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    #ぎゆしの

    Giyushino
    キメツ 義I勇×しIのIぶ

    ui_graymoon

    MOURNING2年8ヶ月放置していたらしいので、供養します。
    憂かりける人 特別な何かを期待していたわけではない。していたわけでは、ないけれど。
    「塗り薬もお出ししますからね。一日三回、ちゃんと塗ってください。朝だけじゃありませんよ? 傷をしっかり治して万全の状態で任務に挑むのも隊士の責務なんですから。柱として皆の手本となるようお願いしますね」
    「ああ」
     慣れた手つきでぐるぐると包帯を巻く同僚の姿をじっと見つめながら、義勇はこの状況について思案する。手当てをしながら小言を言われるのはいつもと変わらないが、今日は面白い程に目が合わない。
    「はい、もういいですよ」
     包帯を留めた部分をぺちと叩き、彼女――胡蝶しのぶはあっさり義勇に背を向けた。室内を忙しなく動き回って塗り薬と包帯を用意する姿は、傍から見ればただテキパキと要領よく動いているように見えるだろう。しかし、義勇にしてみれば彼女が自分から逃げているようにしか見えないし、残念ながら実際その通りなのだろうと判断するに足る心当たりがなくもない。さてどうしたものかと悩みながらも着替え終わってしまった義勇は、しのぶに促されてのそりと椅子から腰を上げた。
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