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    「愛してるゲーム」をバラエティ番組でするあるばちゃん

    #シモ樹
    merchantPine
    ##ハンセム

    ベッドでのそれとよく似ていたから(シモ樹) 可愛い可愛いヒジュンと、恋愛の意味でも大好きなタツキに「愛してる」だなんて言われてしまえばもう抗うことなんてできやしない。

     バラエティ番組の企画で行われた「愛してるゲーム」。愛してると言われて照れた方が負け、だなんてふんわりざっくりしたゲームは見事に俺の大敗で終わる。
     どれだけ「愛してる」「可愛い」「大好き」と言葉を並べても、まっすぐな瞳で「知ってる」「僕も」と返されるばかりでヒジュンは一つも照れやしないし、いつもは頼み込んだって滅多に「好き」も「愛してる」も言葉にしてくれないタツキに壁に手をつかれて、一言「愛してる」と言われてしまえばもう床に崩れこむことしかできない。
     結局最後はヒジュンとタツキの一騎打ち。何ターンか粘っていたけれど、一向に変わらないヒジュンの顔色とあざとく言葉を重ねられるたびに口が回らなくなっていくタツキに勝負は見えた。両手で頬に触れながら「愛してる、だからずっと僕の隣で半分死んでて」というヒジュンの言葉がとどめだった。それを言われたらダメだって、と笑い転げているタツキの横で誇らしげな顔をしているヒジュンがこれまた愛しい。
     まぁそんなこんなで見事に俺は「愛してるゲーム」の最弱の名をほしいままにしてしまったわけなのだけれど、どうにも悔しくて仕方がない。ヒジュンにはどうやったって勝てそうにはないけれどタツキにならば、そう思って提案したリベンジマッチは自分が負けるだなんて微塵も思ってはいないタツキによって簡単に可決された。
     さて、どうやって勝とうか。どんな言葉を吐いたのならば照れてくれるのだろうか。
     ぐるぐる悩んではみるものの思いつかない。どうしたらいいのか。そんなことをこっちは必死に考えているのにタツキときたら司会のお姉さんと雑談なんかしながら余裕綽々の態度である。
    「シモンヒョン、シモンヒョン」
     いい考えがあるよ、とヒジュンが手招きをする。耳元にこしょこしょと内緒話。教えられた秘訣は、本当にそんなことでいいのかと思うような簡単なことだった。

    ***

    「さっきヒジュンとなんか内緒話してたけど、いい作戦でも思いついた?」
     テーブルをはさんで向かい合わせで対戦相手とご対面。頬杖をついてにやにやと笑うタツキは完全にこちらを舐め腐っている。
    「次は絶対俺が勝つから、覚悟しててよタツキ」
    「絶対に無理だと思うけど」
     ソーイージー、不敵に笑うタツキに文句を言おうとして口を閉じる。もう戦いは始まっている。
    「ハンデやるよ、シモンからスタートな」
     きっとタツキならばそういうと思っていたのだ。予定通りの展開にヒジュンに視線を向ける。ヒジュンは口元だけで、頑張って、と声援をくれた。
     司会のお姉さんのゲーム開始を告げる声。一つ息を吐いてタツキの顔を見る。よくできたお人形さんのような端正な顔立ち。それが俺の「愛してる」の言葉を待っている展開というのもなかなかに乙なものだ。
     表情を崩さないで、喋らないで。そうヒジュンはアドバイスをくれた。
    シモンヒョンは喋りすぎるからダメ。制限時間はないんだからしばらくずっと黙って目線を絶対にそらさないでタツキヒョンの目だけ見てて。
     スタジオ内に沈黙が続く。実際には三十秒もたっていないのに、喋ることのできない時間は長く感じる。あえて沈黙を貫いている俺ですらそうなのだ、タツキにはもっと長く感じられるに違いない。そんな長い沈黙にこちらを強く見つめ返してきていた視線が不意に狼狽えたように外れた。
     今だよ、ヒジュンの口元が音を立てずに動いた。その合図を受けて机に身を乗り出してタツキの耳元へと口を近づける。ギリギリでマイクに乗らない音量。できるだけ低い声で告げる「愛してる」の言葉。
     ヒュッと息を飲む音。一拍遅れて抱え込まれるタツキの小さな頭。じわじわと赤くなっていく首筋とぴょんぴょんとジャンプしながら何故か自分よりも大喜びをしているヒジュン。
     勝ち取った勝利を噛み締めながら、勝利と可愛いタツキの姿を授けてくれたヒジュンにありがとうの気持ちをこめてピースサインを送った。
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