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    hidaruun

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    さみさに♀/雨さに♀

    #さみさに
    onInformationAndBeliefs
    #雨さに
    inTheRain

    食事を持ってきてくれる五月雨「やっと解放された……」
    深くため息をつき、彼女は壁に背中を預けてもたれ掛かる。豪華なシャンデリアのぶら下がる華やかなホテルの宴会場の端で、周りの楽しげな様子を彼女はぼんやりと眺めていた。
    審神者五年目研修会、という政府の大きな研修会に参加した。強制参加と言われてげんなりしていたけれど同期との交流は新鮮で楽しかったし、一週間みっちりと座学やら実技やらいろんな研修を行ったのは疲れもしたが大変為になったと思う。その打ち上げだと言われて連れてこられたのがこの宴会場だ。まさかこんな豪華なところでやるとは思ってもみなかった。立食パーティーのような形ではあったけれど、座学のレポート発表会でうっかり良い成績を残してしまった彼女は政府のお偉いさんやら先輩審神者はもちろん、同期からもたくさん声をかけられてしまい食事どころではなくなってしまった。近侍は研修の間、毎日交代するように言われていたのだが今日は五月雨だった。レポートの中身もよく知らない五月雨を巻き込むのも申し訳なく、他の刀剣男士も自由にしていたので五月雨にも「好きにご飯食べてきていいよ」と伝えた後はひたすらお喋りに巻き込まれて、それがようやく終わったのがつい先ほど。
    「五月雨どこ行っちゃったかな」
    本当にただの宴会場なのか?と疑いたくなるほどの大きさの部屋で申し訳ないが探しに行く元気も無い。飲み物くらい取ってこようかと思いつつ、それすらも億劫で結局彼女は壁の花のまま食事やお喋りを楽しんでいる人々を眺めていた。
    「終わりましたか」
    「お、わ」
    全てを遮るように唐突に現れた黒、緑、紫に彼女は目を瞬かせる。
    「大丈夫ですか?」
    「あ、うん。大丈夫。終わったよ〜。疲れちゃった」
    「お疲れ様です。何も食べていらっしゃらなかったようなので、よければこちら」
    ぐったりとして見せた彼女の前に差し出されたのは白いお皿。ローストビーフやカルパッチョ、マリネなどの料理が綺麗に乗せられていた。わぁっと彼女は声を上げる。五月雨も食べたやつかな、と目を輝かせてふと気づく。
    そこにあるのはどれも彼女の好きな料理ばかり。ビュッフェに行ったなら真っ先に取るであろうもの。しかも、彼女が食べられるだけの程よい量。多すぎず、少なすぎす。特に好物の海老は少し多め。
    お皿の上には五月雨の気遣いが丁寧に並べられていた。
    「……」
    「あの……お嫌いでしたか?」
    受け取らないものだから五月雨が申し訳なさそうに彼女を覗き込む。
    「そんなことない。好き」
    思いっきり首を振って、彼女は五月雨を見た。
    「大好き」
    真っ直ぐに投げかけた言葉に一瞬きょとんとした五月雨は程なくして、アメジストを柔和に細めては「私もです」と言った。
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