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    g1641018

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    g1641018

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    両片思いのクロノとシオンがそれぞれ別の未来からやってきた大人のクロノとシオンと邂逅してすったもんだする話です

    Timeleap Love「…………え?」「うわあ、懐かしいなぁ。高校生の頃のクロノだ」

     クロノは自分の目を疑っていた。目の前にいるのは、シオンによく似た美丈夫。いや、背こそ伸びているが顔立ちも声もシオンと同じだ。淡い金の髪は少しだけシオンより長い。なにより、表情が柔らかい。

    「あ、あんた一体……」
    「わからないかい? 僕だよ、綺場シオンだ。君より未来のね」
    「未来の、シオン…………」

     最初こそ、信じられなかったが。よく考えなくても、イメージの力で時空を繋げることができる世界だ。未来のシオンがやってくるくらいのことは、あるのかもしれない。

    「……まだ小さいね」
    「はあ!? これでも中学の頃よりは大分伸びてお前に追いつい…………」

     そこまで言いかけて気づく。目の前のシオンの肩くらいに、自分の目線が合う。

    「ま、また引き離された……」
    「あはは。心配しなくても、もう少ししたら僕より伸びるよ」
    「そうなのか!?」

     希望が見え、ガッツポーズをするクロノを未来のシオンは微笑ましそうに眺めていた。

    「しかしなんでまた、未来のシオンがここにいるんだろうな」
    「どうしてだろうね。でも案外悪くない気分だよ、昔のクロノに会えたしね」

     クロノはふと気づいた。未来のシオンの左手に、きらりと光るものが見える。薬指に嵌る銀色の輪の意味に気づかないほどクロノは子供ではなかった。

    「それ…………」
    「ああ、これかい?」
    「…………結婚するんだな」

     綺場家を継ぐ御曹司なのだから、当然だろう。そうわかっていても、心に重くのしかかる。
     落ち込んだ様子を見た未来のシオンは、くすりと笑ってクロノの頭を撫でた。

    「ちょ、何すんだよ」
    「ふふ、ごめんね。……これは、未来の君から貰った指輪だよ」
    「…………未来の、俺………って、それじゃ綺場家はどうすんだよ!?」
    「遠縁の子を引き取ったり、見所のある人を選んでやがては継承していこうと思ってるよ。クロノ……ああ、未来のクロノも協力してくれているんだ。二人でなら、きっと大丈夫」
    「…………」

     そう語る未来のシオンの顔は晴れやかだった。
    (未来の俺って、どんな感じなんだろう)
    「なあ、未来って、うお」
    「わ……」
     突如、未来のシオンの体が光り始める。その眩しさに目を瞑り、再び開けた時にはそこにいるのはクロノだけだった。


    『未来の君から貰った指輪だよ』
     シオンの言葉を反芻する。
    「…………チャンスがあると、思っていいんだよな」
     今の所、想いは告げられていないのだけど。芽吹いた希望に、クロノは心を弾ませた。






    「なっ」「おー、昔のシオンか。懐かしいなぁ」「ちょ、うわっ」

     ぐしゃぐしゃと金髪をかき混ぜられる。普段のシオンであれば冷静に跳ねのけていたのであろうが、それができないのは、頭を撫でるこの人物が想い人に、新導クロノにとてもよく似ているからだろうか。
     顔つきや、大きな渦巻きはクロノそのもの。笑い方に、彼の父であるライブの面影もあるように思う。クロノは一人っ子だ。だから、よく似た兄という選択肢はない。

    「あ、貴方は……?」
    「ん? 俺はクロノだよ。今のお前よりは未来の、な」
    「未来の、クロノ……」

     納得が行く。イメージの力が全てを変える世界だ、未来からクロノが来てもおかしくはないのかもしれない。
     それにしても。

    (………大きいなぁ)

     自らを撫でる、少し武骨になった手もそうだが。シオンの頭頂部が、ようやく肩に届く程度。

    (将来的には、抜かされるのか)

     少し、いやかなり悔しい。不服なのが顔に出ていたのか、未来のクロノにくすりと笑われる。

    「なに笑ってるんだい」
    「悪い悪い。……なんかかわいくて」
    「んな」

     頬に朱が差すのがわかり、シオンは未来のクロノから顔を逸らした。

    (ああ駄目だ、顔が熱い…………彼からすれば、僕は昔のシオンだ。小さくてかわいいってことなんだろうけど心臓に悪い)

     現に、ばくばくと心臓が高鳴ってしまっている。なんとか落ち着け、シオンは疑問を口にする。

    「その、どうして未来のクロノがここに?」
    「さあな。気づいたらここにいた」
    「そうだったんですか………」
    「それにしても、懐かしいな……まだ高1だよな、この時」

     再び未来のクロノの手がシオンの頭を撫でる。払いのける気も起きず、シオンはただ溜息をつく。

    「………本当に、懐かしい」

     どこか含みのある声で、未来のクロノはそう言う。

    「……どうしてって、さっきお前聞いたけど」
    「え?」
    「…………もしかしたら、俺の……シオンへの未練かもな」
    「み、未練?」

     その言葉で、なんとなくわかってしまった。未来のクロノが自分を見る目が、郷愁に染まっているのも。仲間の昔の姿に向けるには、優しく甘い視線の意味も。

    「…………未来の僕は、どんな感じですか」

     自分は今、どんな顔をしているだろうか。声だけが、ひとりでに口から出た。未来のクロノは、少しだけ寂しげな笑みを浮かべる。


    「…………あいつ、今度結婚するんだ」


     ほどなくして、未来のクロノは消えた。元の時間軸に帰ったのだろう。シオンは一人、立ち尽くしていた。

    (…………わかっていたはずなのに、改めて向き合うと…………ああ、これはきついな…………)



     綺場家も、フェンシングも、ヴァンガードも。全てを掴もうと決めて、そのために努力してきた。それは、ずっと変わらないシオンの信念。


     しかし、掴み取りたいものがいつの間にかもう一つできていた。

     新導クロノ。最高の仲間で、永遠のライバルで、かけがえのない親友で。そして、
    この生涯で一番大切な想い人。
     シオンの人生を、運命を変えたといっていい男に、シオンは重い、愛ともいえない感情を抱いていた。

     生涯を共にしたい。同じように愛されたい。いつからそう思うようになったのだろうか。

     考えるたびに、綺場の名が重くのしかかる。シオンはとうに継承者となった身だ。然るべき伴侶を迎え、子孫を作り次代へと引継がせていくのが当然の責務だった。

     伴侶を迎えるのだから、当然クロノへの恋心は捨てなければならない。クロノを想うまま他の女性を娶るなど不誠実だ。
     綺場とフェンシングとヴァンガードを両立するのとはわけが違う。



     顔を覆う。掌を熱いものが静かに濡らした。



    (……未来の僕はいつ、けじめをつけられたんだろう)


     答えてくれる者は誰もいない。









    「…………ううん…………」

     クロノは首を捻っていた。数日程前から、シオンがどこかよそよそしくなった気がする。

    (いつから………)

     思い返してみる。この数日で変わったことといえば。

    (…………未来のシオンが来た辺り、か…………?)

     だが、それとシオンの態度が変わることに何の因果関係があるのかわからない。

     漫画や小説などでは、未来から来た登場人物の行動によって未来が変わる、という展開はよく見るが。

    (……だったらどうすればいいんだ?)


    「浮かない顔だね」
    「うおわぁ!? …………あんたか……」

     いつの間にいたのだろう、未来のシオンがクロノの顔を覗き込んでいた。悪戯っぽい仕草にどきりとする。

    「なんだか距離がある言い方だね」
    「いや、だってさ……あんたはシオンだけど……未来のシオンだけど、俺にとってのシオンは………あいつだけだから」

     言葉にして腑に落ちた。言い方は悪いが、未来のシオンがいようが関係ないのだ。
    クロノにとっての、クロノが気持ちを知りたいシオンは一人だけ。

    (だったら簡単だ、あいつに……シオン本人に聞けばいい)

    「悪い、俺行くところあるから」
    「うん、行っておいで」

     未来のシオンは微笑みながら手を振る。それに手を振り返しながら、クロノはシオンのいそうな所に見当をつけて駆けだした。





    「…………あ」「おう。また会ったな」

     唐突に未来のクロノが現れるものだから困惑する。どんな顔で話せばいいのかわからない。だがシオンは笑みを形作る。 

    「そうですね」
    「お、もうこの不思議な現象には慣れちゃった感じか?」
    「いつまでも驚いていたってしょうがないですし。…………あの」
    「ん?」
    「………未来の僕は、どのように貴方を振ったんですか」


     未来のクロノの顔が強張る。

    「…………聞いて、どうするんだ?」

     困ったような顔で未来のクロノはシオンに問う。

    「…………僕は結局、捨てられないんです」

     シオンの言葉に、未来のクロノは眉を寄せる。

    「貴方から、未来を聞いて…………ずっと考えていました。未来の僕は、どうやって貴方への想いにけじめをつけたのだろうと。
     …………僕はどうしても、捨てられなかった。いくら考えても、……不誠実だとわかっていても。クロノへの想いが消せない。きっと、一生かけても」
    「…………」

     どれだけ考えても、この結論は変わらなかった。

     仮に、未来のクロノ本人から言われた未来だとしても。考えれば考えるほど、クロノの笑顔を、お節介な面を、ファイトに賭ける情熱を。思い出せば思い出すほど、再確認していく。

    「…………好きなんです。消せない、消したくない……僕はどうしても…………クロノが、好きです」

     独り言じみた告白を未来のクロノはじっと聞いていた。やがて、彼は寂しげに笑いながらシオンの肩を抱く。

    「え」「ごめん」

     力強い腕に抱き寄せられる。振りほどくことができないのは、彼もまたクロノだからだろうか。

    「…………振ったのは俺なんだよ」
    「え」
    「……あいつが、どんな思いで家を継ぐか決めたの知ってるから。だから、俺から終わりにしたんだ…………なのに、捨てられないでいる。俺もさ、ずっと…………シオンが、あいつが好きなままなんだよ」

     シオンは言葉を返せなかった。彼に言葉を返すべきは、自分ではない。そっと、自分を抱きしめる腕に手を添えた。

    「…………いきなりごめんな」
    「いいえ。……ただ、すみません。僕、少し行きたい所があって。離してもらえますか?」
    「…………ああ。行って来い」

     未来のクロノが腕を解き、軽くシオンの背を押し出した。





    「っは、っは、っは…………!!」

     
     クロノは走った。が、福原高校も、2号店も、シオンが通っているフェンシング場も、どこにもシオンは見当たらない。

    「どこだ、シオンの奴…………っ」

     一度立ち止まり、深呼吸をする。息を落ち着け、思考をクリアにする。

    「…………いや、考えてみれば電話でどこにいるか聞けばいいんじゃねえか!」

     ポケットからスマホを取り出そうとした時だ。



    「…………っ、クロノ!!!!」


     いつか、Uー20のセカンドステージで聞いたような声が耳に届いた。

     振り向けば、息を切らせてこちらに向かって全力で駆けてくるシオンが見えた。

    「シオン…………」
    「っはぁ、はぁ…………ようやく、見つけた…………」
    「ど、どうしたんだよ急に」
    「君に、話したいことが、あって……、げほっ」
    「うわ、大丈夫かよ……ほら、一回落ち着けって」

     自販機で飲み物を買い、二人は並んでベンチに腰掛ける。

    「落ち着いたか?」
    「うん、もう大丈夫だよ」
    「………どうしたんだよ、慌てて」
    「話したいことがあるって言っただろう? …………君に、伝えたいことがあるんだ」
    「伝えたいこと?」

     声から伝わる真剣さに、真面目な話なのだろうと察しがつく。

    「…………いいかな」
    「ああ」

     クロノが頷くと、シオンは静かに、だがはっきりと告げた。

    「僕は君が好きだ」
    「っ、お前、それ………」
    「友達やライバルとしてじゃないよ。君に恋愛感情を抱いている、…………恋人になりたいという意味での好きだ」

     
     クロノは言葉を失う。気持ちを聞きたくて探し回っていたが、いざこうもはっきり本心を告白されると照れてしまう。

    「今じゃなくていい。いつかでいい、返事を聞かせてほしいんだ、っ!?」

     クロノの手がシオンの手を握る。シオンの肩が跳ねた。

    「俺もお前が好きだよ」
    「ぇ」
    「な、なんだよその反応!? もっと喜ぶなりなんなりしろよ!!」
    「え、いや、嬉しいよ、嬉しいさ……ただ、実感が湧かなくて…………」

     シオンは顔を覆った。どんどん顔に血が昇っていくのがわかる。

    「…………君から、好きだって言ってもらえるなんて、思ってなかった…………」
    「じゃあ何度でも言ってやるよ。好きだ」
    「っ、あ、ああ…………」
    「照れてるのか?」
    「っば、馬鹿、あまり見ないでくれ…………」
    「見せろよ」
    「いやだ」
    「見せろって」
    「ちょっと!」

     クロノはシオンの手を掴んで顔から外そうとするが、シオンも負けじと力を込める。

    「いま凄く情けない顔してるだろうから見ないでくれるかい?」
    「それが見たいんじゃねえか」
    「っこの馬鹿クロノ…………」
    「誰がバカだよ!?」

     手を離す離さないの攻防は数分続いた。



    「…………で、その。改めて聞くけど。これからは、恋人ってことでいいんだよな?」
    「……ああ。………ええと、その。よろしく」






     ある未来では。


    「クロノ」
    「お、どうしたんだよ」
    「いや、なんだか会いたくなって」
    「んだよ、同じ家に住んでるんだからいつだって会えるだろ?」
    「そうなんだけどね」

     苦笑しながら、シオンはソファに座るクロノに体を預ける。

    「うお、どうしたんだよ珍しいな甘えん坊」
    「あはは。………実はね、過去の君に会ったんだよ」
    「昔の俺? ……まあ、そういうこともあるのか」

     不思議な出来事には慣れっこなのか、クロノは素直に話を受け止めた。

    「昔の俺、どうだった?」
    「高校生でまだ僕と付き合ってない感じだったね。あと初々しくてかわいかった」
    「………へえ」
    「おや、ヤキモチかい?」
    「………別に」

     口ではそう言いつつも、クロノの手はシオンの腹を抱く。これは機嫌をとらねばいけないだろうなと思いながら、シオンはクロノの頭を撫でた。





     そして、別の未来では。


     スマホに出てきた連絡先を、久しぶりにタップする。何度目のコールの後、ぷつりと
    途切れて繋がった。

    『……………………クロノ?』
    「おう。…………久しぶりだな」
    『…………そうだね』
    「……酷いことしてごめんな」


     必死で想いを伝えたシオンに、自分は酷い言葉をかけた。自分のことを諦めるように、わざと。それがシオンの為だと言い訳しながら。

    『………本当にね』
    「うっ」
    『…………でも、わかってるよ。君が僕の為を思ってああしたことは』
    「シオン…………ありがとう、んでごめん」
    『ふふ、いいよ、許す』
    「…………結婚祝い、何がいい?」
    『そうだなぁ………』

     何年か越しの会話は、思っていたよりも和やかに話せる。それを少し寂しく思いつつも、クロノはシオンの声を聞いて笑った。





     時は戻り、現在。

    「それにしても、随分急な告白だったな」
    「君こそ。どういう風の吹き回しだったんだい?」
    「………シオン。未来のお前に会ったって言ったらどう思う?」
    「…………え、君も?」
    「え?」

     二人は、互いの顔を見合わせた。
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    g1641018

    DONEシオンの誕生日キャンペーンでシオンがロイパラ以外のデッキ使うけど、そういえばネオネクやエンフェ使えば女装もしくは女体化イメライが期待できるってこと!?と思い立って書いたのがこれです
    魅惑の黒衣「少しは集中してくれないと困るんだけど」
    「わ、悪い」
    「まったく。エンジェルフェザーの対策がしたいって言ったのは君なんだからね」
    「わかってるよ………」

     そもそものことの発端は、クロノがゲスト出演を頼まれたドラエン支部のイベントだ。偶然、そのイベントにリンも呼ばれることになっており、クロノはリンとのファイトを行うことになっていた。

     折角だから、できる限りの対策はしたい。そう思って、クロノはシオンに練習相手を頼んだ。そこまではよかった。

     翌日、シオンはリンのデッキを再現したデッキを持参してクロノの家にやってきた。当然、メインとなるヴァンガードは黒衣の戦慄ガウリールだ。


     ところで、ガウリールといえば黒いワンピースが特徴のユニットである。ノースリーブなうえ、スカートの丈も短い。更には腕が黒い手袋で、足が同じく黒いニーハイで覆われているため意外と肌面積は少ないのだが、見えているのが肩と太股なせいか危なく見える。
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