むつき
DONEフッキ+ティダ+主人公「聖夜に輝くギャングスター」イベント
クリスマスディナー オーブンから出されたばかりのラザニアにも、こまかな泡のたちのぼるシャンパンにも、別段興味はなかった。本人が公言している通り、自身の妹とちょっとした占いと賭け以外、フッキが興味関心を寄せるものはほとんどない。マフィアファミリーの闘争に片が付き、大勢でテーブルを囲んでクリスマスディナーという結末を迎えたとしても、彼の気分に特段の変化は起こらなかった。
テーブルの上にどんな料理が並んでいるのかなど、どうでもいいのだ。本当は今すぐ妹のそばに寄り添って、あれこれと世話を焼いてやりたかった。好きなものを皿に取ってやったり、大きなチキンの骨を全部外してやったり。けれど今、当の本人は随分と忙しそうにしていた。サモナーの周りには、腰ほどまでの背丈しかない子どもたちがたくさん群がっている。待ちわびていたクリスマスをやっと迎えることができた子どもたちが、優しい年長者の庇護を受けたいと願うのは当然のことだ。
2568テーブルの上にどんな料理が並んでいるのかなど、どうでもいいのだ。本当は今すぐ妹のそばに寄り添って、あれこれと世話を焼いてやりたかった。好きなものを皿に取ってやったり、大きなチキンの骨を全部外してやったり。けれど今、当の本人は随分と忙しそうにしていた。サモナーの周りには、腰ほどまでの背丈しかない子どもたちがたくさん群がっている。待ちわびていたクリスマスをやっと迎えることができた子どもたちが、優しい年長者の庇護を受けたいと願うのは当然のことだ。
むつき
DONEナイトプールイベント、フッキ×主人公真夏の夜は 初めに夜のプールと聞いた時は、なんだかうす暗くて静かな場所を想像していた。たぶん、学校のプールのイメージが強すぎたのだと思う。直線でふちどられたプール、水色のペンキ。殺風景で、ひっそりとしていて。だけど今回招待してもらった有楽町のナイトプールは、もちろんそれとは全然違っていた。
ゴージャスで、カラフル。まさにそんな感じだった。暮れかけた空の下、そこらじゅうが輝かしくライトアップされている。楽しむべき時はこれからだと言わんばかりだった。
プールサイドに立ち並ぶ建物は南の異世界の情緒に溢れていて、黄金色に塗り染められている。そこにライトが当たってますます眩しい。水の中にライトが仕込まれているらしく、プールの中さえも光っている。いっぱいの水が光を反射して目がくらみそうだった。
4918ゴージャスで、カラフル。まさにそんな感じだった。暮れかけた空の下、そこらじゅうが輝かしくライトアップされている。楽しむべき時はこれからだと言わんばかりだった。
プールサイドに立ち並ぶ建物は南の異世界の情緒に溢れていて、黄金色に塗り染められている。そこにライトが当たってますます眩しい。水の中にライトが仕込まれているらしく、プールの中さえも光っている。いっぱいの水が光を反射して目がくらみそうだった。
むつき
DONEナイトプールイベントのフッキとヤマサチヒコお兄ちゃん対決 人工的な波の打ち寄せるプールの向こうには流れるプール。高さも長さもたっぷりのウォータースライダーに、飛び込み台の設置されているプールもある。この施設にあるすべてのプールを体験しようとすれば、到底一晩では間に合わないほどだった。
「兄貴、次はあっちへ行ってみよう」
「もちろんええぞ! おっ、なんじゃあ、滝があるのう」
せっかく来たのだから、色々体験してみないともったいない。ゴム草履の足裏をぺたぺたと鳴らしながら、ヤマサチヒコとサモナーはプールサイドを並んで歩いた。
泳いだりすべったりする合間、近くのフードワゴンに立ち寄っては、派手な色合いをしたドリンクを買ったり、揚げたてのポテトをつまんだりする。夜遅い時間にジャンクな軽食をとるなんて、普段の学生生活ではご法度だ。「いけない秘密」が増えるねなんて、冗談めかして言っては笑い合った。
3064「兄貴、次はあっちへ行ってみよう」
「もちろんええぞ! おっ、なんじゃあ、滝があるのう」
せっかく来たのだから、色々体験してみないともったいない。ゴム草履の足裏をぺたぺたと鳴らしながら、ヤマサチヒコとサモナーはプールサイドを並んで歩いた。
泳いだりすべったりする合間、近くのフードワゴンに立ち寄っては、派手な色合いをしたドリンクを買ったり、揚げたてのポテトをつまんだりする。夜遅い時間にジャンクな軽食をとるなんて、普段の学生生活ではご法度だ。「いけない秘密」が増えるねなんて、冗談めかして言っては笑い合った。
むつき
DONE本編のフッキと主人公或るディーラー こんなのは、悪党どもの常套手段だ。そんなことは分かっていた。
洒落た彼の装いは、ゲームの場を悠然と取り仕切るディーラーのようだった。さまざまなものを包み隠す、優雅な物腰。フッキと名乗った竜人の男は、力なく崩れ落ちた主人公に向かってまっすぐに視線を投げかけていた。
「助けようとしていた相手の本当の姿が、君もようやく分かったはずでしょう」
怒涛の出来事に、頭は混乱しきっていた。そんな主人公を前に、フッキはあえて言葉を重ねてみせる。相手に、より重要な事柄を理解させるように。相手が、より絶望をおぼえ、救いを求めるように。
予測もつかなかった事態や絶体絶命の修羅場なら、これまでにも幾度も切り抜けてきた。でも今回のこれは、今までのものとはレベルが違う。今まで信じてきた前提や世界のことわり。そういったものがあっけなくひっくり返っていく。まるで、テーブルの上に並べられた、ただの紙でできたカードを一枚、ぺたりとひっくり返すように。
1411洒落た彼の装いは、ゲームの場を悠然と取り仕切るディーラーのようだった。さまざまなものを包み隠す、優雅な物腰。フッキと名乗った竜人の男は、力なく崩れ落ちた主人公に向かってまっすぐに視線を投げかけていた。
「助けようとしていた相手の本当の姿が、君もようやく分かったはずでしょう」
怒涛の出来事に、頭は混乱しきっていた。そんな主人公を前に、フッキはあえて言葉を重ねてみせる。相手に、より重要な事柄を理解させるように。相手が、より絶望をおぼえ、救いを求めるように。
予測もつかなかった事態や絶体絶命の修羅場なら、これまでにも幾度も切り抜けてきた。でも今回のこれは、今までのものとはレベルが違う。今まで信じてきた前提や世界のことわり。そういったものがあっけなくひっくり返っていく。まるで、テーブルの上に並べられた、ただの紙でできたカードを一枚、ぺたりとひっくり返すように。
もろきゅう
DONEテスカとフッキさんがプチ喧嘩しながら語らう話。この二人なにもかも正反対すぎる。
賽を投げる ホウライ由来の茶をティーカップに注ぎ、駅前のデパートで買い求めた茶請けの菓子をテーブルに並べているのは、世界代行者だった。
穏やかに笑みを浮かべながらティータイムの準備をする。カップは二人分、用意されており、丸いテーブルを挟んで椅子が二つあった。
誰かと茶会の約束でもしてるのか?
いいや、約束などしていない。ホウライ出身の世界代行者に、約束などなんの意味も持たない。
「入室のマナーを御存じないのは、百歩譲って結構であるとしましょう」
誰もいない部屋で、竜種の彼がぽつりとこぼした。
「ですが、ええ、ですが……」
かつかつと靴が床を叩くような足音が響いてくる。まっすぐ、崑崙に住まう竜種のもとへ進んでくる気配もした。
4298穏やかに笑みを浮かべながらティータイムの準備をする。カップは二人分、用意されており、丸いテーブルを挟んで椅子が二つあった。
誰かと茶会の約束でもしてるのか?
いいや、約束などしていない。ホウライ出身の世界代行者に、約束などなんの意味も持たない。
「入室のマナーを御存じないのは、百歩譲って結構であるとしましょう」
誰もいない部屋で、竜種の彼がぽつりとこぼした。
「ですが、ええ、ですが……」
かつかつと靴が床を叩くような足音が響いてくる。まっすぐ、崑崙に住まう竜種のもとへ進んでくる気配もした。