置いていくわけない辛い日々を送っている。進みたい、あいつが選択した道は甘くないもの。オレと彼女の持っているものが逆で、進みたい道も逆だった。でも、オレの進みたいものの切っ掛けは彼女のほんの些細な一言だ。あの日、あいつからの呼び出しを食らわないで祭りに行ってなければ、この道には進んでいなかった。今もきっとなんとなくこなしていただろう。何ごとにも一生懸命に、やるならとことん本気にと思ってたから、中学も高校もサッカーを選んでたかもしれないけども、あの時のようについてこないやつもいたかもしれない。オレの好きな期間限定の味の変わる旬なものを使ったチーズケーキみたいに決まった時間で、「ただの部活だろ」と言われてたかもしれない。そんなもしもの話なんて、嫌いだと思ってはいるが、時々ふと嫌でも考えてしまう。
「…遠い人になっちゃったね」
だからこそ、オレが進みたい道を見つけたきっかけのやつに、お前がそれを言うのかと思った。最初は素直に、冬弥や白石たちに「おめでとう」と祝いの言葉を掛けていたのに。オレが、オレたちがあの夜を越えた日に。家に帰って、改めて言われたが、なんでそんなこと言うんだ。
「遠くねえだろ」
「は? ああ。別に物理的の距離じゃないわよ」
でも、溢れた言葉に嘘はない。取り繕ったように距離の話をする絵名はオレの方を見てなかった。お前がそう思ったのなら、心の距離だろ。お前からしてそう思ったんだろ。オレはそんな風に思ったことはない。
・あの夜を越えたい彰人がついに越えた。嬉しい絵名ちゃんけども、やっぱり眩しくて「ずるい」「いいな」という負の感情を抱きたくないのに抱いてしまう
・「ずるい」「いいな」という負の感情に飲み込まれてると見抜く彰人。遠いなんて言うな。遠いのはお前がオレに向き合ってくれないから。感情を捨て去りたいと思ってたけどぶつけたい彰人くん。
・置いていかないでほしい彰人くんもいる。
・姉や兄は常に先をいかなきゃいけないと思っている部分もあり、絵名ちゃん不安定
・歌で食えるなら、絵名をそのうち養ってもいいと思える。一生一緒な。別に歌で売れないと分かってしまったら、迷走し始める。