ネックレスは失くなった依頼人との待ち合わせがあったのは、騒がしい街角のカフェであった。
相手が女性だということもあって、外から丸見えの席。もっと言えば、恋人だという男性が外からこの様子を逐一監視しているということだった。
許された面会時間は説明を聞くだけに費やされた30分のみで、儚げなその女性は最後にぎゅっとシュウの手を取った。
手袋越しに伝わる体温はなく、ただなんとなく、薄気味の悪さだけが際立つ。
「どうか、どうか。よろしくお願いします。彼の未練を、……どうか」
そうして、引き渡されたのが女性物の装身具だ。依頼人曰く、呪われてしまったネックレス。
結婚を約束した彼から贈られたものだったが、交通事故で亡くなってしまい、それから異常現象が多発しているらしい。
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