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    hidaruun

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    hidaruun

    DOODLEさみさに♀/雨さに♀
    寒いのが苦手な審神者と散歩に行きたい五月雨「頭、庭に散歩に行きませんか?」
    そう言いながら部屋に入ってきた五月雨が襖を静かに閉じれば残り香みたいな冷気が僅かに漂ってきては彼女の頬をかすめて消えた。ホットカーペットに寝転がり、ブランケットを体にかけてぼんやりとしていた彼女は五月雨の突然の誘いに迷わず首を振る。
    「寒いから嫌」
    何をしている訳でもないのだけれど、このぬくぬくでだらけた時間が至福だった。起き上がって部屋を出て、更には外に行くなど考えられない。
    「以前よりずいぶん暖かくなりました。今日は風も無いですし梅の蕾が膨らんでいる木もありましたよ」
    「行かない」
    五月雨的には寒さが和らいだのかもしれないが、彼女としては相変わらずに体を強張らせるような気温が続いていると思う。だからここから離れたくない。この温もりを手放すつもりはないとブランケットの端を握り込んで断固拒否の姿勢を崩さないでいると、彼女の隣に五月雨がころりと寝転んで来た。癖のない藤紫色の髪がカーペットに流れる。普段は五月雨の方が背が高いから、なかなかしっかりと顔を見合わせることは無い。彼女は「ほぁ…」と思わずため息を漏らす。長い睫毛に、きめ細やかな肌。鼻、目、眉、どこを取っても端正な顔立ちにブランケットの中の温度が上がった気がした。
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    hidaruun

    DOODLEさみさに♀/雨さに♀
    食事を持ってきてくれる五月雨「やっと解放された……」
    深くため息をつき、彼女は壁に背中を預けてもたれ掛かる。豪華なシャンデリアのぶら下がる華やかなホテルの宴会場の端で、周りの楽しげな様子を彼女はぼんやりと眺めていた。
    審神者五年目研修会、という政府の大きな研修会に参加した。強制参加と言われてげんなりしていたけれど同期との交流は新鮮で楽しかったし、一週間みっちりと座学やら実技やらいろんな研修を行ったのは疲れもしたが大変為になったと思う。その打ち上げだと言われて連れてこられたのがこの宴会場だ。まさかこんな豪華なところでやるとは思ってもみなかった。立食パーティーのような形ではあったけれど、座学のレポート発表会でうっかり良い成績を残してしまった彼女は政府のお偉いさんやら先輩審神者はもちろん、同期からもたくさん声をかけられてしまい食事どころではなくなってしまった。近侍は研修の間、毎日交代するように言われていたのだが今日は五月雨だった。レポートの中身もよく知らない五月雨を巻き込むのも申し訳なく、他の刀剣男士も自由にしていたので五月雨にも「好きにご飯食べてきていいよ」と伝えた後はひたすらお喋りに巻き込まれて、それがようやく終わったのがつい先ほど。
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