【イチ桐】願いを込めて ベンチの上に瓶を置き、上からパンッと押してビー玉を落とせば途端に溢れ出てくる炭酸の泡に春日はあぁぁあ……! と声を上げて慌てて瓶を持って自分の前に持って来た。
「何やってんだ。ラムネはこうやって開けんだよ」
そんな春日の横で、桐生はフフンと自慢気に笑みを浮かべ。ベンチに置いてパンッと手で蓋を押したまでは一緒。だが、その後すぐに手を離さずシュゥゥ……と炭酸が落ち着くまでじっと待機してから静かに蓋を取って見せると、春日がおぉぉ! と感動するのに桐生はわかりやすいドヤ顔をしてみせた。
「しっかし、夜になっても暑いな……」
「っすねー……」
真夏の夜、屋上テラスのベンチに並んで座り。膝下まで裾を捲った足は水を張った桶にそれぞれ突っ込み、春日と桐生は商店街で貰ったラムネを楽しんでいた。
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