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    #鶴月

    craneMoon

    可塑chang

    DOODLE鶴月「なぜ自分なのですか」
    この男を右腕に選んで数年しても、同じように苦悶の顔で彼は鶴みに尋ねた。何度も、何度も。その度に「お前だからだ」と言い聞かせた。しかし男は「他に最もな適任者がおります」そう言って聞かなかった。大切に育まれなかった男の自尊の心は、いつになっても小さく幼い。
    それを可哀想だとは思わない。自分で育てることだって出来るはずだ。しかし最後の一歩を踏み出せないのだろう。ある程度の地位や名声は人の心を強くする。良い方にも、悪しき方にも。しかし何を与えてもこの男のそれは育ち切らず、天を仰ぐ花弁を誇らしげに見せつけることはなかった。
    事実誰でも良かった。条件が合えば、きっとこの男でなくてもよかった。しかしある一点を除いて、彼に敵う人物は結局のところ現れなかった。どの兵卒でもなく、最終的に“利き腕”としてしっくりくるのは、月しまただ一人だった。
    そのある一点とは、結局は愛玩性だ。鶴み自身の手に余る部分が幾分かないと、愛しみ甲斐がない。手を掛けて育んだと言える部分が無いと、完成した時の達成感は得られない。鶴みは幾度も行った選定の中でそれを学んだ。愛するという事は、そういうことなのだ。
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    可塑chang

    DOODLE少し不思議な原作時間軸の鯉月と、その前日譚(数年前)「鯉登」
    「おお、○○。貴様なぜ旭川に」
    「いやなに、ちょっとした使いだ。久しいな」
    「よう俺の執務室が分かったな」
    「お前の母親に聞いたよ」
    「母だと?」
    「そんな怖い顔をするな。何と言ったか…補佐役の」
    「……月島軍曹か」
    「そうだ月島だ」
    「まったく…母親とはなんだ」
    「あの軍曹、口煩いだろう?まるで母親だ」
    「貴様はまだその様な夢現のようなことを言っているのか」
    「視えるもんは仕様が無いだろう。しかし…あれは何だ?」
    「何だとはなんだ」
    「初めて見たぜ、あんな人間。いや人間ではないのか」
    「まあ感性に乏しい岩のような面白味のない奴ではあるが、列記とした私の部下だ」
    「ふぅん……では人では無くなってしまったのかもな」
    「貴様、何を見た」
    「腹から薄らとした柔らかい管がどこかに伸びてんだ。何かと繋がったものが、すうっと出ている」
    「なにを……」
    「ありゃあ、臍の緒だ。なあ鯉登、お前の世話役、何の子を孕んでるんだ?」
    「馬鹿げたことを!男が子を成すなど有り得ん!貴様はいつだってその様な世迷いごとを」
    「いいやこれは絶対だ。胎に人成らざる物を実らせてる。なあ鯉登、お前気を付けなけりゃ… 2958