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    ᴅᴀʏ𝟫

    オファーリング・マイディア愛でられるために、形作られたもの。

    その形を何よりも知っていて、理解していました。

    はい、それはもう間違いない程に。

    そのはずなのに。

    貴方たちと何処が違いましたか。何処を間違えましたか。

    確かに咲いていたはずなのです。

    包まれ守られ、愛されていたその手の中に。



    「……あ、これ」

    ぼうっと図鑑を眺めていたシルルが、ページを捲ると同時にポツリと呟く。そこに写っていたのは、眩しいほどのオレンジ色が特徴的な、見覚えのある花だった。

    「ビーネ、みたい、はな……」

    それは、表題に大きなゴシック体で“マリーゴールド”と書かれたページ。その花だけでは無く、レイアウトも、写真も、そのページの全てに見覚えがあった。

    ……まだ、すごくすごく暑かった頃。みんながまだ、元気だった頃。みんながまだ、誰一人として欠けず、揃っていた頃。

    この図鑑を見ながら、花を摘んだことを覚えている。みんなで笑い合ったことを覚えている。来年もこうしていたいと思ったことを、覚えている。

    だからこそ、この図鑑を選んだのだ。思い出の本だったから。思い出は大切だから。

    大切なものならば、まだ理性で抑えが効くと思った。

    だって、そうしないと。全てが、何もかもが、美味しそうに見えるの。口に含んで、食べたくて。噛みたくて裂きたくて頬張りたくて飲み込みたくて胃に詰め込みたくて。

    ……おなか、すいた。

    「シルル。」

    背後から柔らかく響いた声に、ハッと意識が戻ってくる。振り返れば、そこにはオートミールがいつものように微笑んで立っていた。

    「勉強ですか?ぼくで良ければ、おしえてあげますよ〜」

    「ほんと?シルル、したい、ある……いっしょ、する、ほしい…!」

    「したいこと、ですか?ふふ、なんでしょう。ぼくができることなら、なんでもお手伝いします」

    オートミールはシルルの言葉に快く頷くと、隣へ歩み寄ってくる。シルルはその様子を見つめて、そうしてありがとうと笑みを浮かべた。

    ね、ほら、大丈夫。

    この本だって食べない。部屋にずっと飾っておいている包み紙だって食べない。食べちゃだめなもの。思い出、宝物。大切。

    だいすき、みんな、わすれない。だから、たからもの、なくす、だめ。

    これだけは絶対に見失ってはいけないのだということは、分かる。

    「これ、ビーネ、にてる、はな」

    開いたままだった先のページを指差すと、それに吸い寄せられていくようにオートミールが覗き込んだ。

    「はい、マリーゴールド…もちろん、覚えていますよ。3人でお花を摘んだので」

    本を覗くために折った腰を戻しながら、オートミールは懐かしむように頷く。柔らかく微笑んだ口元は、少しばかり寂しそうに見えた。

    「おれんじ、ちいさい。さく、ながい…」

    「おぼえる、してる……!」

    シルルがふふん、と得意げに口を開いたのを見て、オートミールは伏せた睫毛を揺らす。

    「ふふ、よく覚えていますね。すごいです!」

    「ほめる、くれた!」

    オートミールの言葉に、シルルは目を輝かせて笑みを浮かべた。無邪気に喜ぶその姿がとても眩しく見えて、あの時の日差しの眩しさと重なる。あの日の全てを思い出せそうだと思った。

    別に、忘れていたわけではないですが。

    鮮明に、昨日のことのように。これはそういう意味です。

    「もうひとつ、約束…だったのかは分かりませんが、話したことは覚えていますか?」

    「やくそく……?」

    えっと、とか、わかる、とか、そう言うことを呟きながら、シルルはなんとか思い出そうとしているのだろう、目に見えて慌てている様子だ。思わず口元が綻び、笑みが溢れる。

    「ふふ、そんなに焦らなくてもいいんですよ〜」

    「今度はみんなに似合うお花を探そう、ビーネはそう言ってくれていました。ぼく、実は少しだけそれを楽しみにしていたんです」

    「きいた、それ!」

    オートミールの言葉に、弾かれるように顔を上げたシルルも思い当たる記憶があったようで、思い出したと何度も頷いた。

    ふと手元の図鑑に視線を落とし、それから少しばかり沈黙を置いて。やがてシルルは決心したようにオートミールを見上げ、そうして口を開いた。

    「さがす、しよ!いま」

    「おはな、たば…つくる、したい。みんな、いっしょ、おおきい、つくる」

    「それはとてもいいですね!ふふ、そうと決まれば、図鑑とにらめっこです」

    オートミールはふん、と拳を振り上げて気合いを入れるような動作をしてから、隣の空席に腰を下ろす。それを見ていたシルルも、がんばる!と頷いて、再び図鑑に視線を落とした。

    「ブーケを作るなら、咲いている時期に気をつけないといけませんね〜。咲いていない花では、作れないので」

    「ほんと、だ…!じき、みる、たいせつ」

    そう言って、花と時期を見つめながらペラペラとページを何枚か捲る。そこには真剣な2人の眼差しが注がれ、しばらくの間、空間には紙の擦れる音だけが響いていた。

    「あ、これ」

    数ページ目を捲ったところで、オートミールが静寂を破る。人差し指が差す先には、紫色の花房が垂れる形で咲いている特徴的な花が写っていた。

    「ふじ…?」

    「はい、藤の花です。女性の後ろ姿に例えられることがあるみたいで、エミリーにぴったりだと思いました」

    「エミリー、かみ、ながい、にてる!」

    「とても爽やかで甘い香りと、蝶に似ている花弁から、上品で女性的な印象が強いお花ですね〜」

    「ちょうちょ…!そう、なんだ、おはな、いろいろ、ある…すごい」

    シルルは、オートミールの説明を真剣に聞いて目をぱちぱちと瞬かせる。この家に来てから勉強はたくさんしているつもりではあったのだけれど、こうしてまだまだ知らない知識を学ぶことができるというのは幸せなことだと思った。

    シルル、も、みつける、したい。

    再び図鑑を見つめて、見落とさないようにひとつずつ人差し指を置いて確認していく。

    そうして、ふと目に止まったその花。特徴的な花弁の形は、冬に見上げたあの流星群を思い出した。

    「これ、ビス、みたい?」

    そう言ってシルルが指差す写真には、星型に咲いた青い花が写されている。

    「チョウジソウですね、とてもすてきだと思いますよ〜。星型に5枚の花弁を開かせるのが特徴的ですね。ビスも星がすきですし、似合うと思います」

    「別名でアムソニアやブルースターと呼ばれることもありますね。咲く時期は短いですが、涼しげで上品なお花ですよ〜」

    「ぶるーすたー、かっこいい…!ビス、にあう」

    やった!我ながら、なかなか良いチョイスだと思った。シルルはふふん、と少しばかり得意げな様子で満面の笑みを作る。

    そのまま図鑑に視線を落として、再びふよふよと視線を漂わせた。次に人差し指が指し示したのは、見覚えのあるような形状をした小さな花。

    「これ!ママ、おはな、にてる」

    「スズランですね!ママのお花もスズランも、下向きに咲く白いお花というのが似ていますね〜。とてもかわいいお花ですが、有毒なので注意ですよ」

    「どく……!すずらん、たべない」

    オートミールの説明に顔をサッと青くし、記憶に刻むように呟きながら何度も頷いた。

    「ですが香りがとても良いので、ミュゲという名前で香水にも使用されていたんですよ〜。とてもすてきなお花です」

    「こうすい…きく、はじめて……」

    「そうですね、香水というのは、香る水、と書いて“こうすい”と読みます。匂いのついた液体を、身体に吹きかけて使うみたいですね〜。ぼくも少し興味があります、すてきな香りに包まれるというのは憧れるので」

    ぼくは機械なので、お水を付けるのは少し危ないかもしれないですが。オートミールはそう笑って続ける。

    シルルはオートミールの言葉に目を輝かせて、劇的に興味を示したようだった。

    「こうすい、シルル、つける、したい!つくる、できる…?」

    「作るのは簡単ではないかもしれませんが…ふふ、でも楽しそうです。」

    オートミールは首を傾げつつも、シルルの疑問には努めて前向きな返事をする。だけれども答えにはならないような、曖昧な言葉で。

    調べてみたら、案外できるものかもしれませんからね。ぼくの腕だけでは難しいかもしれませんが…がんばりたいです。やっと、少しだけ扱いには慣れてきたので。

    でも、絶対にしましょうね〜。なんて、約束はしません。分かっていますから。

    ここにはもう、ぼくとシルルとママの3人しか残っていないこと。前まではとても賑やかだったこの家も、今ではすっかり静かなことの方が多くなりました。

    つまり、そういうことです。

    ぼくたちも、きっと近いです。なので、破ってしまうかもしれない約束はしません。ぼくは気にしませんが、それでシルルを悲しくさせてしまうのなら、しないほうがいいです。

    口元の笑みは崩さないまま、オートミールが静かに視線を図鑑に戻すのを、シルルはただ見つめていた。

    オートミールが口を閉じた後、少しばかり考え事をしたようだったけれども、それが何なのか察せるほどの勘も、聞いて理解できる知恵も無いから。だから、同じように視線は図鑑に再び注ぐことにした。

    「オートミール、これ」

    「え、スイートピーですか?」

    シルルがオートミールみたいだと指差す花と、己の自認に相違があったのだろう。オートミールは想定外だったと言いたげに首を傾げた。

    「いや、だった……?」

    「あ、いえ。とても嬉しいですよ〜!でも、ぼく自身はそう考えていなかったので、少しびっくりしちゃいました」

    そう言うとシルルは安心したように笑って、スイートピーが映された写真に視線を落す。そうして差された指は、スイートピーの花…ではなく、その横に伸びた蔓に当てられていた。

    「これ、にてる…オートミール、いと?」

    「なるほど、それは思いつきませんでした。たしかにそうですね。ふふ、ぼくも蔓が伸びているお花みたいですか?」

    「オートミール、も、はな?かわいい!」

    肯定して頷き微笑むシルルを見つめてから、自身の頭上を見上げる。口元は緩く綻んでいて。

    こんなにかわいいお花に例えてもらえるのは、とても光栄ですよ。ぼくも、愛してもらえたみたいに思えるので。

    「スイートピーは比較的有名なお花ですね〜。春のイメージがありますが、夏や冬に咲くもの、中には蔓のない品種もあるんですよ。それくらいたくさん種類のあるお花です」

    「オートミール、じゃない、のも、ある…」

    「ふふ、生命の進化ってすごいんですよ。」

    ぼくたちも、順当に進化できれば良かったのですけれどね。ああ、いえ。ぼくは別に、しなくたっていいんですけれど。

    みんなのことは、少しだけそう思ってしまうんです。

    「あ、これはアルタイルみたいですね」

    「ほんと、だ!ふわふわ、アルタイル、はね、みたい!」

    オートミールが見つけたそのページには、スイートサルタンと書かれた小ぶりな花の写真が載せられている。

    「スイートサルタンは名前の通り、甘く香るのが特徴みたいです。花弁が細く多いのではなく、花弁に切れ込みがいくつも入っているのでふわふわに見えるんですね〜」

    「育成は少し難しいみたいですが、上手に育てることができれば、たくさんのお花を咲かせることができるんです。こう見えて、強いお花なんですよ」

    「そう、なんだ…!えらい、おはな」

    お花はいつだって懸命に咲くのだ、こんな時代でも。すごい、えらい!シルルだって、もっともっとがんばりたい。

    お勉強も、お手伝いも。もっと1人でたくさんできるようになりたいし、もっとたくさんのことを知りたい。もっと、ママやみんなの役に立ちたい。

    役に立たないシルルは、嫌だから。

    「あ、これはシルルにぴったりじゃないですか?」

    ぺらりと捲った先でオートミールが指差したページを見つめた。それは、鮮やかな紫色が目を引く美しい花だった。

    「ききょう……?」

    「はい。園芸用に改良されたものは低く育ちますが、野生の桔梗はとても大きく育つんですよ。ぼくの身長を越すくらいのものもあるみたいです」

    「おおきい、すごい!」

    「ふふ、過去にはうさ耳のような花弁や、お皿のように平らな花弁のものもあったみたいですが、現在は根絶してしまったようです。残念ですね〜、きっとかわいいお花たちだったのに」

    「うさぎ、おはな…みる、したかった……」

    根絶という言葉にシルルは眉を下げて、残念だと言いたげに肩を落とす。

    うさぎの形の花、白くて柔らかくて甘いのかな。かわいくて、きっと…美味しくて……

    おいしいは、おいしくて。たべたくて。

    おなか、すいた。

    「……シルル、お腹が空きましたか?」

    オートミールの言葉が聞こえてハッとする。涎を垂らしかけていたのに気付いて、少し恥ずかしくなった。

    だけれども、問いには素直に頷く。今更隠すことでもないし、隠せるほどそれに耐えることもできないから。

    「おなか、すいた……」

    一度気付いてしまうと、身体が急激に自覚する。空腹を知らせる音が、ぐるると辺りに鳴り響いた。

    「そろそろ休憩にしますか?ママがお昼ごはんを作り始める頃かもしれないので」

    「う……ごはん、まつ、むずかしい…」

    「いま、たべたい…いま」

    シルルはしおしおと力が抜けたように答えながら、左太ももに括り付けられているポーチの中に手を滑り込ませる。

    そのまま、いくつか包みを掴んで取り出した。机の上に広げられた大量のそれは、小分けにされた大小のお菓子だった。

    手慣れた様子でマズルガードを外し、包み紙を解くこともせずにいくつも口へ放り込む。途中でオートミールの制止が聞こえた気もするが、あまり覚えていない。

    とにかく夢中だった。夢中、というよりは制御の効かない状態だった。そう言う方が正しいかもしれないが。

    そうして何度か繰り返し、空になったポーチの中で何も掴めずに左手を遊ばせた頃。

    「シルル!」

    はっきりとしたオートミールの声が聞こえた。

    「オートミール……」

    次に視界に捉えたオートミールの顔は、酷く狼狽していたように見える。けれども、いつのまにか掴まれていた肩に掛かる力は酷く優しくて、なんだか罪悪感が募った。

    「あ、ごめん…シルル、ひとり、たべる、した……」

    「オートミール、あげる…しなかった……」

    「いいんです、それは。食べたいシルルが、たくさん食べていいんです。」

    オートミールは努めて静かに、優しく。起伏を抑えて諭すような声色で言葉を続けていく。

    「でも、食べ物でないものを食べてはいけないですよ。お腹を壊してしまいます。」

    「人が食べられないものは、身体の中で消化できないんです。人体に有害なものだってあります。」

    「ごめん……」

    「いいえ、ぼくこそすみません…でも、シルルが心配だったので。分かってくれたなら、いいんです」

    悲しそうなシルルの表情を見つめて、慣れないことはするものでないと少し後悔もしかけた。だけれども、心配なのは本当だから。

    先の行動で、シルルの不調はなんとなく察しがついてしまった。だからこそ、そんな姿を見たくなかった。

    また、この家が静かになっていってしまうのだろうと考えることが怖くて。

    「シルル、ごはんを食べたら、お花を摘んでブーケを作りましょうか。今日はお天道様がよくよく顔を出していて、ガーデニング日和ですよ」

    「……!つくる!」

    だから、シルルにはせめて最後まで笑っていてほしいと思いました。



    「チョウジソウは全草が有毒なので、切り口は触らないように気をつけてくださいね」

    「…む、おはな、どく、ある、おおい」

    「ふふ、そうですね〜。綺麗なバラには棘があると言いますが、どのお花も同じなんですね」

    「ばら、とげ、あぶない」

    「はい、美しいものには危険な一面もあるという意味の言葉です。多面性があるのは、人だけではないですからね」

    「わかった、きをつける、する」

    ふんふん、とシルルが頷きながら慎重に刈り取ったそれを受け取った。これで全部だろうか、図鑑と照らし合わせながら、抱えた花々を確認していく。色とりどり、形状も様々なその集合を見て、なんだかとても懐かしいような気持ちになった。

    「ありがとう、シルル。これで全部だと思います」

    「きれい!おおきい、つくる、できる?」

    「はい。これだけあれば、大きいのがきっと人数分作れます」

    オートミールの言葉に、たのしみ!とはしゃいで、駆け足気味に中庭を出て行こうとするシルルを、急いで追いかける。

    家の中へ戻ると、円卓の上にはママが用意したブーケ用のラッピングペーパーとリボン、花瓶が置かれていた。

    昼食時にブーケを作る予定だと伝えたところ、ママは素敵だと微笑んでいた。中庭へ出ている間に用意してくれたのだろう。

    水の溜まった花瓶に、一度摘んだ花を差す。それから、ラッピングペーパーを目の前へ1枚引き寄せた。花を均等に分けて引き抜き、水気を拭いてその上に丁寧に並べていく、らしい!

    オートミールの説明と手元を見ながら、同じようにやってみる。正直あまり上手くできているかは分からない。けれども、こうして種類の違う花々を纏めていく作業は、またみんなと一緒にいられるような気持ちになれて嬉しかった。

    「シルル、どうですか?」

    「できた!」

    きゅっと結んだリボンの余りをハサミで切り落として、ふうと一息を吐きながら出来立てのブーケを抱える。

    「すごいです!シルルはブーケ作りの才能がありますね」

    「ふふん。シルル、しょくにん、なる」

    オートミールの言葉に、シルルは得意げに胸を張って見せた。本当は不恰好かもしれないけれど、大切なのは気持ちだと聞いた気がするから気にしない。

    そうしてまたしばらく黙々と手を動かし、やがて7つのブーケが組み上がる。ひとつはママに、もうひとつはオートミールに、あともうひとつはシルルに。

    残りの4つは、みんなに。

    大きなブーケを抱えて、もう宿主のいない部屋たちの扉の前へひとつずつ置いていく。

    「て、あわせる…こう?」

    「はい、合っていますよ。安らかに、そう願うんです」

    これは、遠いどこかの国で死者を弔うためにする行為なのだと聞いた。両手を顔の前で合わせ、瞳を閉じる。そうして冥福を祈るらしい。

    弔うだとか、冥福を祈るだとか、あまりよくは分からないけれど、多分きっと良いことだ。

    だから、シルルもお願い事をすることにした。

    みんなが、幸せな場所で眠れますように。

    シルルには、難しいことはまだまだ分からない。でも、どこかへいなくなってしまったみんなが、そこでも幸せでいられたらいいとずっと思ってる。

    みんながいなくなっていくのは寂しいし悲しいけれど。でも、それでもシルルは毎日幸せだから!

    みんなも、このお花を見てかわいいとか、綺麗だとか、幸せだとか、思ってくれたら嬉しいな。

    本当は直接見せてあげたかったけど……でも、みんなのいちばん近くに置いておくから、いつでも見に来てね。

    それで、それでね。いつかシルルにも会いに来てね。

    オートミールもママも、みんなのこと待ってる。きっと。

    シルルは、みんながいてすごく幸せだから。ずっとずっと、みんなと一緒にいたい。

    このブーケみたいに、包まれて。離れないように、リボンで結ばれて。

    瞳を開く前に。最後にそう、お願いした。
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