく床に崩れ落ちる。誰よりも早くカチャカチャとドアを開けようとしてくれていた腕は、支えを失ったようにだらんと弛緩していた。顔は真っ青で、呼吸は乱れている。easyが口癖のなんでも卒なくこなすタツキが、俺とヒジュンの目の前で急迫した状態になっていた。
薄暗くチープさが残る狭い部屋。そして、小物の影に隠してあるカメラ。極めつけは、いかにも胡散臭そうなお札。「打ち合わせの時間までここで待機してください」とスタッフに言われた時から、俺はこれが何の撮影かはなんとなく察していた。電気が消えて入口のドアに鍵がかかり、いよいよどんなリアクションを取ろうと考えた矢先。真っ先にドアが開かないか確認していたタツキが、ズルズルとその場に倒れ込んだのだ。