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    とびはね

    まどめのバルシャスに沼ってしまった…
    悪ポン⇒コミカライズ⇒原作。アニメ見たかった…
    いっぱいバルシャスみたい。

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    とびはね

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    4月入っても片付けてなかった雛人形を見ながら思い付いた話。ばるばろすくんには頑張っていただきたい…。

    支部には途中まで同じの、外野ver.も置いてますのでよろしければそちらも。

    #まどめ
    #バルシャス

    片付かない雛人形 自分でver.重大な事実に気がついてしまい、シャスティルはサッと青ざめる。

    「バルバロス……大変だ」

    出てきた声は予想以上に沈痛にひびき、声をかけられたバルバロスもどうしたのかと眉間にシワを寄せる。
    ここ最近、あまりの仕事量に忙殺されて家にもほとんど帰れていなかったシャスティルは、寝ても覚めても仕事のことで頭がいっぱいだった。睡眠と食事だけはきちんと取れていたが、家のことまでは頭が回っていなかった、というのは言い訳だろう。やってしまった、という思いが頭の中をかけめぐっていくのを自覚しながら、シャスティルがゆっくりと口を開いた。

    「雛人形、まだ片付けてなかったんだ…」
    「ひなにんぎょう……?」

    聞きなれないといった様子のバルバロス。
    当然だろう。シャスティルもリリスとセルフィから土産としてもらうまで、その存在を知らなかったのだ。しばらく考え込む様子だったが、ふと思い当たったかのように、バルバロスから言葉がでてきた。
    「なんだったけ、リュカオーンの人形だったよな」
    「うん、本当は子どもの頃にもらうもので、厄災とかを肩代わりしてもらうものらしい。女の子の成長を願うものだな」

    人形など物に厄を肩代わりさせるという考え方はこちらにもあるらしい。そして、そのためには何らかの儀式が必要とのことだ。
    そして、雛人形は特定の日に片付けなかった場合、人形を大切にしていないとしてペナルティがある。それがーー
    「このままじゃお嫁に行けないっ…!」
    「は?」
    笑い飛ばそうとしたバルバロスが、途端に目を丸くする。『迷信を真に受けてるの?』とその目がありありと語っている。
    「いやいや!幸せになるようにって人形なんだろ!?なんで、そんな呪いみたいになんのっ!?」
    「ほら、見てくれ。この人形。素敵な服を着てるだろ」
    「まぁ、派手な服着てるなぁとは思う」
    「リュカオーンの結婚式を模しているらしくて、幸せな結婚が出来ますようにというものだ。でも期日を過ぎても飾らなかったり、逆に片付けるのを出し忘れたりしたら、いつまで経っても結婚出来ないと言われているらしい……」
    説明しながら、だんだんと声が小さくなっていく。『結婚しなければならない』というわけではないが、いつかウエディングドレスを着てみたいという憧れくらいは年相応にあるのだ。結婚できないと言われたら気にしてしまうのが乙女心というやつだ。
    「魚の月3日が過ぎたら、片付けないといけなかったのに」
    「今は羊の月だから…もう半月近く経ってんのか」
    仕事で家に帰る暇もなかったとはいえ、母に頼むなり、出来たこともあったはずなのにと悔やんでも悔やみきれない。
    「せっかくリリスさんたちがくれたのに…」
    「あー、なんつーか。仕方ねえんじゃねぇか?」
    珍しくバルバロスが慰めてくれるのだが、沈み込んでしまう気持ち。あの時ああしておけば、なんてたらればが浮かんでしまう。
    「うぅ、でも…」
    「あぁっ、もう!だからそんなに気にする必要ねぇだろ!」
    「だ、だってリルクヴィスト家の子どもは私だけだし、結婚しないと……」
    ついしょぼしょぼとしてしまうシャスティルに、だんだんとはバルバロスがイライラしていくのがわかった。イライラが頂点に達したのか、彼はシャスティルを怒鳴り付けるように叫ぶ。
    「なら俺がもらってやるから文句ねぇだろっ!」

     ※ ※ ※

    (結婚、結婚ってうるせぇんだよっ!)
    シャスティルがあまりにも結婚がどうのと言うごとに、何故かイライラしてしまう。

    「なら俺がもらってやるから文句ねぇだろっ!」

    そんなことが頭をかすめたときには、すでにバルバロスは感情のままに、シャスティルに向かって先の言葉を叫んでいた。
    「えっ?」
    「へ?」
    目の前のシャスティルがこれでもかというくらいに目を見開く。それを見て、焦れた自分の口から何が飛びだしたのかと、自覚していく。一瞬で身体中の血が逆流したのではないかと思うくらい顔に熱が集まった。
    「あ、なっ」
    「え、えっと…?」
    戸惑うシャスティルに、何と返すべきか。
    考える前に手は動いていた。手近にあったクッションを彼女の顔に押し付ける。
    「ぶふっ!?」
    「だ、だから期限とか、気にせず好きなときに片付ければいいだろっ」
    ぐいぐいと押し付けられるクッションに「バルバロスっ!」と抗議の声をあげられて、ハッとする。
    「っ、わりぃ」
    「いや、その……うん。じゃあ、予定のない休みにでも、片付ける……」
    「お、おう。そうしとけ」
    照れを隠すようにへにゃりと笑ったその表情に、また心臓が跳びはねていたのだが。
    「いつか『そのとき』が来たら、もらってくれるのなら安心だな」
    聞こえないようにか小さく呟かれたそれに、魔術だけではどうしようもなくなった。
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