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    kikhimeqmoq

    はらす

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    チヒ柴。チヒロが16歳か17歳くらい。付き合ってない。解釈開陳ポエムです。

    #チヒ柴

    不思議な踊り寝ている柴の頬に指を乗せた。三十代男性の平熱がどの程度がは知らないが、いつ触ってもあたたかいと思う。今日は千紘のミスがあり、薄い切り傷ができたせいか、平時よりも熱い気がする。自分の唇で確認しても、彼の体温が高いか低いかは分からなかった。とにかく自分の唇が冷たいので、比較しようがない。唇だけ死を引きずってきたのかもしれない。今日、切り殺した奴らの名前も知らないのに、冷たさだけが繋がっているのは面白くなかったので、その考え方はやめた。おそらく、千紘の唇は国重が死んだときから冷たい。唇だけではなく手足も、心臓も。
    音をたてないようにゆっくりと柴の上に屈み、そっと唇を合わせた。柴の唇はあたたかく、柔らかく、滑らかだった。冷たく、硬く、かさついた自分とは違う。じっと粘膜を合わせていると、徐々に自分もあたたかくなってくるような気がした。自分と同じように毘灼を憎み、人を切り、周囲を裏切っているのに、ちゃんとあたたかみがあるのはどうしてだろう。大人になれば自分もそうなるんだろうか。それとも、いたずらをして冗談を言えるようになればいいんだろうか。それならば国重の唇もあたたかかったんだろう。
    昔のことを考えると喉の奥がつかえたように絞まった。慌てて思考を追い出し、唇に集中し、押しつけないように気をつけながら、粘膜の柔らかさを味わった。次第に頭が柔らかく白っぽいイメージでいっぱいになり、腰のあたりもあたたかくなる。同時に手足の力が抜けてくるのを感じ、おもむろに体を起こした。柴の上に崩れ落ちたくない。外気にさらされた唇は空調の風を受けて涼しくなったが、残り香のようにあたたかさが残っていた。が、指先で触れるとそれも直ぐに消えた。
    ぼんやりと寝ている柴を眺める。柴は本当は起きている。昼に戦闘があった後、千紘が夜半過ぎまで寝ずに柴を眺めていることに、柴本人も気づいていた。
    柴が起きていることを、千紘も分かっている。キスをした後、瞼の下で眼球が動くからだ。不自然に素早く動くそれは、柴の悪ふざけを思い出させた。千紘には予測できない愉快な踊りや言動に、面倒くささを感じながらも柴には欠かせない属性だと感じていた。国重と同じだ。普段、少しでも隙があれば冗談を言う柴は、こういう夜には大人しく寝ていた。いや、本当は起きているのに、寝たふりをして千紘の好きなようにさせている。自分は大々的に起きない代わりに、やんちゃな眼球を薄い肉の裏で暴れるにまかせていた。暴れているのではなく、不思議な踊りを踊っているのかもしれないが。
    千紘は柴の瞼がもぞもぞと動くを眺めるのも好きだった。自分の生々しい行動の結果が、可愛らしい動きに繋がっていると感じるのは嬉しい。正直なところ、もっと反応が欲しくなるが、そういう腹の奥の欲望に黙って耐えているのも悪くない、と感じていた。自分を虐めて懺悔したいわけではない。戦闘の代償行為にしたいわけでもない。欲望を満たすのは今ではない、と確信しているだけだ。自分にはタイミングを支配する権利があると確認したいだけとも言えるが、そこは直視しないようにしていた。腹奥で蠢く欲望の形をなぞりながら、暗がりの柴を眺めているのが好きだった。
    これは幸せとは違う。でも、この人の瞼を眺める時間が続けばいい。そう考えているうちに眠ってしまう。夜が明けると何事もなかったように挨拶をして、復讐の話をするのだろう。








    千紘が柴を押し倒したのは三日後のことだった。千紘には予想外の些細なきっかけだった。実のところ、理由なんてたいしたことはない。突き詰めれば千紘の我慢がきかなかったというだけだ。
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    kikhimeqmoq

    DONE桐智 2025/09/08
    付き合っている大人の桐智。大人の桐智の大人の下ネタ。
    ほろよい、玩具、目を逸らす甘くもなく辛くもなくほどよい刺激の液体がスパイシーな香りを振り撒きながら喉を駆け抜けていく。三杯目としてはちょうどいい軽さだ。ほろ酔いの気まぐれでカウンターの上にある塔のオブジェを指先で弄った。このバーに要くんと来るのは五回目になるが、窓際ではなくバーテンダーのいる内側の席に座るのは初めてだ。間接照明しかない暗い店内で、隣の要くんだけがようやく分かる。黄色っぽいダウンライトに照らされ、いつもは白い要くんの頬も優しいクリーム色に染まっていた。なんか、美味しそうやな。パンケーキのみたいに柔らかく甘い気がする。本当は、硬く塩辛いことをよく知っているのに。
    カウンターのヘリには小さな塔のオブジェが並んでいる。東京タワー、エッフェル塔、スカイツリー、自由の女神、太陽の塔……。シャーペンより少し小ぶりで、丸みを帯びた形にデフォルメされ、お洒落というより可愛らしさを演出している。大人びた店内に優しいアクセントを添えていた。「かわええやん?」と要くんに言うともなく呟き、スカイツリーの先端をつついていた。
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    PAST夏五の匂わせしかねえ伏五
    無名のファイル「恵ってサッパリした食べ物好きって言ってたよね」
     扉を開けると、そこには日常生活ではそうそう拝まない白金に光り輝く頭髪を靡かせた男がいた。睫毛の奥まで純白をたもつ男は、ビニール袋を伏黒に差し出すと我もの顔で靴を脱ぎ捨て家へと上がる。押しつけられた袋の中身を確認すれば、小分けにされた生蕎麦がいくつか入っていた。つゆやネギなども同封されたその袋は、どうやら茹でて皿に盛れば完成という代物のようだ。
    「おそばですか」
    「うん、三人で一緒に食べようー。って、津美紀は?」
    「ちょうど買い物に出ています。さっき出たばかりです」
    「そっか、入れ違っちゃったなあ」
     五条はそういうと座布団を枕にし畳の上にゴロリと寝転がる。以前はなかったえんじ色の座布団は、津美紀が「五条さんが来るから」と言って買い揃えたものである。それまでは来客はおろか姉弟ふたりのみしか存在することの無かった六畳一間は、五条が訪ねるようになってから少々物が増えた。食器類は三人分揃えるようになったし、客用の布団なんてものも用意されている。べつに五条はそんな頻繁に来るわけでもなく、よくて月に二回顔をみせる程度なのだが、窮屈になったアパートは以前より風通しがよくなったように感じる。
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