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    セキセ

    小説諸々アカウントにしました‼️自創作の設定などは、また別の場所でまとめておきたいと思います!

    ifカプの官能小説や創作の二次創作もあります。18禁絵もあります。ごめんな!

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    セキセ

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    須瓦兄弟と赤瀬と青瀬を入り混ぜました!!
    チャットGPTに書いてもらった文を私なりにほぼ全て改変しました。9割公式みたいな小説。

    須瓦兄弟の複雑な関係が、少しでも伝わってくれたら!嬉しいです!裏設定も少し入ってます。

    兄弟と親友本屋の扉が、きぃ……と鳴る。
    丘の上にある静かな店の、土曜日の朝。陽光は柔らかく、棚に並ぶ本の背に金の縁取りを与えていた。

    「大家さん、朝の片付け、手伝いますよ」

    赤いネクタイを結び直した青年――赤瀬は、入ってすぐに声をかけた。肩からはいつもの手帖が提げられている。今日も赤ネクタイがきっちり締まっているが、表情は穏やかだ。

    「ありがとう、赤瀬クン。もう大体済んでるけど、看板だけお願いしてもいいかな?」

    奥から現れたのは賢一。
    柔らかな目元は今日も閉じ気味で、相変わらず穏やかな声だった。

    「わかりました」

    赤瀬は微笑むと、くるりと踵を返し、入口横に置かれた《開店中》の看板を表に出した。

    ふと、微かな靴音が聞こえる。後ろを振り返った瞬間――

    「おや、ま〜た来てるのかよ。……赤瀬…とかだっけ?」

    低く、少し鼻にかかった声音が響く。
    本棚の影から現れた男は、皮肉げな笑みを口元に浮かべながら、あくまで「他人行儀」に赤瀬を見下ろしていた。

    「賢吾くん……」
    赤瀬は口元だけで笑った。が、どこか冷えた色がその目に浮かんだ。

    「今日もご機嫌ですね。不敵な笑みが、よく似合ってますよ」

    「は?何それ。褒めてんの? 嫌味?」
    賢吾は片眉を上げた。

    しかしすぐさま、鼻で笑うような声を出した。
    「それより、お前……弟さんと〜仲いいんだっけ〜〜?wwwふーん……笑」

    赤瀬の微笑みが、ほんの一瞬だけ消えた。その後すぐに、また軽く口角を上げる。

    「ええ、大家さんとはよくしてもらってますよ。あーー『賢一さん』って呼んだ方が、あなたにとってはわかりやすいですかね」

    その言い方に、賢吾の目が細くなる。

    「……ほぉ。あんた、自分が誰と関わってるか、ちゃんと分かってんだな?」

    「当然。むしろ、君がよく分かってないんじゃないですか? 大切な人を、よく知らずに悪く言うなんてのは……不愉快!ですよ〜」

    空気が少し、張り詰めた。

    賢吾の顔が強ばるどころが、分かりやすく不機嫌になった。

    「は……?お前に俺たちの何が分かんだ?」
    鋭い声で赤瀬に放つ。

    「え〜、逆に家族なのに……ナーンも分かってないんですね!笑」
    と赤瀬は冷や汗を掻きながらも言い返した。

    賢一がまずいと思ったのも束の間、「こんの!!!」と拳を振り上げた瞬間____


    「またかよ、お前。二度も三度も、よく飽きねぇな」

    空間に鋭く響いた、しかし赤瀬の声質に似た声が本屋に響いた。
    賢吾が振り向いた先には、長袖のワイシャツを着た青年が立っていた。

    青いネクタイ、軽く乱れた髪、眉間に皺を寄せた鋭い眼光ーーそして口は悪いがどこか憎めない、あの人物。

    「おい、なに険悪な空気になってんだよ。朝っぱらから面倒な空気流すなっての」

    「青瀬……!?」
    「青瀬クン……!?」

    赤瀬と賢一がほぼ同時に声を上げた。

    青瀬はいつの間にか赤瀬の横に立ち、賢吾にジロリと視線を投げた。

    「……誰かと思えば、例の兄貴か。弱腰野郎の。てかさ、目の前で赤瀬にガン飛ばしてんじゃねぇよ」

    賢吾が鼻で笑った。「はぁ?お前、誰だよ」

    「さっきお前が一丁前に喧嘩売ってた、こいつの親友だよ。お前は知らねぇだろうけど」
    青瀬は赤瀬を指差しながら賢吾に言った。

    赤瀬は(前にも注意したのに、まーた人に指差してる……)と思いながら、青瀬の次の一言を待った。

    「こいつを雑に扱ったら、俺が怒るに決まってんだろ?」その声を聞き、赤瀬は安心したが少しして吹き出す。


    「……ありがと。ちょっと笑えた」

    「笑ってろ」
    青瀬はふっと目を細めた。

    そんな二人のやりとりを、賢吾はつまらなそうに見つめながらーー
    赤瀬の手元の手帖に視線をやった。

    赤瀬は、何気なくページを開き、文面を声に出して読もうとした。
    それを賢一が見て、はっと顔を上げる。

    「赤瀬クン、待っ……」

    けれど、もう遅い。赤瀬の口が、手帖の言葉をーー

    『君の前にいる人は、不敵な笑みだね。不敵で 怖い』

    「あれま……!……あ………いや〜手帖ってば、僕の言葉を繰り返すなんて!あーははは………」と赤瀬は驚きつつも、乾いた笑い声を上げた。なんとか、誤魔化したが無駄だった。

    「……なんだと?」
    賢吾の声が、やや低く落ちた。

    空気が変わる寸前。

    赤瀬がそっと目を伏せ、声を整えてからふっと息を吐いた。

    「手帖がそう言ってるんですよ。僕じゃなくて、ね」

    続けて手帖のページに、さらに文字が浮かぶ。

    『赤瀬 やめて』

    赤瀬は真顔で言った。

    「……ごめん、手帖。君のせいにするつもりはなかったんだ…!許して!」

    隣で青瀬が溜め息をつきながら、話す。
    「もう、こんな調子だと皿洗いもお前が残した家事全般、俺がやる羽目になるぞ。マジで」

    「君、そう言って前に洗濯の色分けしてなかったじゃないか。おかげで僕のワイシャツが一度ネクタイの赤に染ってたよ」

    「あーあ、そうだっけな〜〜〜……覚えてねぇな〜〜〜〜」

    「おい」
    赤瀬は彼を見つめて短く突っ込んだ。


    ――その横で、賢一は少し離れた本棚の影で、彼らのやり取りを見ていた。必要以上に賢吾と距離を縮めない彼だが、ほんの少しだけ口元を緩めていた。


    この空間にはいろんな想いが渦巻いているけれど、それでもーー


    笑い合える時間が、ここにはある。


    ***


    店内に流れる空気が、少し和らぐ。
    赤瀬と青瀬のやりとりは、いつもどこか他愛なく、それでいて自然と場を丸くしていく力があった。

    だが、その空気の隅でーー賢吾はじっと、目の奥で何かを睨み続けていた。

    「……なあ」

    不意に、低く落とされた声。
    まるで自分の内側と戦うような、荒れた呼吸を押し殺した声音だった。

    「……お前らさ、どんだけ……仲良いわけ?」

    それは明らかに、赤瀬と青瀬に向けられた言葉だった。

    「え?あ、まあ……親友なんで」

    赤瀬が少し戸惑いながらも、肯定し、答えになってるのかなってないのかハッキリしない答えを言い放つ。

    それを気にせず、賢吾は一つの言葉をしっかり聞き取った。
    「そっか。親友、ね」

    賢吾は目を伏せ、笑った。だが、それは笑顔とは程遠いものだった。

    「なあ、賢一。お前さーー」

    唐突に向けられた名。
    赤瀬と青瀬が、同時に視線を動かす。
    賢一は一瞬だけ目を開いたように見えたが、それでも冷静に応じようとした。

    「……なんだい、兄さん」

    「こんな連中と一緒に笑ってんのが、お前の幸せ?」

    その言葉に、赤瀬の瞳が鋭く光る。

    「連中って、まさか僕らのことですか?」

    「違うってんなら、なんで俺の前でヘラヘラしてんだよ………はぁ……ったく、お前らにとっちゃ、俺だけが場違いなんだろ?」

    その瞬間、空気がまた張り詰めた。

    だが賢一は、ゆっくりと深呼吸をしながら、言葉を紡いだ。

    「……兄さんは、そう思うんだね。はぁ………僕にとっては違……」

    言いかけたところで、赤瀬が一歩、前に出た。

    「違いますよ」

    その声は、どこまでも静かで、真っ直ぐだった。

    「場違いなんて、誰にも言わせません。僕たちは、ここにいていいって、大家さんーーいえ、賢一さんが、教えてくれたんです」

    青瀬もすっと口元を曲げる。

    「それにさ、勝手に仲間外れみたいなこと言ってくれるな。そっちが拒絶すんなら、それはそれで理由があるんだろ?」

    「……」

    賢吾の瞳が、何かを探すように細められる。

    賢一はその視線を真正面から受け止めた。

    「兄さん。もし、俺がここにいる彼らといることが、君を不快にさせるなら……それは謝る。でも、俺にとっては…彼らも、大切な人たちなんだよ。人生って、そういうものだろう?」
    初めてしっかりと、賢一が賢吾に向けて自分の意志に任せて、言葉を放った瞬間だった。


    その言葉に、赤瀬は目を細めながら、
    「…賢一さーん!ありがとうございます!」と嬉しそうな声を上げた。



    青瀬はそっぽを向いて、「チッ、甘々だな」とぼやいたが、どこか顔が赤い。


    賢吾はしばらく無言のまま、その場に立ち尽くしていた。



    ***



    しばらくの沈黙が続いた。

    賢吾は目を伏せ、何かを噛みしめるように額を押さえる。
    その手が微かに震えていたのを、賢一は見逃さなかった。

    「……ああ、そうかよ。そういう“人生”か」

    低く漏れた声は、怒りとも呆れともつかない。

    「……俺だけが止まってたんだな」

    赤瀬が小さく眉を寄せた。
    青瀬も、ちらと賢吾の横顔を盗み見る。

    「なあ、赤瀬」

    不意に、賢吾が赤瀬に向き直る。呼びかけに、赤瀬はわずかに驚いたように目を瞬かせた。

    「ど、ドウシマシタ?」
    裏返ったような声で聞き直した彼は、「やっべ」と思いながらも、賢吾の次の言葉を待った。

    「君、さっき“大家さん”って呼んでたよな?……え、まさか……こいつと一緒に住んでんの?」

    「ええ、まぁーそんな感じですね。ここ上が住まいなんで。部屋は違いますがね」と赤瀬は声のトーンを変えずに答えた。


    「うっわ、まじか。……お前、変なとこで肝座ってんだな」


    賢吾が肩をすくめて笑う。
    それはようやく、ほんの少しだけ、彼自身の素の表情に近かった。

    「……褒め言葉と受け取っておきますね?」

    赤瀬が苦笑する。

    賢一はそれを見守りながら、息をついた。

    「兄さん……」ガックリと肩を落として、次におかしなこと言わないかと彼は緊張を感じていた。

    しかし、
    「……とりあえず今日は、もう帰るわ」と、言い捨てるように賢吾は背を向けた。

    その時、青瀬がぼそりとつぶやく。

    「逃げんのかよ」
    赤瀬が「馬鹿!君はなんで、そんなまた余計な一言を!」と青瀬の口元を抑えながら慌てふためいた。

    青瀬は「離せ、馬鹿」と赤瀬の腕を振り払った。


    ーーーその声は届いたのか、届いていないのか。

    賢吾は振り返らなかったが、ドアノブに手をかけたまま、一言だけ落とした。

    「……“親友”か。“大切な人”か。……そっかよ」

    そして扉を開け、風とともに出ていった。

    しん……と静まり返った空気の中で、赤瀬がぽつりと漏らす。

    「……なんか、ちょっとだけ、救われた顔してたような……」

    賢一は微笑を浮かべた。

    「……まぁ…………あれで少しは、彼も前を向けるといいんだけどね」とまたいつも通り、本の整理を再開した。

    青瀬は腕を組んだまま、ふんと鼻を鳴らす。

    「じゃなきゃ、こっちの胃が持たねーっての」

    赤瀬が笑い、賢一も安堵したように柔らかく頷く。

    外の風は、もう春の匂いがしていた。



    ____人気のない坂道を下りながら、賢吾は一度も振り返らなかった。

    夕暮れの帳が下りて、街の色がゆっくりと冷たくなっていく。けれど、彼の背中に差す風はなぜか、あたたかいような気がして、それがいっそう腹立たしかった。

    「……チッ、なにが“親友”だ。なにが“大切な人”だよ……」

    呟きは誰にも届かない。ビルの隙間に吸い込まれて、消えていく。

    コンビニの光がちらつく角を過ぎ、彼はふと足を止めた。

    手の中に、いつの間にかくしゃくしゃに握りしめられたレシートがある。
    ついさっき、店で買った缶コーヒー。無意識のうちに選んだその苦味は、まるで今の自分そのものだった。

    「“こいつと一緒に住んでんの?”、か……」

    思い返して、自分の言葉に舌打ちする。

    あんな言い方しかできない。
    近づくと、壊したくなる。
    羨ましいくせに、素直になれない。

    ポケットに手を突っ込むと、ある紙が手に当たった。

    取り出したその紙には「けん ご にい さん」と書いていた。

    賢一が子どもの頃に、あいつはもう忘れてるであろう記憶の中で俺に向けて書いてくれた名前だった。ぎこちないひらがなで書かれていた、その言葉。

    もう今のあいつは、俺のことを「名前」で呼ぶことは無くなった。

    「兄さん」「兄貴」「君」

    多分、あいつの中では俺のことを完全に拒絶してる。あいつの中では俺の存在は完全にいない者とされていた。

    当たり前だ。俺がこんな性格で、あいつにいつも酷い仕打ちばかりしていたからーーー

    しかし今更、失った信用を取り戻すことなんて到底不可能だった。

    「俺が一番、情けない」

    何年も前、無言で捨てられたはずの記憶。

    色褪せないはずだったあの記憶。


    そして、俺に向けていた兄弟としての笑顔。

    あの時のあいつは、しっかり俺の顔を見ていた。
    「……何が“兄さん”だよ、クソが」

    誰に言うでもなく、投げつけるように呟く。

    だが、手は紙を放さなかった。

    握りしめていた。


    代わりに缶コーヒーのタブを開け、ぐい、と口に運ぶ。
    中途半端にぬるくなった苦味が、喉の奥に絡みついた。

    ふいに、頭をよぎるのは赤瀬の声だった。
    あのやけに澄ました顔で、「ここにいていいって、大家さんが教えてくれたんです」なんて、臆面もなく言ってのける。

    「……アイツ、怖くねぇのかよ。……あの姿、見てねぇのか?」

    そう思って、気づく。

    きっと、赤瀬は見てる。全部。
    それでも、そこにいて、賢一を“好き”って言える。

    「……畜生。俺だけ完全な………」

    自嘲気味にこぼしながら、缶を傾けたその時。

    街灯の下に浮かぶ自分の影が、ふと、誰かの背中に似て見えた。

    あの頃――まだ賢一が自分を「けんご兄さん」と呼び、
    自分が、守るつもりで隣にいたはずの、あの頃。

    喉が、熱くなる。

    「……はは、馬鹿みてぇ」

    ひとり、笑ってみせる。
    誰もいない、夜の路地で。

    でもその笑いは、少しだけ。
    ほんの少しだけ、苦しくなかった。

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