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    hidaruun

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    hidaruun

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    さみさに♀/雨さに♀

    #さみさに
    onInformationAndBeliefs
    #雨さに
    inTheRain

    お布団に埋もれる話「主が布団を干していたから片付けるのを手伝ってきてほしい」と歌仙に言われたので五月雨はひとつ頷いて手にあった最後のお皿を棚に仕舞った。

    思わず目を細めるような眩しい昼下がりの日差しが降り注ぐ縁側を進んでいると、何かの花びらが廊下に落ちているのが見えた。花びらはくるりとその場で一回転する。開け放たれた雨戸から午後の生温い空気がそよりと駆け込んできていた。そこはちょうど彼女の部屋の前。ここから布団を運び込んだのであれば一足遅かったかと部屋を覗くと、入り口のすぐ足元に羽毛布団に倒れ込んでいる彼女の姿があった。
    「頭?」
    「あ……ん?さみ?」
    鈍い反応を返した彼女は布団の上でもぞもぞと泳ぐだけで顔は見せない。
    「はい、さみです。布団を片付けられているのではなかったのですか?」
    「うん。でも端っこ踏んづけて転けて挫折した」
    「お怪我は?」
    「無いよ」
    「でしたらもう少し頑張りましょう」
    倒れ込んでいるのは入り口から一歩ほど進んだだけの位置。歩いたとすら言い難い距離。
    「えー……でもさぁ。干したばっかのお布団ふわふわであったかくて……なんかこのままでもいいかなって」
    「流石にこのままは」
    「でも気持ちいいよ」
    布団に埋もれたままの彼女は一向に体を起こす気配がない。ずぶずぶとそのまま沈んでいきそうだ。
    ひっぺ剥がすべきか迷いつつ五月雨は柔らかな布団に手を伸ばす。ふわりと弾んだ布団は太陽の光をたっぷりと含んでいた。五月雨はじっと手のひらを見つめる。部屋の中なのにまるでそこに陽だまりがあるようだった。手のひらに感じたそんなあたたかさに五月雨はやや迷ったが、ころりと彼女の隣に寝転んでみることにした。
    体を受け止めてくれる布団からは人口の熱とはまた違うゆっくりと包み込むような暖かさが体中に伝わってきて、五月雨は「なるほど…」と呟いた。
    「……これは…なかなか」
    「でしょ?」
    部屋に来てからようやく彼女と目が合う。顔半分を布団に埋めながら楽しそうに目を細めてこちらに笑いかけている。
    昼間に干した布団で夜に眠るのとはまた違う、どこか贅沢な寝心地。あたたかくて自然と微睡そうな。これは確かに。
    「このままでもいいかもしれませんね」
    五月雨の言葉に布団越しのくぐもった笑い声が響いた。
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    hidaruun

    DOODLEさみさに♀/雨さに♀
    食事を持ってきてくれる五月雨「やっと解放された……」
    深くため息をつき、彼女は壁に背中を預けてもたれ掛かる。豪華なシャンデリアのぶら下がる華やかなホテルの宴会場の端で、周りの楽しげな様子を彼女はぼんやりと眺めていた。
    審神者五年目研修会、という政府の大きな研修会に参加した。強制参加と言われてげんなりしていたけれど同期との交流は新鮮で楽しかったし、一週間みっちりと座学やら実技やらいろんな研修を行ったのは疲れもしたが大変為になったと思う。その打ち上げだと言われて連れてこられたのがこの宴会場だ。まさかこんな豪華なところでやるとは思ってもみなかった。立食パーティーのような形ではあったけれど、座学のレポート発表会でうっかり良い成績を残してしまった彼女は政府のお偉いさんやら先輩審神者はもちろん、同期からもたくさん声をかけられてしまい食事どころではなくなってしまった。近侍は研修の間、毎日交代するように言われていたのだが今日は五月雨だった。レポートの中身もよく知らない五月雨を巻き込むのも申し訳なく、他の刀剣男士も自由にしていたので五月雨にも「好きにご飯食べてきていいよ」と伝えた後はひたすらお喋りに巻き込まれて、それがようやく終わったのがつい先ほど。
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