😌ああどうして、なぜなんだ。
あんなに幸福だったのに。
★
「魏先輩の調子は?」
「まだ回復には遠い」
「無理もない。あんなに喜んでいたのに『死産』だったんだから」
静室の外で小声で話された門弟達の声に、魏無羨は耳を傾けた。
そうか、死産だと伝えられているのか。
魏無羨は、淡々とそう考えた。
静室は静まりかえり、白檀の香りが色濃く漂っていた。
もうひと月、魏無羨は牀榻に横になっていた。
初めて子供を授かった時は、自身が男だというのに奇跡に驚いた。
勿論、夫の藍忘機も驚いたが、年長者である藍啓仁に聞く所によると、古代の文献には、金丹を子宮かわりにして子供が宿った例があったらしい。
魏無羨は、その月に結丹し、そして子も授かったのだ。
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