drank「な、エルベ、お酒って美味いんやろか」
研究区から居住区に帰る道中、ラナークはエルベにそう尋ねた。エルベは金と赤の眼をラナークに向ける。
「なんでまた」
ラナークは八重歯を見せながらカラカラと笑った。
「今日、ハトラ主催でな、飲み会すんねやって」
「飲み会?誰が出るんだ」
エルベが食いつくと、ラナークは、ええと、と首をひねった。
「ハンザがな、引き摺られてってん」
「それで今日いないわけだな」
ハンザは、エルベ・ラナークと行動をともにする事が多い。特にダラダラと時間を持て余したり、寄り道をしたり…ということが能動的に好きなわけでもないハンザは、そういう行動の好きなエルベやラナークについていくことで時間を消費している、というわけだ。そのハンザが、今日はいなかった。もっとも、あの堅物ハンザのことだから、引きずられでもしなければ飲み会になど出ないだろうが────エルベはぼんやり考えた。それから、再度ラナークに尋ねる。
2177