はるのぶ
DONE薫晃 年末のはなし今年もよろしくお願いします
混ざりたいほど、愛おしい暇なら来れば、と晃牙くんが言ったので俺はまんまとその言葉の通りに彼の住むアパートへ行った。だって、暇だったし。
「本当に来た」
玄関で俺を受け入れていつもと同じに俺のコートをハンガーに掛けながら晃牙くんは笑った。
「来ていいって言うから」
「言った。いいよ」
実家から遠く離れて暮らしている彼はてっきり長期休暇に入ったら帰省するのだと思っていた。だけど今回は年末に仕事が入り、アパートにいる方が現場から近いし何かと便利だからここで年を越すことにしたらしい。
「蕎麦食べるか?カップ麺だけど」
小さなワンルームの小さな台所の戸棚から晃牙くんがガサゴソと出してきて、こたつにいる俺に見せる。CMでよく目にする緑色のパッケージを見て、俺はうん、と頷いた。「食べたことない。美味しい?」
1039「本当に来た」
玄関で俺を受け入れていつもと同じに俺のコートをハンガーに掛けながら晃牙くんは笑った。
「来ていいって言うから」
「言った。いいよ」
実家から遠く離れて暮らしている彼はてっきり長期休暇に入ったら帰省するのだと思っていた。だけど今回は年末に仕事が入り、アパートにいる方が現場から近いし何かと便利だからここで年を越すことにしたらしい。
「蕎麦食べるか?カップ麺だけど」
小さなワンルームの小さな台所の戸棚から晃牙くんがガサゴソと出してきて、こたつにいる俺に見せる。CMでよく目にする緑色のパッケージを見て、俺はうん、と頷いた。「食べたことない。美味しい?」
はるのぶ
MAIKING続きビー玉と真葛3「祭りってさ、誰かと行くからいいんだよね。1人で行ったら『今ってひとりぼっちなんだ』って寂しくなるだけだもん」
曰く、凛月。それはそれでとても意味のある言葉だと思う。俺も思い返せば、祭りは誰かといった思い出しかない。家族や友人、恋人になり損ねた女の子。羽風薫。
大人になってからだと少し考えが変わっていく。誰と行ってもいいし、誰とも行かなくてもいい。窓から小さく聞こえる音を見つけて、その遠くで光る瞬きを携帯に収めるだけで、そう言うお祭りに行った気分になれる。
後から気づく。きっと寂しいと言う気持ちは、誰かと居たことがあるからわかる痛みなんだ。初めから1人なら、その痛みを知ることはない。勝手に隣にいたはずの誰かを想像して、勝手に痛むもの。
3006曰く、凛月。それはそれでとても意味のある言葉だと思う。俺も思い返せば、祭りは誰かといった思い出しかない。家族や友人、恋人になり損ねた女の子。羽風薫。
大人になってからだと少し考えが変わっていく。誰と行ってもいいし、誰とも行かなくてもいい。窓から小さく聞こえる音を見つけて、その遠くで光る瞬きを携帯に収めるだけで、そう言うお祭りに行った気分になれる。
後から気づく。きっと寂しいと言う気持ちは、誰かと居たことがあるからわかる痛みなんだ。初めから1人なら、その痛みを知ることはない。勝手に隣にいたはずの誰かを想像して、勝手に痛むもの。
はるのぶ
REHABILI羽風薫さん誕生日おめでとうございます。付き合ってる薫(アイドル)×晃牙(一般人)です。
ずっとここで待ってる「おそいなぁ」
誰かに届くはずもない言葉をそうして空に呟くと、手に持っていた携帯の液晶を触る。何度もメッセージアプリを開いても彼からの返事は来ていなくて、もう1時間以上そこにある豪華な料理たちは誰の口にも入らないまま冷たくなっていた。
『ごめん、今日帰れないかも』
最後に彼から受け取ったそのメッセージを何度も眺める。いいよ、と返事をしたもののそれから彼の既読はついていない。仕事が忙しいのだろう。けれどこうして彼と繋がれるアプリがあることを嬉しく思いながら、このアプリがあることが恨めしい。こうして彼が俺のメッセージさえ見ていないことを実感しなければならないのだ。それは俺を苦しめるための一つになりえた。
1400誰かに届くはずもない言葉をそうして空に呟くと、手に持っていた携帯の液晶を触る。何度もメッセージアプリを開いても彼からの返事は来ていなくて、もう1時間以上そこにある豪華な料理たちは誰の口にも入らないまま冷たくなっていた。
『ごめん、今日帰れないかも』
最後に彼から受け取ったそのメッセージを何度も眺める。いいよ、と返事をしたもののそれから彼の既読はついていない。仕事が忙しいのだろう。けれどこうして彼と繋がれるアプリがあることを嬉しく思いながら、このアプリがあることが恨めしい。こうして彼が俺のメッセージさえ見ていないことを実感しなければならないのだ。それは俺を苦しめるための一つになりえた。