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    kikhimeqmoq

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    kikhimeqmoq

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    五条悟誕生日。伏五。付き合ってないけど仲良しな伏五の2017年12月7日。

    #伏五
    volt5

    五条誕2017 ガチャガチャガチャン。金属が激しくぶつかり合う音がする。ドアノブを乱暴に回しているのは来客だ。足音は聞こえなかったが、気配で誰が来たのか、恵はすぐに分かった。くるまっていた毛布を乱暴に押しのけ、扉に向かう。毛布に包まれていた裸足の指先に冷えた廊下がこたえる。足裏に冷たさがピリピリ電流のように伝わった。
     つま先立ちで跳び上がるように進んだ。数秒のことだったが戸外の客は待ちきれないらしく、ますます強く取手を動かした。急がないとドアが壊れてしまう。そのくらいは朝飯前のはずだ。
    「夜中に騒ぐのはやめてください」
    「いいじゃん、ケーキ食べようよ」
    「だから、声、デカいんで」
     静かにしてください。顰めた小声で注意しながら恵はドアに手を伸ばす。小言なんて聞いていない五条が恵の脇をすり抜け、勝手に部屋の中に入っていった。同時に冷たい風も侵入し、恵の部屋着を冷やす。寒い。急いでドアを閉め、五条が脱ぎ散らかした靴を揃えて自分も台所へ向かった。
    「ケーキ食べないの?」
    「いきなりですか?」
    「誕生日じゃん。食べるよ」
    「知ってます」
    「知ってるって何が?」
    「今日、先生が誕生日なことくらい知ってます」
    「お、恵くんよく知ってるね!」
     芸人みたいに大袈裟な手振りで五条は驚いた。どうでもいいが振り回す腕が長い。うらやましい。
    「よく知ってるも何も、あんた毎……」
    「じゃあ」
     恵の返事を遮った五条は一旦口を閉じ、悪戯を思いついた時のように口端を引いた。
    「プレゼントあるでしょ」
     もらう側の立場なら、普通は疑問形ではないだろうか。プレゼントがあると断定するのはどうしてだろう。この人から信用は受けていないのに、行動は決めつけられている。今日も理不尽だ。
    「ここかな?」
     恵が自身の思考に気を取られ、油断している隙に五条は恵の部屋に無断で侵入し、迷いのない手つきでクローゼットの扉を開けた。
    「なんだろう? 時計がいいな」
    「先生が使うような値段の時計なんて、中学生の俺が買えるわけないでしょう」
    「来年から高専生でしょ」
    「高専の給料だってあんたの時計なんて買えませんよ!」
     ふーん。恵の文句を聞き流し、五条はつまらなさそうに口を尖らせた。不満そうではあるが、家探し止めずにクローゼットの内側を覗いた。
    「本当に何もないの?」
    「なんでこんなところ探すんですか」
    「前、ここに隠してたでしょ。エロ本とか」
    「ありもしない悪事を捏造しないでください!」
    「うそ。僕に見つかっていないだけで津美紀には見つかったでしょ」
    「見つかってません」
    「あるってー! 恵のムッツリ!」
     腹をたてた恵が五条の肩を掴もうとした途端、五条はひらりと身を躱し恵の背後に回り込んだ。おっとっと、なんて余裕の表れでしかない言葉を呟きながら。
    「恵さあ、家だからって油断しすぎじゃない? そんな荒い動きで僕が捕まるわけないじゃん」
     口を曲げ、ため息を吐く恵を置いて、五条は楽しげに歩き出した。
    「プレゼントはまあ、いいや。ケーキ食べよう? ケーキ」
     後でなんかもーらお、と笑いながら五条は冷蔵庫に歩み寄る。
    「あっ、ちょっ! 準備は俺がします!」
    「いいから、早く食べようって。アイスコーヒー無いの?」
     あれ?
     冷蔵庫を開けた途端、早口で話し続けていた五条が動きを急に止めた。
    「めぐみ」
    「はい」
    「冷蔵庫にもケーキあるよ?」
    「ありますね」
     ため息をつき、恵は俯く。だから冷蔵庫は開けるなって言ったのに。
    「なんであるの?」
    「俺が買いました」
    「なんで?」
     なぜ、なんて答えたくなかった。適当に「腹が減っていたから」と言ってもいいのに、それも口にしたくない。恵は黙って台所の床を見つめた。
     俯く恵の前に透明度ゼロの黒いガラスが現れた。板の向こうで白い睫毛が震えていた。顔全体をよく見たら、唇だって梅干しみたいに縮こまっている。笑うのを堪えるというか、もう笑っているらしい。くっそ。人の顔を覗き込んで笑うなよ。
    「僕が来なかったら一人で食べたの?」
     質問に恵は答えず、五条と恵はしばらく、数十秒ほどにらめっこをして過ごしたが、圧に耐えかねた恵が根負けした。
    「先生、誕生日に俺んち来なかったことはなかったでしょ」
    「なに? 急に偉そうじゃん」
    「だって! 一昨年なんか深夜にきたでしょ! 津美紀も俺も寝てたのに!」
    「だから今年は普通の時間に来たじゃん」
    「答えになってません」
    「恵だって僕の質問に答えてない」
     うるせえ。
     呟きを聞いた五条はふふん、と鼻で笑った。口論に勝ったと思ったようだった。まあいい、今日は彼の誕生日だから、勝ちを譲ろう。
    「ま、恵が僕に口で勝とうなんて百年早いけどね」
     内心の負け惜しみを見透かされ、腋下に不要な汗をかく。ついでに口を曲げながら彼を眺めた。上機嫌になった五条は鼻歌をうたいながらテーブルの上に皿とケーキを並べていた。言い負かした相手にとどめを刺すような台詞をわざわざ口にするところがこの人らしいし、思い通り萎れた恵に喜ぶところが更に五条悟らしい。仕方ない。
    「めぐみ」
    「はい?」
     思いがけず簡単に声が出た。どちらかというと優しい口調だった。もっとずっと怒っていてもいいのに、もう許しているらしい。我ながらこの人に甘いと驚く。もしくは慣らされている。
    「食べないの?」
     椅子に腰かけた五条は恵みを見上げた。
    「食べます」
     催促されると急に腹が減った気がした。フォークがないことに気がついて、棚の引き出しから取り出し、彼の前に置く。
    「ケーキの他はないの? チキンとか」
    「それじゃクリスマスでしょ」
    「いいじゃん。豪華だし」
    「だから、俺は金がありません」
     ふーん。
     納得しない様子で黙った彼を恵はじっと見つめた。動けない。どうしよう。席についてもいいんだろうか。
    「じゃあさ」
     じゃあ? 金がないと伝えたばかりなのに、何が欲しいんだ?
    「じゃあキスして」
    「は?」
     見下ろすとサングラスの隙間から白い睫毛がはみ出しているのが見えた。瞳は見えない。サングラスの透過性が低すぎる。この人が何を考えているかも見通せない。口元だけ、妙につやつやして見える。そんなこと、思ったこともないのに。
    「キスしたことある?」
    「ないです」
     五条の質問なんて答える必要はないのに、無意識に口が動く。唾をのみこみたいのに喉がつまった感じがする。胸もいっぱいでさっきまでの空腹が嘘みたいにどこかにいってしまった。最早一ミリも動くことができない。徐々に早まる脈を感じながら、ただ五条の黒いサングラスを眺めた。目元ではなく口元を見たら、負けのような気がした。五条に、ではなく、何か別のものに。
    「恵はキスしたことないんだ」
     見てはいけないと思っていた。でも、もぞもぞと動く唇につい気を取られてしまう。柔らかそうな赤い膨らみが、言葉を発するために伸びたり縮んだりしている。そしてやはり、つやつやと光っているように見えた。さっきまで、なんてことなかったのに。
    「お子さ」
     まだねえ、と言われるのが嫌だったのだと思う。動くたびに赤くなる唇が気になったせい、ではないはずだ。たぶん。
     初めて触れた彼の唇は見た目よりも硬かった。肌の向こうに歯を感じる。歯並び綺麗だもんな、という感想もすぐに消え去り、あたたかくぬめったものに唇を舐められたところで恵の記憶は溶けた。自分も舌を彼の口に滑り込ませたような気がするが、夢のような気がする。
     落ち着くと、五条と恵は離れていた。呆然と立つ恵を見上げる五条の口はつやつやと光っていて、思い込みではなく自分の唾液で濡らしたからこそだと気がつくと、喉の奥が詰まって胸が苦しくなった。ついでに腰も重くなる。
     口を開くと思いもよらないことを口走りそうで怖かった。立ち去ることもできず黙ったまま五条の前に立っていたが、ふいに彼が手を伸ばし恵の顔に触れた。
     涙目になっていたらしい。彼がくすくすと小さく笑いながら恵の目尻を指先で掬い、なんのためらいもなく涙を舐めた。ねろり、と指に舌が絡まるのを見た途端、恵の頭は沸騰し、ついでに硬く勃起した。

     なんだよこれ。
     俺、この人のこと。


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    kikhimeqmoq

    DOODLE伏五の五条が直哉と話しているだけの落書き。たぶんなんか、あんまり良いネタじゃない。恵が高一の五月くらい。誤字脱字衍字および重複は見直してないです。「君さあ、なんでずっとムカついた顔してんの?」
    久しぶりに御三家の会合があった。うちの当主は二日酔いで欠席するとだらなことを言い出し、次期当主である自分に名代を務めるよう言いつけてた。それはいい。それはいいが、なんでこいつと控え室が一緒やねん。俺、ほんま嫌いやねんけどら
    「悟くんはなんで似合わへん東京弁を使ってるの?」
    「似合ってるでしょ。君の金髪よりはずっと似合ってるし。直哉って昔は可愛い顔してたのに、いつのまにか場末のヤンキーみたいな金髪ピアスになったのは社会人デビューなの?」
    ハハッと乾いた笑いを付け加えた男といえば白髪が光っていた。銀髪というほど透けていないが、真珠みたいに淡く柔らかく発光している。下ろした前髪から覗く青い目はこれまた美しく輝いていたが、柔らかさなんて一欠片もなく世界を圧倒する力を放っている。それは自分が呪術者だから感じる力であって、その辺の猿どもが見たってガラス玉みたいに綺麗だと褒めそやすだけなんだろうが、こいつの真価はそんな見た目で測れるものじゃない。まあ、えげつない美しさっちゅうのは事実やけど。
    「もうすぐ禪院の当主になるっていうもんが、いつまでも五条家に 3020

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