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    sgm

    @sgm_md
    相模。思いついたネタ書き散らかし。
    ネタバレに配慮はしてません。
    シブ:https://www.pixiv.net/users/3264629
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    sgm

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    お風呂シリーズ可愛いね~~~!!ってとこからの派生。
    江澄の右手の後ろに蓮の花が見える気がしました。フラワーバスですか。ちょっと見えすぎじゃないでしょうか。江宗主。大丈夫ですか。いろいろと。

    #魔道祖師
    GrandmasterOfDemonicCultivation
    #曦澄

     ゆるりと意識が浮上した途端、少しばかりの暑さを覚えて江澄は小さく眉根を寄せた。覚醒するうちに、五感が少しずつ戻ってくるのが、閉じたままの瞼の裏がほんのりと橙色になり、すでに陽が昇っていることが分かる。
    「ん……」
     小さく声を漏らしてから、ゆっくりと瞼を上げた。ぼんやりと目に飛び込んできた天井を暫く眺めて、寝返りを打つ。隣にいるはずの男がいない。卯の刻は過ぎているのだろう。手を伸ばして男がいただろう場所を探るとまだ少し温もりが残っていた。一応用意しておいた客房に戻って着替えているのか、瞑想でもしているかのどちらかだろう。ぼんやりと温もりを手のひらで感じながら、牀榻に敷かれた布の手触りを楽しむ。蓮花塢の朝餉は辰の刻前だ。起きるにはまだ早い。寝ていていいとは言われているが、共寝をする相手の起きる時間にすっかり身体が慣れてしまった。冬であればぬくぬくと牀榻の中にいるのだが、夏は暑くてその気になれない。今もじわりじわりと室内の温度が高くなり、しっとりと身体が汗ばんで来ている。
     江澄は一つ欠伸をすると、身体を起こした。昨夜の名残は藍曦臣によってすっかりと拭われているが、寝ている間に汗をかいたようだ。牀榻から降り、衣へと伸ばした手を止める。時間もあるし、藍曦臣も自室にいない。汗ばんだ身体は少し心地悪く、そのまま衣を着る気になれない。逡巡した後に、江澄は朝風呂を決め込むことにした。汗を流してさっぱりとしたい。風呂から出た後に着る夏物の衣を取り出して、部屋を出ようとしたとき、花瓶に刺さった蓮が目に入った。
     蓮を花瓶に飾ることなどないのだが、昨日、茎の折れた蓮を見かけたのだ。まだ咲き始めたばかりでもう二日、三日は花を咲かせることができるはずなのに、茎が折れた状態では、そのまま枯れてしまう。それが少しばかり哀れに思ったのと、ちょうど藍曦臣が来るから部屋に飾るのもいいだろうと考えた。切った蓮は水揚げがしにくく、すぐに枯れてしまうのだが、ほんの少しばかりの霊力を込めた水に生けておいたおかげで、三日間咲くはずの蓮は、朝昼晩と一日中蕾に戻ることなく花を咲かせていた。それを見た藍曦臣が珍しいと喜んでくれたから、江澄の昨夜の機嫌はすこぶるよかった。
     霊力の効果が切れるのか、花の寿命が尽きるのか。花弁が一枚花瓶のそばに落ちている。江澄は少しばかり考えた後、花瓶から蓮を抜き取った。水につかっていた部分を切ると、そのまま湯殿へと向かった。
     
     浴槽に湯を張り、軽く流した後に、蓮の花と一緒に風呂桶に入る。荷花池に飛び込むことは昔から何度もあったが、風呂に蓮を持ち込むことは初めてだ。似た状況だというのに、まるで違うことに驚く。湯の熱気のおかげなのか、荷花池では微かにしか香らない蓮の薫りが、強くなった。なかなか悪くない。そっとそのまま茎から手を離すと、ゆらりゆらりと花が湯に浮く。雫を花弁に湛えた終わり間際の蓮はひと際美しい、と指先で花弁を突いた。そのたびにゆらゆらと花が泳ぐ。
     目を細めて花が泳ぐ姿を眺めていると、ことりと屏風の向こうで小さな音がした。この時間、江家私邸の湯殿に入ってくる人間など一人しかいない。江澄は片眉を小さく跳ね上げた。用心のために三毒に手を伸ばすか考えもしたが、見知った相手の気配に伸ばしかけた手を止めた。
    「人の風呂を覗くとは、ずいぶんと良い趣味だな。藍渙」
     屛風から姿を現したのは予想通り藍曦臣だった。しっかりと衣を着こみ、藍氏の抹額もきちんと額に巻かれている。
    「おはようございます。部屋に戻ったら貴方がいなかったので」
     探しにきました、とにこやかに続けられた言葉に、江澄は鼻を鳴らした。
    「部屋で待っていればいいものを」
     藍曦臣から視線を外し、手を伸ばして泳ぐ蓮を捕まえる。そっと掬って手のひらに持つと、ほうとため息が聞こえた。
    「蓮の花精と見紛うようだ」
     馬鹿げたことを、と口元に笑みを浮かべていると、後ろから腕を回され、手から蓮を取られた。
    「おい、濡れているぞ」
     藍曦臣の白い袖は浴槽の中に入り、水をじわじわと吸い色が変わり始めている。濡れるぞ、と忠告しつつ、江澄は顔を上に上げた。藍曦臣の胸元に、江澄の濡れた髪が触れる。下から見上げる瞳には、朝に似つかわしくない色がすでに湛えられていた。薄く唇を開くと、許可を得たとばかりに、唇が重なった。なんどか舌を絡めただけで、唇は離れていく。藍曦臣の唇はそのまま江澄の耳へと移動した。
    「濡れてもすぐに乾くと思いませんか? これからさらに陽が高くりますし」
     秘密の話をするかのように、囁かれた言葉に、江澄は眉を上げる。今日の予定をざっと頭の中で反芻した。少しであれば支障はなさそうだと判断する。だが、素直に諾というのはつまらない。
    「乾くまでそのままか?」
     意地悪くいうと、藍曦臣が小さく首を傾げた。
    「脱いで干した方が早く乾くと思うのだけれど。どうだろう?」
     蓮を手にしていた藍曦臣の手がさらに水の中に入り込む。袖どころか、袂まで濡れることも厭わないのか、その手が湯の中を泳ぎ、江澄の胸を撫で、湯によって柔らかくなって乳首を掠る。声が出そうになるのを抑え、江澄は湯の中を泳ぎさらに身体に触れてこようとする不埒な手を抑えた。そして空いている片手で蓮の茎を掴み、そのまま水を花弁で掬うようにしながら、藍曦臣の顔めがけて水を飛ばした。水の重さに耐えきれず、蓮の花弁がはらはらと落ちる。
    「……阿澄ひどいですよ」
     抹額も湯で濡れた藍曦臣が、情けない顔をして江澄を睨んでくる。江澄は声を出して笑うと、浴槽の中で立ち上がる。湯が身体を滑り、いくつかの蓮の花弁が江澄の身体を飾った。蓮の花弁の下には、昨晩付けられた痕がいくつもまだ消えず残っていた。散った蓮の花弁の代わりに、いくつ花弁がこれからこの身に増えるのか。
     浴槽から出るのを助けるように差し出された手の平に己の手を乗せながら、江澄の唇は小さく弧を描いた。
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    sgm

    DONE去年の交流会でP4P予定してるよーなんて言ってて全然終わってなかったなれそめ曦澄。
    Pixivにも上げてる前半部分です。
    後半は此方:https://poipiku.com/1863633/6085288.html
    読みにくければシブでもどうぞ。
    https://www.pixiv.net/novel/series/7892519
    追憶相相 前編

    「何をぼんやりしていたんだ!」
     じくじくと痛む左腕を抑えながら藍曦臣はまるで他人事かのように自分の胸倉を掴む男の顔を見つめた。
     眉間に深く皺を刻み、元来杏仁型をしているはずの瞳が鋭く尖り藍曦臣をきつく睨みつけてくる。毛を逆立てて怒る様がまるで猫のようだと思ってしまった。
     怒気を隠しもせずあからさまに自分を睨みつけてくる人間は今までにいただろうかと頭の片隅で考える。あの日、あの時、あの場所で、自らの手で命を奪った金光瑶でさえこんなにも怒りをぶつけてくることはなかった。
     胸倉を掴んでいる右手の人差し指にはめられた紫色の指輪が持ち主の怒気に呼応するかのようにパチパチと小さな閃光を走らせる。美しい光に思わず目を奪われていると、舌打ちの音とともに胸倉を乱暴に解放された。勢いに従い二歩ほど下がり、よろよろとそのまま後ろにあった牀榻に腰掛ける。今にも崩れそうな古びた牀榻はギシリと大きな悲鳴を上げた。
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    sgm

    DONE江澄誕としてTwitterに上げていた江澄誕生日おめでとう話
    江澄誕 2021 藍曦臣が蓮花塢の岬に降り立つと蓮花塢周辺は祭りかのように賑わっていた。
     常日頃から活気に溢れ賑やかな場所ではあるのだが、至るところに店が出され山査子飴に飴細工。湯気を出す饅頭に甘豆羹。藍曦臣が食べたことのない物を売っている店もある。一体何の祝い事なのだろうか。今日訪ねると連絡を入れた時、江澄からは特に何も言われていない。忙しくないと良いのだけれどと思いながら周囲の景色を楽しみつつゆっくりと蓮花塢へと歩みを進めた。
     商人の一団が江氏への売り込みのためにか荷台に荷を積んだ馬車を曳いて大門を通っていくのが目に見えた。商人以外にも住民たちだろうか。何やら荷物を手に抱えて大門を通っていく。さらに藍曦臣の横を両手に花や果物を抱えた子どもたちと野菜が入った籠を口に銜えた犬が通りすぎて、やはり大門へと吸い込まれていった。きゃっきゃと随分楽しげな様子だ。駆けていく子どもたちの背を見送りながら彼らに続いてゆっくりと藍曦臣も大門を通った。大門の先、修練場には長蛇の列が出来ていた。先ほどの子どもたちもその列の最後尾に並んでいる。皆が皆、手に何かを抱えていた。列の先には江澄の姿が見える。江澄に手にしていたものを渡し一言二言会話をしてその場を立ち去るようだった。江澄は受け取った物を後ろに控えた門弟に渡し、門弟の隣に立っている主管は何やら帳簿を付けていた。
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