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    okome

    @okome59388065

    書きかけの倉庫 勘で文字と絵を書いている
    絵文字貰えると泣いて喜びます 完成品は支部に行きます

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    okome

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    狂ってしまいました 旧メ

     サティマが公に次期女王として告知されたとき、お祝いのパレードが行われた。戦前に比べればささやかではあったものの、「藤姫様万歳!!」「藤姫様が宿るこの地万歳!!」と熱心にサティマを支援する人々の準備のおかげで、戦時中とは思えないほど豪華であった。

     花や飾りが並び、焼けた跡が残る街道も今日ばかりは人が途絶えない。中にはずーっと前から最前列で待機する人までいる。そして、正午ともなればもう街道の両脇は人でギッチギチ。街道沿いに家がある人は2階から様子を覗いていた。

     サティマが、現れるのだ。

     サティマが現れた瞬間、芳香が場を一瞬で支配した。ちりちりと人々の目の前を光が通り過ぎていき、鼻先をかすめ、甘やかな香りを残す。サティマの纏う、輝く粒子は蝶のようにはためいている。
    「今日はありがとう、フレジールの皆」
     サティマがそう言って、初めて歓声が場を包んだ。全員見惚れていて、声を出すことすら忘れていたのである。
     そこからはもうすごかった。
    「藤姫様ーッ!!素晴らしい御装束!!」
    「ありがとう、王宮の古い付き合いの侍女が張り切ってくれてな」
    「一層神々しくなられて、この美しい光、藤姫様が纏う蝶たちのようで……」
    「フレジールは安泰じゃ!!」
    「サティマ様万歳!!フレジールの未来に万歳!!」

     そんな華やかな場から少し離れた、路地に怪しい男が二人。灰色の髪をした男は口元を隠していた布を取り、もう一人の金髪の男に話しかけた。
    「侍女、らしいな……ふふふ………どう考えてもあの髪飾り、王宮の堅物なら絶対汚いと言って許さないだろうに。あの髪の結い方だってなあ……」
    と視線をわざとらしくやれば、金髪の男は相変わらずの仏頂面で呟いた。
    「久々に暴れられた……髪はお父様が整えてくれないと絶対許さないからと言って…」
    「ははは!!!!」
     灰色の男もとい大司教は高らかに笑う。金色の男──回収者の次にサティマと関わりの深い彼は、本気の彼女の暴れ加減を思い出してしまったのだ。アレはすごい。子供というのはいかに大暴れするのか実感したものである。髪を数本持ってかれた回収者が死んだ目をしていたのは記憶に新しい。

     笑いすぎたせいか、回収者がじとりと、いや彼はほぼ表情を変えないので本当に微々たるものであるが、大司教を睨んでいた。
    「お前こそ。姫は精霊の光をあんなに細かく制御できなかったはずだが。アレはお前が式典用に教えこんだだろう」
    「さて。私は彼女がより支持を得るよう手助けしただけです」
     それが何か問題でも、と肩をすくめる大司教。割と長い時間が経って、回収者はようやく答えた。
    「お父様には後で見せるから入ってこないで!!と言われ理不尽に部屋から締め出されたことが最近数回あった」
    「わははははは!!!!」
     もう辛抱たまらないといった様子で、爆笑が響き渡る。回収者が静かに、というがもはや止められない。歓声がなければすぐこの二人がいることがバレていただろう。
    「いやまあ、今日はとびきり美しいじゃないか、姫様。あの髪型もあの髪飾りも、王宮が選んだ伝統的とかいう物より随分似合っている」
    「ああ」
     そんな折、二人の鼻先を、蝶々が掠めた。
     蝶々は二人の前を邪魔するようにバッサバッサと飛ぶ。まるで「何勝手に二人で楽しく話してるのよ」と言わんばかりに。
     大司教が小さく笑い、回収者は咳払い。
    「さぁ移動するか。ちゃんと見ていないから姫様がお怒りだ」
    二人は早足で芳香を追いかけていった。
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    okome

    PROGRESSイカれたアベトパ導入 まさかアレが続くとは私も思わなかった また例の如く二人は疲労困憊です
    高級幹部たちの走り出せ!デートRTA スターピースカンパニーは忙しい。周知の事実である。窓際族とかなんとか言われている伝統事業部を除けば──どこの部署だって日々てんてこ舞いの大騒ぎ、白目に目薬代わりのエナドリをさす始末。
     そしてそれは、高級幹部だろうと、付き合ったばかりのカップルだろうと、高級幹部かつカップルだろうと同じこと。

    「に、二時間!?!?!?デートに行くのに!?!?」

     高級幹部かつカップルのトパーズとアベンチュリン、久々に揃った休暇はまさかの約二時間だけであった!

    「いやいやいや、ちょっと待って。計算間違えたかもしれないし」
    「君が間違えることなんてある?」
    「私、四徹目だから」
     トパーズは愕然とした。
     大規模プロジェクトによるウン十連勤を乗り越え、必死にパズルゲームの如くスケジュールを調整したのは全て恋人とのデートのため。しかしなんとか残せた空白期間はたった二時間である。学生の放課後デートでももうちょっと時間があるだろう。んな訳ない、とキーボードを叩くが画面の数値は変わらなかった。
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