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    桐智 2024/12/22 アイドルパロ
    付き合ってるアイドルの桐智が楽屋でいちゃいちゃしているネタです。

    #桐智

    ライブ後の楽屋で「ステージでキスするの、やめてくださいって前々から言ってるじゃないですか?」
    「ええやん、ファンの子はみんな喜んどるし」
    汗で色が変わったTシャツを脱ぎながら、桐島さんはそう言った。持っていたタオルで胸元の汗を乱暴に拭く。桐島さんの白い肌はまだ熱で火照っていた。アンコールでは花道だけでなく客席も駆け回り、最後に逆サイドのステージからメインステージまで超ダッシュ。スライディングで思いきり俺にぶつかって、勢いよく口づけてきた。ホール中が歓声と悲鳴で溢れ、轟音と興奮でステージが揺れた。
    慌てて離れようとしたのに、一瞬の隙があったんだろう。振り向けば、メインスクリーンにキスの瞬間がデカデカと映し出されていた。怒りと恥辱で俯くと、客席から「かわいい~!」という大歓声が起こった。くそ、今思い出しても腹が立つ。
    ふと気がつけば周囲は暗くなっていた。すれ違う人たちが口々に「おつかれさま」「よかったよ」と声をかけながら忙しなく通り過ぎていく。おそらく俺が困惑して思考停止し、棒立ちになったところを桐島さんが裏に引き摺っていったんだろう。SNSで確認すれば詳細は分かるだろうが、見たくない。どうせ尾鰭がついておもしろおかしくなっている。圭くんがしゅうと君に姫抱っこされて消えていった!とかなんとか、そういうやつだ。そうじゃない。俺が欲しいのは正確な情報なんだよ。
    「要クン、のんびりしてへんと、Tシャツくらい脱ぎや。風邪ひくで」
    俺に着替えを促す桐島さんは、アンコール衣装だったスキニージーンズも脱ぎ捨て、下着姿になっていた。あんたは早過ぎなんだって。
    「あんなことでキャーキャー騒がれるなんて不服です」
    文句を言う俺を見て、桐島さんはきょとんとした子狐みたいな顔をしたあと、口元に静かな笑みを浮かべた。目が細い弧を描く。俺が面倒ごとを言いだすと、いつもこの顔になる。面白いらしい。悔しい。そして、言いたくないが、気持ちは分かる。俺もこの人と同様に素直じゃない言動を面白がってしまうから。それにまあ、どんな絡み方をしても無視しないところは、この人の良いところだった。意図的に無視されることはあるが。
    「小難しいこと言うやん。ライブは盛り上がったらええねん」
    「それより、ライブはちゃんと歌ってください」
    「……要くん」
    桐島さんはじっとこちらを見つめながら近づいてきた。瞳に光がない。何を考えているか分からない。でも俺は呪いをかけられたみたいに動けなかった。白く滑らかな肌に包まれた締まった筋肉がゆっくりと迫ってくる。
    「は……い……?」
    んっ……ふ……っ!
    雑に塞がれた口の隙間から間抜けな吐息が漏れた。恥ずかしい。どうせなら、もっと色気のある声がいい、と品のない願望が頭の片隅を駆け抜けていった。
    「はぁ……ぁ……ぁ……」
    桐島さんの舌が自分の中に器用にぬるりと侵入し、かろうじて乱暴とは言えない程度の強い力で俺の咥内を引っ掻き回した。
    「なあ、要クンもしかして」
    「…………はい?」
    半分触れたままの唇に吐息がかかり、くすぐったい。眼球だけを動かし桐島さんを見上げると、すぐに彼と目が合った。奥が深く意図を読みずらい黒い瞳がこちらをじっと見つめる。見透かされそうで腹が立つな、と思った瞬間にそれは三日月になった。いちばん効果的なタイミングだ。腹立つ。
    「ステージでもこのくらい激しくしてほしかったってこと?」
    「馬鹿なんですか?」
    努力しなくても呆れかえった声音になった。そんなわけあるか。
    「ひどい。馬鹿なんて傷ついたわ」
    「じゃあ、先輩はアホでいらっしゃいますか?」
    「アホちゃいまんねんパーでんねんって知っとる?」
    「知りません」
    「知っとけや。さんまさんやぞ」
    「はあ……。馬鹿でもアホでもパーでもいいんですけど、ステージでキスは、ダメです」
    きっぱりとした口調で言い渡せば、彼は目を丸くし、きょとんとした子狐の顔に戻った。しばらくそうして俺を眺めていたが、数秒後におどけた動作で手を叩いた。ぽん!
    せや、わかった。
    「次は顔を隠してやったるから。みんなから顔を見られんのが嫌なんやろ?」
    「違います」
    「違うんかい」
    「だって、半分しか合ってません」
    キスの時のあなたの顔は、俺にしか見せないでほしいんですよ。
    耳元で囁き、薄く白い耳朶に口づける。ビクビク、と細かく首筋を震わせた桐島さんは、浅くため息を吐いた。
    「要クンにはかなわんわ」
    呆れたように彼は呟き、俺の耳に軽く口づけた。
    「まあ、でも、ステージでのキスは止めへんのやけどな」
    だって俺のもんやって言われへんかったら、悔しいやんけ。
    たぶん、そう言っていたと思うのだが、耳にめちゃくちゃキスするものだから、リップ音で耳はいっぱいになってしまった。本当は何を言っていたのか分からない。
    俺の願望だったのかもしれない。






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    kikhimeqmoq

    DONEチヒ隊 2025/01/19 チヒロと巻墨

    61話、カフェでランチを食べた後に京都へ向かうチヒロと巻墨の小話。63話で巻墨の名前が判明して嬉しくて書いた。チヒ隊かどうかは微妙な感じで特に何も起こらない。
    豪快に京都へ「車で行くんですか?電車の方が早くないですか」
    店を出てさっそく駅に向かおうとした千紘を巻墨は引き止め、車で移動すると告げた。
    「車の方が安全だろ。装備もしてあるしな」
    隊長は得意げに説明した。斜めに切り上がった口端が車への自信を表していた。可愛らしいな、と千紘は感じたが黙っていた。それより装備ってなんだ?
    「装備とら?」
    「武器や小道具が車に隠してあるんですよ」
    炭がすかさず説明した。
    「へえ」
    さすが忍びだ、と千紘は感心した。その評価が伝わったのか、隊長は満足げに頷いた。こくり。
    「じゃあ、車を出しますから、ちょっと場所を開けてください」
    炭の依頼に千紘は振り返った。駐車場はどこだろう。きょろきょろと周囲を見渡す千紘の肩を、杢は長い腕で掴んだ。最初は肩を強く掴まれたが、すぐに柔らかく抱きかかえられ、店の脇へそっと移動させられる。杢の腕も身体も熊のように大きく、肩を抱かれただけなのに、千紘は全身を包まれた気持ちになった。なんだか温かい。杢と千紘は、歳はさほど離れていないと聞いた。実際、杢は隊長や炭よりも若者らしい軽い発言が多い。しかし、なんとはなしに信頼したくなる安定感が杢にはあった。身体の大きさだけではない。ほどよい雑さと丁寧さのバランスが好ましあのだと思う。
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    DOODLE桐智。
    大学生で同棲設定。ふんわり設定。
    大阪弁はふんわり。単語が下品です。
    キスの仕方なんて知らない「要クン。一年経ったし、そろそろ白状してもらうで」
     圭と秋斗が二人で暮らすアパートのダイニングキッチン。そのダイニングテーブルで圭と向かい合い、秋斗はにこやかに笑いかけた。
     テーブルには酒を注いだグラスが二つある。グラスを満たしているのは以前知り合いから譲り受けて飲んだところ、圭の反応がよかった桃の果実酒だ。今日のためにわざわざ通販で取り寄せたその酒は、圭が白状しやすいようにとの秋斗なりの気遣いと、尋問するのは多少心が痛むのでその詫びを兼ねたもの。
     とろりとしたクリーム色の酒をグラスに注いだときの圭の目は、少しばかり喜色を帯びていたが、秋斗の言葉で一気に真顔に戻った。口が引き攣らないように努力している様子さえある。圭と大学野球部で共に過ごすようになってから早三年。二人きりのときはこうして表情が表に出るようになった。圭の思考は表情に出ていなくても概ね分かるが、出ている方が秋斗の好みだ。秋斗以外は圭のこんな感情を知らないという軽い優越感が理由の一つ。あともう一つは、本人が秋斗の前だけ表情筋の動きが違うことを理解していないのがオモロ……ではなく、可愛いからだ。
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