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    amemoyo572

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    amemoyo572

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    明日がどうなっても構わないの後日談です。会場で無配していた物です。通販にはつけていないのでこちらに載せておきます。
    あと書き書き損ねたのでちょろっと後書と言うなの表紙のお話をお話の後に書いてます。

    明日がどうなっても構わない 後日談 夏油が地元に帰ってから滅多に鳴らなかった自分の携帯電話には週に一回ほど電話が鳴るようになった。もちろん電話の相手は夏油だ。
    「すーぐーるー! 今朝のあの写真何?」
    「何って?」
    「とぼけんなよ」
    「近所の犬の写真だよ?」
    「だから、あんなのが犬の写真ってわかるやついねーって」
     夏油から送られてきた写真はギリギリふわふわして居るのが分かるくらいの全面が真っ白のピントがあって居ない、どこの部分を撮影したのかわからな程のアップ写真だった。
     毎日一枚写真を送って欲しいとお願いをしてから約束を守り写真を撮って送ってくれるのだが写真のセンスが壊滅的なのか、わざとなのか、いつも何かわからない写真を送ってくるのだ、でもその写真が何なのかを解読するのも楽しくて嫌いじゃ無い。
    「かわいいだろ? 学校に行く途中に良く会うんだ、人懐っこくて触らせてくれるんだよ、だから悟にも見て欲しくてね、今度は顔がわかる写真を送るね」
    「俺は犬の写真じゃなくて傑の写真が欲しいんですけどー」
     最後の日に下駄箱で撮った、あの一枚しか夏油の写真は持って居なかったので顔が写って居る写真を送ってくれと何度もお願いして居るのに一度も送ってくれたことはない。「自撮りって恥ずかしいじゃないか」の一言で片付けられてしまうので、代わりと言っては何だが嫌がらせのように五条は毎日、自分の寝起きの顔写真を送っている。徹夜をして目があまり開いてない顔や寝癖がついてボサボサの頭や夏油にしか見せない恥ずかしい顔を身を削って毎朝欠かすことなく送り続けて居る。自撮りなんて恥ずかしくないだろと伝えるために。虚しくも伝わってないのだけども。
    「今日も仕事だっけ?」
    「うん、まだ慣れないけど楽しくやってるよ」
     地元に帰ってからも夏油は週五回フルタイムでアルバイトをしている、理由は一度親の扶養から外れてしまったから手続きも面倒みたいだし、働くのは嫌いじゃないし働かせてもらえる場所も見つかったし良いかなと思ったからだそうだ。今はコロッケが美味しいお弁当屋さんで働いているらしく出勤日初日には今日から仕事のメッセージと共にコロッケの衣のドアップ写真が送られてきたりもした。
    「ねぇ、傑の写真送ってよ」
    「またその話? 恥ずかしいから嫌だって言ったじゃないか」
    「あのさーずるいからさ、この手は使いたくなかったんだけど俺、明日誕生日なんだけど! あと十分もしたら誕生日! 好きな人の写真の一枚や二枚欲しいだろ! くれよ!」
    「えーっと、うん、確かに卑怯だね。私ばかり悟の写真を貰ってるのはフェアじゃないのかもしれない、別に頼んでないけど」
    「おいっ!」
     思わず突っ込んでしまった、クラスの女子から盗撮されるような顔の持ち主になんて事をこいつは言うんだ。美人は三日で飽きると言うことわざが有るがそれなのだろうか。それともだらしない寝起きの写真を送りすぎて嫌われたのだろうか。
    「悟、誕生日おめでとう」
    「おーありがとうな」
     電話口で一方的に騒いで居る間に二十四を回ったようだ。一二月七日は五条悟の誕生日だ。
     ピロンと携帯電話から音がして画面を見ると夏油傑から一枚の画像が送信されました。と画面に映し出されている。
     タップしてメールを開くと夏油の顔が写った写真が添付されて居た、それも五条の通う教室の自分の机とあの最後の日のメッセージが書かれた机との自撮り写真だった。夏油と机がきちんと収まるように机の高さまで屈んで上から撮った写真。何これ、可愛すぎるだろ、待ち受けにするわ。
    「ねぇ悟、見た?」
    「見た、すごい可愛い、鼻血出そう」
    「大袈裟だよ」
     大袈裟ではない、頑なに自撮りは恥ずかしいと良い送ってくれなかったのに初めて送られてきた写真がこれだ。
    「傑、撮っておいたんだこの日の机」
    「うん、最後だなーって思ったら消すのもったいなくて、自撮りの写真なんて、それしかないし、やっぱり送らなきゃよかった恥ずかしい」
    「傑、今から写真送るから見て」
     写真フォルダから写真を探して二枚添付して送信した。
    「悟、これって」
    「そっ、やってる事同じだろ? 恥ずかしくなんかないだろ」
     一枚目の写真は夏油と同じように机と一緒に自撮りした写真で二枚目は最後のメッセージと花が描かれた机一面の写真だった。
    「なんかくすぐったいね」
     花が開くような優しい笑い声がした。
    「傑、大好き」
    「私も、好きだよ」
    「早く会いたい、ねぇ、キス顔の写真送ってよ」
    「無理! 調子乗るんじゃないよ!」
    「えー! 俺、誕生日ー!」
    「誕生日でも無理な物は無理!」
    「ケチ!」
    「ケチでいい」
     子どもみたいなやり取りに二人してケラケラ笑う。
    「冗談だよ、傑がいてくれるだけで嬉しい幸せ好き」
    「キミの愛情表現がストレートで恥ずかしい…」
     早く会えますように。抱きしめて水のようにキミの中に入って踊りたいと思った。

    終わり

    二千二十四年一月十一日
    雨模様 もよ
    明日がどうなっても構わない おまけ本 
    X @amemoyo572



    表紙の話
    本の表紙は五条が描いた花をイメージして描きました。英文も最後に五条が机に描いたメッセージ。
    裏表紙は五条の書いた花に夏油が書き足した花と夏油が最後に机に描いたメッセージです。
    表紙の写真は自分が撮影した物です。
    夕焼けのシーンをニ回も書いたしタイトルも夕焼けイメージなのに写真は朝焼けです。夕焼けの写真が有りませんでした!

    お読みいただきありがとうございました。
    今夜帳の中でin大阪とても楽しかったです、またリアルイベントがあれば参加したいです。
    会場で手に取ってくださった方、通販で手に取って下さった方ありがとうございました。



     


     
     
     


     
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    amemoyo572

    INFO2025年1月12日インテックス大阪 今夜帳の中で参加します。
    こちらはサンプルページとなっております。
    【サンプル】明日がどうなっても構わない 明日がどうなっても構わない
     

     近いからと言う理由で選んだ学校は勉強が大変だとか仲が良い友人が居て毎日楽しいとか、そう言う類いのものは全く無くて、ただ過ぎ去るだけの日々の退屈凌ぎに惰性で通うだけの場所だった。
     開始五分前に教室に入る、見慣れた変わり映えのない教室には、おはようの挨拶を交わすクラスメイトは居ない。後ろ側の扉から入り窓側から三番目、一番後ろの自分の席に一直線に向かう、席に着くと持ってきていた教科書を鞄の中から取り出し机の中に入れようとした所コツンと何かにぶつかった。机の中を覗き込むと、そこには一冊の本が入っていた。取り出して表紙を見ると明らかに自分のとは違う教科書だった。不思議に思いながら誰の教科書だろうと思い裏表紙を見る、そこには夏油傑と書いてあったのだが、なんと読むか分からなかった。間違いなく同じクラスにこの漢字を書く人は居ない。自分の机に知らない人の自分が使っている物とは違う教科書が入っている理由を考えるも皆目見当もつかなかったので、ろくに会話もした事のない隣の席のクラスメイトに声をかけた。
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