刹眞 謎オメガバ与えられた仕事をこなしてようやく自室に戻る。今日はちょっと長く外に出ていたけれど、どうだろう。どんな顔をしているかな、どんな気持ちでいるのかな
「ただいま。」
部屋に入る。ソファーにはいない。
次は寝室へ。朝よりシーツが乱れているけど、いない。
どこだろう、って首を捻ってみる。鼻を擽った匂いの元に従ってみれば、中途半端に開いたクローゼット。なんで、そんなところにいるんだろう。疑問が浮かぶけど、早く顔が見たいから、後で考えようかな。
隙間に手をかけて扉を開く。好ましいにおいがより一層強く香って心がさわいだ。
「ただいま。」
さっき返事がなかったから、もう一度言ってみる。
やっぱり返事はない。
体操座りの状態で箱の中に収まる彼は足の間に顔をうずめたまま動かない。
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