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    hidaruun

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    hidaruun

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    さみさに♀/雨さに♀

    #さみさに
    onInformationAndBeliefs
    #雨さに
    inTheRain

    ホラー映画を見る二人耳に飛び込んでくる衝撃音や悲鳴に彼女は反射的に腕に力を入れた。ぎゅうっと強く目を瞑る。テレビの向こうで起こっていることはフィクションであり、別に彼女に害をなしはしないのにどうしても驚いたり怖くなったりしてしまう。「見なければいいだろう」と呆れ顔で国広に何度か言われたけれどそれはそれ、これはこれ。ストーリーは気になってしまうから彼女は今日もまたホラー映画を見ようと試みていた。
    「……怖いとこ終わった?」
    「まだです」
    ここ最近、彼女のホラー映画鑑賞会に付き合ってくれているのは五月雨だ。普段から表情筋は固い方だしわりと淡々しているから一緒に見たら怖くなくなるかもしれない、なんて誘ってみたけれどそんなことは全くなかった。ただ五月雨は彼女が騒いでも特に何を言うこともなく大袈裟に反応することもなくただ隣で見続けてくれているから安定感がある。勢いよく抱きついても微動だにしないところも良い。
    早く怖いところ終わらないかな、と五月雨にしがみつく手に力を込めたところでふと気づく。先ほどまであったテレビからの悲鳴や衝撃音は無くなり、主人公達の会話らしきものが聞こえる。そこには切羽詰まった様子もない。おや?と思った彼女は恐る恐る薄目でテレビ画面を窺うと、主人公と相棒が冗談を言い合うような穏やかなワンシーンが流れていた。
    「………終わってない?」
    「そうですね」
    「そうですね?」
    彼女が顔を見上げても特に悪びれた様子もなく、五月雨はただテレビを真っ直ぐ見つめていた。
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    hidaruun

    DOODLEさみさに♀/雨さに♀
    食事を持ってきてくれる五月雨「やっと解放された……」
    深くため息をつき、彼女は壁に背中を預けてもたれ掛かる。豪華なシャンデリアのぶら下がる華やかなホテルの宴会場の端で、周りの楽しげな様子を彼女はぼんやりと眺めていた。
    審神者五年目研修会、という政府の大きな研修会に参加した。強制参加と言われてげんなりしていたけれど同期との交流は新鮮で楽しかったし、一週間みっちりと座学やら実技やらいろんな研修を行ったのは疲れもしたが大変為になったと思う。その打ち上げだと言われて連れてこられたのがこの宴会場だ。まさかこんな豪華なところでやるとは思ってもみなかった。立食パーティーのような形ではあったけれど、座学のレポート発表会でうっかり良い成績を残してしまった彼女は政府のお偉いさんやら先輩審神者はもちろん、同期からもたくさん声をかけられてしまい食事どころではなくなってしまった。近侍は研修の間、毎日交代するように言われていたのだが今日は五月雨だった。レポートの中身もよく知らない五月雨を巻き込むのも申し訳なく、他の刀剣男士も自由にしていたので五月雨にも「好きにご飯食べてきていいよ」と伝えた後はひたすらお喋りに巻き込まれて、それがようやく終わったのがつい先ほど。
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