片付かない雛人形 自分でver.重大な事実に気がついてしまい、シャスティルはサッと青ざめる。
「バルバロス……大変だ」
出てきた声は予想以上に沈痛にひびき、声をかけられたバルバロスもどうしたのかと眉間にシワを寄せる。
ここ最近、あまりの仕事量に忙殺されて家にもほとんど帰れていなかったシャスティルは、寝ても覚めても仕事のことで頭がいっぱいだった。睡眠と食事だけはきちんと取れていたが、家のことまでは頭が回っていなかった、というのは言い訳だろう。やってしまった、という思いが頭の中をかけめぐっていくのを自覚しながら、シャスティルがゆっくりと口を開いた。
「雛人形、まだ片付けてなかったんだ…」
「ひなにんぎょう……?」
聞きなれないといった様子のバルバロス。
1960