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    銀鳩堂

    ここには草稿をポイポイあげて、溜まったら整えてpixivやカクヨムに移植しています。
    ツイステ二次創作小説の長編案が降りてきたので現在は主にそれを書いてます。
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    銀鳩堂

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    ヤンクロ第二部23話。
    後のクロウリー学園長=大鴉のディアヴァルの物語、美しき女王編の23話。七人の小人たちが小屋へ戻ってくる!女王の扮する老婆は危機を告げるディアヴァルに促されてその場を逃げ出したが…。(本文約2600文字/今回、豆知識はお休みです)

    #ツイステファンアート
    twistedFanArt
    #クロウリー学園長
    crowleyPrincipal.
    #ディア・クロウリー
    dearCrowley.

    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部㉓話「老婆と七人の小人たち」 ディアヴァルにかされて、老婆にふんした女王は森の中へと走り込んでいった。
     ディアヴァルが空に舞い上がって偵察してみると、木立の隙間からちらちらと、小人ドワーフたちが転んだり滑ったりしながらも家を目指して走っているのが見えた。あいつらあんなに足が短いくせに、なんであんなに早いんだ? それなのに、老婆の姿の女王は早く走ることが出来ない。早くも息をはずませて、苦しそうに走っている。ディアヴァルは女王の直ぐ側まで舞い降りると、枝から枝へと飛び移りながら女王の後を付いて行った。
     女王は森の踏み分け道を走って戻っていく。その後ろから、大声で叫ぶ怒った小人ドワーフたちの声がかすかに聞こえ始めた。このままでは追いつかれてしまう! どうすれば良いのだろうか? ディアヴァルは女王のそばを離れ、小人ドワーフたちの方へと戻っていった。
     小人ドワーフたちは、みな怒り狂ってツルハシやスコップを振りかざし、猛烈な勢いで森の中を追ってくる。ディアヴァルは木の枝を投げ落として邪魔をしてみようとしたが、小人ドワーフたちはそんな小枝など気づきもせずに走ってくる。
     愛しい人の危機なのに、自分には敵の足止めすら出来ないのか……。
     彼は恐ろしい予感に震えながら女王の元へ戻ろうとした。
     そして、気がついた。
     踏み分け道の先に、彼女が居ない。
     不安と恐怖で心臓がどくどくと脈打ち、荒い呼吸が喉を焼いた。
     彼は森の上に高く舞い上がり、あたりを見回した。
     すると、なぜか女王は元来た道をそれて、別の方向へと走っていたのだ。
     迷ったのか? それとも……もしかして、敵を城に導いてしまうことを恐れたのだろうか? 女王の進む先へと目を移した時、ディアヴァルの心臓は凍りつきそうになった。そこは次第に狭くなる突き出した崖へと続く袋小路になっていたのだ。
     そっちに行っては駄目だ!!
     ディアヴァルは急降下すると、女王の前に飛び出して羽ばたき、方向を変えさせようとした。人間の言葉で伝えようにも、焦ってしまって言葉が出てこない。女王の顔に飛びついて向きを変えさせようとしたが、女王は走るのに必死で止まろうとはしない。
     ディアヴァルは女王のかたわらを飛びながら、何度か女王がふところに手を入れかけて、やめたことに気がついた。そこには変装を元に戻す薬の小瓶が入っているはずだ。
     老婆から元の姿に戻れば、もっと早く走れるし、息も続くことだろう。
     けれどもし、この姿から元に戻るところを見られたら、スノーホワイトを殺したのが女王だと知られてしまう……。
     結局女王は薬を使うこと無く走り続けたのだった。
     そして、唐突に森が開けた。
     目の前には、切り立った崖が目もくらむ深さへと落ち込んでいる。
     女王は肩で息をしながら、崖っぷちから深淵を覗き込んだ。
     後ろから聞こえる小人ドワーフたちの怒鳴り声は、次第に大きくなってくる。
     もう、時間がない……。
     残された道はただひとつ。崖を降りることだった。
     女王は、崖っぷちに生えた木に絡まった蔦を慎重に引き剥がし、握りしめて崖を降り始めた。ディアヴァルはハラハラしながら上から見守っていた。
     と、そこにとうとう小人たちが現れて、崖っぷちに押し寄せた。
     当りを見回して「どこだ! どこへ逃げた?!」と大騒ぎしているうちに、一人が崖下を覗き込み、女王を見つけてしまった。
    「あそこだ! あんなところに居るぞ!!」
     その叫び声に、女王がはっと顔を上げて振り仰ぎ……。
     次の瞬間、足が滑って蔦からぶら下がった。
     空中に支えるものもなく宙吊りになった身体はぐらぐらと揺れ、蔦は握った手からずるずると抜け始めた。
     ディアヴァルは、気も狂わんばかりに鳴き立てて、崖の上の小人ドワーフたちをつつき回し、追い払おうとしたが、カラスごときの攻撃にひるむような彼らではなかった。
     と、その時、下の方から「あっ」と小さく叫ぶ声が聞こえた。
     ディアヴァルがさっと見下ろすと、女王が握った蔦が千切れかけているではないか。彼は急降下して、女王の元へとけ寄った。
     だが……。
     ディアヴァルが舞い降りたその目の前で、蔦は無情にも千切れ、女王は奈落の底へと落ちていった。驚きと恐怖に見開かれたトパーズゴールドの瞳が最後に刻みつけたのは、最後まで忠実にそばにいたディアヴァルの姿だった。
     崖の上では小人たちが「落ちたぞ!!」「あれでは助かるまい」などと言い合っている。
     だが、ディアヴァルにはもう小人たちのことなどどうでも良かった。
     彼は女王の後を追って急降下し、地面に叩きつけられた女王の横へと舞い降りた。
    「ガア!! ガア!! ガアアア!!」
     叫んでも、引っ張っても、女王は動かなかった。
     ディアヴァルは呆然とその場に立ち尽くした。
     そんな馬鹿な。彼女が死ぬなんて。そんなことありえない。あってはならない。絶対に。
     彼は女王の顔の横に体を寄せると、いつもそうしていたように寄り添った。だが、その身体に感じる女王の体温はゆっくりと失われ、冷たく固くなっていくのがわかるのだった……。
     その身体の冷たさが、女王が死んだことを否応なしにディアヴァルに思い知らせた。
     どれほど時間がすぎたろうか。実際にはほんの短い時間だったのかも知れない。
     ディアヴァルは少しだけ気を取り直し、女王の服を引っ張り、少しでも自然な姿勢に戻そうとした。あちこち押したり引いたりしていると、何かが転がり出てきた。
     地面に転がり、西日を受けてキラリと輝いたそれは、変身を解くための魔法の薬が入った小瓶だった。
     ああ、これがあれば、彼女は元の姿に戻れる。もう、この醜い老婆の姿のままでいなくても良いのだ。
     ディアヴァルは、足で小瓶を押さえつけ、器用に嘴で栓を抜いた。
     そして小瓶をくわえあげると、女王の顔にふりかけた。
     すると、見る見るうちに女王の顔からシワが消え、髪に色が戻り、元の顔へと戻っていった。驚きと恐怖にゆがんでいた表情すら消えて、そこには穏やかに眠っているかのような美しい横顔があった。
     その顔をしみじみと見つめていると、改めて悲しみが押し寄せてきて、ディアヴァルは大粒の涙をこぼして泣き始めた。
     しかし、その時、彼の身には思いもよらぬ危機が迫っていたのだった。

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     女王は森の踏み分け道を走って戻っていく。その後ろから、大声で叫ぶ怒った小人ドワーフたちの声がかすかに聞こえ始めた。このままでは追いつかれてしまう! どうすれば良いのだろうか? ディアヴァルは女王のそばを離れ、小人ドワーフたちの方へと戻っていった。
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    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部八話「命名」 ディアヴァルが王妃グリムヒルデに背中を撫でられて恍惚こうこつとなっていたその時、部屋のドアがキィっと開く音がした。
     誰か来た?! まさか追い払われたりはしないだろうか。王妃に魔女の疑いがかかってしまったりしたらどうしよう……。
     そんな心配が頭の中を駆け巡る。
     だが、次の瞬間、部屋に飛び込んできたのはスノーホワイト姫だった。
    「おかあしゃま、あのね……」
     そう言いかけた姫の顔はたいそう寂しげで、ディアヴァルはこんな小さな女の子がこんなにも寂しげな顔をするなんて、と胸を痛めた。が、次の瞬間、姫の顔がぱっと輝いた。
    「あっ!! カラスしゃん!! カラスしゃんだ!!」
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    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第二部1.5話「出会い」後編
    構想が固まらず止まっていた二部ですが強引に再起動。試運転的に出会いシーンの続き、王とグリムヒルデ(後の美しき女王)の出会いを書きました。
    アニメ版「白雪姫」には無いシーンで「みんなが知らない白雪姫」の筋立てとも違っていますが書きやすい方向に進んでみます。最後にカラス(鳥類)の豆知識(異種族恋愛事情)付き。豆知識は恒例にしたいです☺(本文1327文字)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部1.5話「王との出会い」(第一話前半はこちら⇨https://poipiku.com/3625622/6059932.html)


     大鴉おおがらすのディアヴァルは、美しい乙女の姿に見惚みほれていた。
     なんと美しい髪の毛。瞳も、顔も、何もかも完璧な美の化身としか思えない。いくらでも眺めていることができる。
     彼のこれまでの生涯で、こんな気持ちになるのは初めてのことだった。
     心臓がドキドキして胸が苦しく身体は熱くなって、クロウタドリの様に歌いたいような、ハヤブサの様に飛翔したくなるような、得も言われぬ心地がする。
     この奇妙な心地は何なのだろう。まるで何か魔法にでも掛かったみたいだ。そう思っているその時、乙女の家の門の前に立派な馬に乗った男が供を何人も連れて通りかかった。
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    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第2部第4話
    後のクロウリー学園長=カラスのディアヴァルの物語、美しき女王編の第4話です。
    今回は王妃グリムヒルデと白雪姫の仲睦まじいティータイムにディアヴァルがお邪魔します。こんなにも仲睦まじい二人がなぜあんなことになってしまうのか、それは今後のお楽しみ…。(本文1940文字)

    ※今回の豆知識はWIRED誌から、鳥の「名付け」について。そう、鳥たちも「名前」を持っているのです……!
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部四話「小さなお茶会」 華やかな結婚式から数日後。王城の庭園で虫を漁っていたディアヴァルは、新王妃グリムヒルデと小さな女の子がやってくるのに気がついた。女の子は、結婚式でドレスの裳裾もすそを持っていたあの子だ。参列者からは姫と言われていた。年の頃は6歳かそこらだろうか。どうも人間の子どもの年齢はわかりにくい。
     グリムヒルデは、幼い姫の手を引いて庭園の東屋あずまやをめざしているようだ。片手にはバスケットを下げている。
    「東屋についたらおやつを頂きましょうね」と、グリムヒルデは小さな姫に声をかけた。
    「はい、おかあしゃま!」と元気よく姫が答える。
     ディアヴァルには、その声や口調は、見た感じの年齢より少しばかり幼く感じられた。だがその幼さは姫をより愛らしく見せているとも思った。
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    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第2部第3話
    後にクロウリーが学園長となるカラスのディアヴァルの物語、美しき女王編の第三話です。
    今回は王とグリムヒルデ(後の美しき女王)の結婚式のシーンです。
    本文約1450文字+カラス豆知識約740文字のおまけ付き。今回の豆知識はカラスがお互いを確認する方法「コンタクトコール」についてです(資料リンクあり)。
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部三話「結婚式」 五月のよく晴れた朝、王城は晴ればれとした雰囲気に包まれていた。
     城のすべての尖塔に美しい三角旗がはためき、城門は春の花々を編み込んだ花綱で飾り立てられて開放されている。城門からは次々と来客が流れ込み、城はかつてない賑わいに沸き立っていた。
     今日は、この国の王が新たな王妃をめとる、その結婚の式典が催されるのだ。城の庭園は民草にも開放され、たくさんのご馳走と飲み物が振る舞われる。
     麗々しい式典のクライマックスは、正午の結婚の誓いだ。国の最も高位の聖職者がやってきて王と新たな王妃の誓いに立ち会い、この結婚に祝福を与えることになっている。
     その場には、もちろんディアヴァルも訪れていた。なにせ不吉とされてしまうカラスの身、あまりおおっぴらに姿を表すことはしなかったけれど、物陰から人々を観察し、ちらりとでもグリムヒルデの姿が見えないかと期待していたのだ。
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