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    Ichi_marumaru

    小説保管庫。成人向けのもの、たまにワンクッションあったほうがいい全年齢物とかを置く予定です。スタンプいつもありがとうございます!(前にBMBネタバレ防止用に使っていましたが、残しておきます)

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    Ichi_marumaru

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    にんどりねたです。シキ+スイが暑い夏に2人でお昼を作って食べる話です。カプ要素はこれにはないんですがイアシキの人が書いてます。賽合の色彩でこれにイアシキパートいれたイアシキのシキとスイががご飯を食べる本を作りたいと思ってます。これも再録される予定です。諸事情でコピー本になりますが2冊は出せるようにしたいです!

    ##シキ
    ##スイ

    四季が似合う君へ「スイさん、ごめんなさい…、せっかくのお出かけなのに…、ボク、そのこんなに暑いの知らなかったから…」
    「いいよ、だってこんなに暑いのシキが耐えられるわけがないもん。天気予報見て、大丈夫かなって思ってたし…。そうだ、せっかくだから私がお昼作るね」
    「スイさんが…、ボクのために…!?」

     毎月恒例となったシキがスイと出かける日の朝、シキは早めに朝食を食べ終え、準備をしながら、公安管轄の寄宿舎に共に住むイアンに「今日は暑いらしいのだけど、スイさんと会えるのが楽しみ…」話をした。
     すると仕事に向かう準備をしていたイアンは眉間に皺を寄せ、「ミカグラの夏はひどく暑いと聞く。今日の天気は昨日とはうって変わって猛暑だというが…。貴様が耐えられるとは相当思えん…。今まで地下にいた貴様に取っては死に値する…」と厳しく現実を突きつけると、シキは「だっ大丈夫だよ。だって出かけるだけだし…」と言い返した。
     流石に体力がイアンと比べたら無に等しいが、出かけるだけで参ってしまうわけがないと、シキはイアンは心配性だなと思いつつ、「それじゃあ行ってくるね…」と出かけようとしたところイアンに「待て」と止められ、冷えたスポーツ飲料水を渡された。
     「えっ…、あっ、ありがとう…、イアン」とシキは礼をしつつも、相変わらず子供扱いだなとシキは肩を落としながら、スイと約束したアマアマルールーまでバスに乗り継ぎ向かったが、間違っていたのは自分だった。
     照りつける太陽。
     バスの冷房と外の温度の激しい差。
     アスファルトから熱が反射し、じわじわと暑さが体力を奪う。
     山登りも辛かったが、この気温に自分はもうすでに負けそうだった。
     イアンがくれたスポーツ飲料水がなかったら干からびていたなと思いつつ、スイとカフェで落ち合うと、もうその頃には、シキはへろへろになっていた。
     そんな兄を見、スイは「シキ!」と名を呼び、タクシーを呼ぶと、シキを押し込むように乗せ、急遽本日はスイの家で過ごすことになり、ソファーの上で休ませてもらっていると、スイが昼食を作ってくれると言うのだ、シキは大きく目を見開き、驚きと申し訳なさでどうしたら良いかわからなくなった。

    「そんな驚かないでよ。そうめん茹でるだけだから。あっ、シキはそうめん知ってる?」
    「そうめん…?知らない…」
    「お母さんが暑い夏はよく作ってくれたんどけど、でも簡単でね、この細い麺を茹でるだけだよ。だからちょっと待ってて」
    「そうなんだ…、楽しみだなぁ。ありがとう、スイさん」

     お母さんと聞き、シキの胸がしめつけられた。
     会うことができなかった、ずっと求めていた家族。
     どうあがいても母親の温もりを感じることはシキには不可能だが、妹のスイを通して家族を知ることができるのはシキにとって幸福であった。
     だが、今のシキは暑さのせいで、あまり食欲がなく、せっかく用意してくれた食事も口にできるだろうか不安だった。
     でもお母さんの味を知りたいと、調理するスイをシキはじっと見つめていた。
     すると途中、スイの姿が白い湯気で見えなくなってしまい、シキは一体なぜとソファーから起き上がり、慌てて、彼女のもとへ向かうと、汗をかきながら、「シキどうしたの?」と首を傾げる妹がいた。
    「スイさんの姿が見えなくなったから心配だったんだ…」とシキは答えるとスイはくすくす笑い、「ありがとう、シキ」と礼を言い、「今茹で上がったから、あとは冷やして締めるだけ。シキはそうだ、冷蔵庫から麦茶出してくれる?」と話すとシキは何度も首を縦に頷き、スイの手伝いを始め、二人で昼食を準備をした。

    「できた!えっと…、そうめんは、箸で掴んで、このつゆに麺をつけて食べてね。こんな感じ…」
    「うっ、うん…」

     そうめんを前にした二人は手を合わせていただきますと挨拶をすると、スイがシキにそうめんの食べ方を見せてあげた。
     ずるずるっと勢いよく食べるスイを見、シキはスイは結構大胆なのだなと思いつつ、慣れない箸で麺を掴み、めんつゆにそれをつけ、啜ってみると、冷たい麺と濃い麺つゆが絡み、さっぱりと食べやすく、シキは不安げな表情から、一気に目を輝かせ、満足そうな顔を見せた。

    「美味しい。食べやすいし、これならお腹いっぱい食べられそう。スイさん、ありがとう」
    「よかった。もし飽きたならネギとか胡麻とかつゆに入れて食べると味が変わって美味しいよ。あとこれも食べよ」
    「こっ、これは…」
    「おばあちゃんのトゲワニの揚げ出し。この間もらったんだ。昨日のだけも、夏は冷やして食べると美味しいんだよ」
    「そう…なんだ…」

     スイはおいしいと嬉しそうな顔を見せてくれたシキに微笑み返すと、そうめんの隣に置いてあったタッパーに手をかけ、その蓋を開けた。
     するとそこには、二人の祖母であるコズエの手料理が入っており、中身はシキとスイの母親であるイズミの得意料理であるトゲワニの揚げ出しだった。
     最近スイが、コズエに頼み、トゲワニの揚げ出しの作り方を教えて欲しいと頼んでから、コズエはレシピを教えつつも、二人と会うときは必ずそれを持ってきてくれた。
     母ではないが、祖母の味を口にすることができ、シキはやはり皆との未来を選択してよかったと味わうたびに幸せを感じていた。
     シキはいつもそれを受け取ると、おばあちゃんがせっかく作ってくれたからとその日のうちに全て食べてしまうため、冷やして食べるという発想は全くなく、とても不思議に思った。
     それに、それ以上に冷たい食事は今までの経験から美味しいと感じたことがないため、妹が美味しいという理由がわからなかった。
     しかし、スイが嘘をつくわけがないとシキは口にすると、野菜と肉がコズエが丁寧に作ってくれた出汁にさらに染み込み、旨みが増しており、冷たいおかげで、暑さを気にすることなく、箸が進んだ。

    「本当だ美味しい…。不思議だ。冷たい食事はあまり美味しくないものばかりだと思ってたから…」
    「シキ…、ならこれかもずっと一緒にご飯食べよう。知ってるかもしれないけれど、ミカグラには四季があって、春、夏、秋、冬って季節によっておいしい食べ物があるの。それに天気も春は暖かくて、花がたくさんだし、冬は雪が降るし、秋は紅葉が綺麗だよ」
    「紅葉…、ブロッサムでも見れるの?」
    「うん。山のほうに行けば見れるよ。そうだまた山登りしようか…」
    「山登り…」

     冷たい食事は美味しくないと言われ、スイは兄の過去を察したが、過去を掘り起こしても何も生まれないと、ならばこれからは共に食事を楽しもうと提案した。
     だってこの島には自分が胸を張って勧められる美味しいものがたくさんある。
     それに景色もまた格別だ。
     シキはずっと地下にいて、あまり意識したことがないかもしれない。
     だったら妹である自分が見せてあげたいし、一緒に見たいと心から思った。
     家族との思い出をこれからたくさん作りたいから。
     こう、これから二人でたくさんの思い出を作ろうとスイはシキに提案すると、シキは口籠もった。
     山登り。
     初めてマイカを訪れた時、シキは息を切らし、苦しそうに登っていたのをスイは覚えている。
     その日、スイはシキと初めて手を繋いだ。
     あの時は何も知らず、実の兄がいたなんて夢にも思わなかった。
     両親が亡くなり、1人になったスイにとって、シキは大切な存在であり、もっと思い出を作りたいと思ったのだが、無理させるわけにはいかないとスイは大変なら大丈夫だと話そうとすると、先にシキが口を開いた。

    「わかった。イアンに頼んで体力つけるようにする」
    「うん…!頑張ってね。シキ…」
    「この暑さにも負けないようにしなきゃ…、そっ、それに、コテツくんがプール行きたいってゴンゾウさんにねだってるって言ってたから…」
    「いいね。私も行きたい!みんなで行こう!」
    「うん」

     妹の誘いを無碍にはできないとシキは頑張るとスイに話すと、スイは嬉しく、頑張ってねとエールを送った。
     その妹の声援にシキはこくりと首を縦に振り、今からイアンに頼んで夏の暑さも克服したいと話した。
     以前ゴンゾウから「シキ殿はプールをご存知か?」と聞かれ、シキは首を傾げると従兄弟のコテツから連れて行って欲しいと言われたという。
     コテツもまたシキの家族であるため、シキはゴンゾウに調べておくと話したことを思い出したのだ。
    それを聞いたスイもまた、家族であり、かわいい弟分であるコテツとプールに行きたいと目を輝かせ、みんなで行こうと話すと、シキはそのスイの宝石のような瞳の輝きに引き込まれ、彼もまた笑顔という宝石を輝かせた。

    つづく
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    Ichi_marumaru

    DONE轟くんお誕生日おめでとう!大戦後、轟くんと燈矢が最初で最後の誕生日を過ごす轟兄弟の話書きました。ホークスに頼んで、焦凍のヒーロー活動を燈矢に見てもらう話です。焦凍誕生日→二人の真ん中バースデー→燈矢の誕生日と話が続きます。轟くん!これからも素敵なヒーローでいてください!家族を救ってくれてありがとう!カプなしですが焦燈の人が書いてます。ご注意下さい。
    最初で最後の誕生日「なんで…、焦凍の誕生日に…、お前がうえっ、げほっ…俺んとこ来てんだよ。ホークス…」
    「焦凍くんに頼まれてね。誕生日一緒にご飯食べよって誘ったら、それよりして欲しいことがあるって言われてね」
    「はっ…、うえっ、げほっげほっ、ふっ、振られてやんの」

     「本日は1月11日。轟燈矢、面会だ。起きれるか」と刑務官に声をかけられ、今日は焦凍の誕生日だからお父さんかなと生命維持装置に繋がれ、ほぼ炭化した体で無理に生かされている燈矢はお目を開けると、そこには思わぬ人物がいた。ホークス。鷹見啓悟。ヒーロー側のヴィラン連合への内偵で、荼毘だった頃の燈矢が一時的に深い関わりを持った人物だった。大戦後、オールフォーワンに個性を奪われたものの、生き残り、公安委員長になった。そんな忙しい男がなぜ自分の前にと生命維持装置に繋がれた燈矢はホークスを睨んだ。その燈矢の瞳にホークスは懐かしさを感じつつ、燈矢の弟の焦凍に頼まれたからとへらへら笑いながら話し、刑務官がいつの間にか準備していた大型テレビの電源を付けた。
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    Ichi_marumaru

    DONE荀彧の日おめでとうございます!今回は先日むそうあぷりで開催された荀彧イベントの話を書きました。荀彧に肉まんを渡すと友達になれるという噂を聞いた民から肉まんが殺到してしまい、ほんの少し太ってしまった荀彧と魏軍師のメタ発言しかないほのぼのギャグです。メタ発言が苦手な方避けた方が良いです。さんむそあぷりをやっていないとよくわからないネタしかないです。少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。
    肉まん周回友達大作戦! 荀攸が遠征から帰ってくると、なにやら違和感をおぼえ、すぐに荀彧を探し始めた。
     おかしい。
     普段であれば荀彧が皆を代表し、出迎えてくれ、兵達を労ってくれるのだが、彼の姿はなく、風紀も少し緩んでいるような気がした。
     悪い意味ではなく、いつもぴりついた雰囲気が感じられず、どこか穏やかだったのだ。
     一体なぜと、荀攸は辺りを見渡すと、城の廊下にたたずむ荀彧らしき人物がおり、荀攸は叫ぶように年下の叔父の名前を呼んだ。

    「文若殿…!?文若殿なのですか!?」
    「はい!あっ、公達殿!おかえりなさいませ」
    「えっ、あっ、少しお待ちください。俺は疲れているのです。文若殿はわずかですが、ふくよかになられているような…」

     荀攸が声をかけた人物は、自身を荀彧と名乗ったのだが、荀攸は信じられず、顔を真っ青にした。
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    Ichi_marumaru

    DONE惇彧の日ハーフデー、あまあまな二人に投稿する予定だった、バーガーを食べるあまあま夫婦な惇彧です。リクエストしてくださった方の許可を貰いバーガー食べる推しカプリクエストと一緒にさせて頂いたのですが間に合いませんでした。覇と魏軍師のみんながいます。あまあま夫婦な惇彧を楽しんでもらえたら嬉しいです。
    あの子の成長と「おかえりなさいませ、夏侯惇殿。おや、珍しいですね。ハンバーガーですか?」
    「さっき、夏侯覇に会ってな。アメフト部の練習の帰りだと言っていたから奢ってやった。お前は…、食べたことがあるのか?いや、それよりも、もしかしてもう昼を用意していたか?」

     ぽかぽかとした暖かな陽気が、春の訪れを感じさせてくれる、とある休日のお昼。
     午前中の休日出勤を終えた夏侯惇がただいまと帰宅すると、その日一日休みであった荀彧がおかえりなさいと出迎えた。
     出迎え中、夏侯惇の手には見慣れぬ袋があることに、荀彧は気づき、なんだろうかとその袋を覗き込むと、よくテレビコマーシャルで見る、あのファーストフード店のものであった。
     互いに忙しいため、外食が多い二人だが、ファーストフードを購入してくることは珍しく、荀彧は首を傾げると、夏侯惇は甥っ子で、中学生である夏侯覇と帰り道に会い、新学期早々、部活を頑張る彼にご褒美だと買ってあげ、自分達の分も買って来たようだった。
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